夕暮れのソーホーを彷徨いつつ、ポートはゾンビ化していた自分を、なんとか元に戻す努力をしていた。
SOHO。数々の映画で見たはずの町並みも刻々と姿を変えている。ディスプレイのクールさを目の当たりにしては、日本の青山あたりを貧相と思わずにはいられない。ここでは、創作のエネルギーがしのぎを削っている。
ポートは、一年余り前に見たサンノゼの民家の窓辺に灯をともすテーブルランプの映像を、Replayさせていた。ここで腰を据えて探せば、気に入ったランプを手に入れることができるだろう。しかし、どうやって持ち帰るのか?今夜は、まさにベテラン悪魔ダニコの経営するイタリアンレストラン 『Mezzanotte』へ侵入しようとしているのだ。
※ その後、『Mezzanotte』はダニコの悪魔的理由によって売却されている。(Y氏情報)
「バスで行くわ」
リムジンの手配を推奨するY氏の言葉をよそに、コンスタンチーヌはバスを選択した。
コンスタンチーヌの見つけた『Mezzanotte』方面行きのバスは、見知らぬNJの街を行く。
乗っている乗客達の多くが、自分の降りるべき場所を認識していないので、進行中も運転手は質問攻めにあっている。
並んだ街頭に浮かび上がるNJの町は、日本の○○銀座的街道に酷似していた。懐かしい風景の中に、郊外ドライブイン的レストランが固まっている地域や、郊外商店街的地域が現れては消える。
コンスタンチーヌは車内使用禁止の携帯電話を駆使して、『Mezzanotte』と連絡をとり、最寄の通りの名前を聞きだし、予約の時間に少々遅れる旨を告げた。
最寄の通りでバスを降りたが、それは嘘だった。
やはり悪魔の経営する店だけのことはある。客を欺くことくらいは平気でする。
「ひとつ前の停留所で降りていれば…」
3人は今きた道を小走りで引き返しながら、悪魔を呪った。

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