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『Mezzanotte』は街道沿いのレストランで、店内は細長い。 入り口の前には車があふれ、アルコールを扱ってもいないくせに入り口すぐに設置してあるウェイティングバーはNJ人の社交場と化してがやがやとしていた。 予約など、とっくに無視してテーブルを埋めてしまうのは、悪魔の店としては朝飯前のことだったのだろう。 3人はしばし、持参したワインをあけてテーブルが空くのを待たなければならなかった。
成金的有名人ともなると、なにかにかこつけて金を使わせようと言い寄ってくる輩が後を断たないものだ。
コンスタンチーヌの頼んだエスカルゴは既成概念を覆す姿をしていた。 |
キットにオーダーしたパスタボロネーゼには、南米料理に使われる唐辛子が親指第一関節までほどの大きさで大量に投入されていた。イタリアの食文化が南米化したのか、もしくは…deviledという形容詞は辛く味付けをした、という意味だから、場違いなところに親爺ギャグ的にダニコが独断でアレンジしただけのことかもしれない。 海老のラビオリはイカ墨で真っ黒に着色されたピンクッションがクリームソースを敷いた皿にのっているというもので、肉塊のあとでは多少なりとも繊細に感じられるかもしれない、がそれも量による。笑点ではないのだから座布団もおおければいいというものではないのだ。
可哀相に、キットがまともに口にできたのはオレンジジュースと食前に出されたパンだけだった。
コンスタンチーヌの見繕ったワインは赤も白も空けてしまった。
「自分で探してちょうだい」 |