桜花賞(G1)
4月8日15時40分 阪神競馬場 1600メートル




馬 名 重量 騎 手 ヨシタカ エイスケ ヒカル
オイスターチケット 55 秋 山      
タケイチイチホース 55 佐藤哲      
マイネカプリース 55 安藤勝      
フィールドサンデー 55 藤 田    
リワードアンセル 55 後 藤      
リキセレナード 55 福 永      
テンザンデザート 55 和 田      
テイエムオーシャン 55 本 田
ネームヴァリュー 55 松永幹    
10 タシロスプリング 55 池 添      
11 フローラルグリーン 55 河 内  
12 ダイワルージュ 55 北 村  
13 ムーンライトタンゴ 55 四 位 ×    
14 ポイントフラッグ 55 武 幸   ×
15 サクセスストレイン 55 木 幡    
16 ハッピーパス 55 岡 部    
17 ツァリーヌ 55 小 池      
18 ビッグエリザベス 55 村 本      


◎ヒカル的予想。


今年はどうも花見の機会をつくれそうにありません
べつにそこまでいそがしいわけでなく
いっしょに花見できるヒトが近くにいない
来年はやるソ!
と、鬼に笑われることを言っておいて
本題に入りましょうかね

先週
まさに鬼が笑ったとしか思えない・其の壱
というのは大袈裟かもしれませんが
テイエムオペラオーが負けてしまいましたね
勝ち続けなきゃなんない理由なんてないけど
勝ち続けて欲しかったとチョッピリ思いますね
そんな理想であってほしかった
ウマにゃそんなこと関係ありませんが

其の弐
死んじゃいましたねシンボリインディ
恐怖映像です
倒れてしばらく動かない
立ったと思ったら右後ろ足ぷらぷら
たまたまテレビに映っただけで
毎週のようにある事なんでしょうけど
見えるのと見えないのではえらい違い
生き物はなにせ生まれて死ぬものですが
好きな生き物が死ぬのはヤハリつらいものですね

さて
今週は鬼サン笑わないでね
とお願いしておいて

テイエムオーシャンが鉄板なのは誰もが認めるところなんですね
バランスのよい好馬体
最優秀2歳牝馬
前走も快勝
父は80年代欧州最強馬と謳われたダンシングブレーヴ
母は桜花賞馬エルプスと良血種牡馬リヴリアの娘リヴァーガール
血統的背景も申し分ナシ
中間も順調とくれば不安要素なんてこれっぽっちもないやん
そのへんがアヤシイなんておもうのはヘソ曲がりでしょうかね
なにせケイバ
展開のアヤなんかでコロッと着順がかわっちゃったりします
さて全てを味方につけることができるのか

少女マンガに出てきそうなキラキラおめめのハッピーパス
なんちゅーカワイイ顔だ
さすがシンコウラブリイの妹
とてもサンデーサイレンスの娘とは思えない
馬体もぷりぷりとしてていいですねえ
なんだか重賞2回連続2着ってあたり
決め手がないようにも思えますが
堅実に走ってくれそうな気もします

対テイエムオーシャンではこのウマが一番手なのでしょうか
なかなかにグラマーなダイワルージュは名門の良血
テイエムオーシャンに1回2着に負けだだけで
4戦3勝は優秀
飛ぶ鳥落としまくってるサンデーサイレンスと
重賞4勝スカーレットブーケの娘
大一番での底力
みせてくれるのでしょうか

なんだかミョーにかわいいフローラルグリーン
さして鮮やかでもない栗毛の
チョット小いコ
雄大な馬格を誇り派手な見た目でカッコ良く走るナリタトップロードの妹
発熱でチューリップ賞回避しちゃって
どうも雲行き怪しい
でも2戦とはイエ負けなし
でもキャリアも浅い
けどがんばってほしいなあ

メジロマックイーンのこどもってのほほんとしたカンジで好みです
毛色はパパ似なポイントフラッグ
1−4−1の成績で優秀
でも切れる脚がないカンジ
どこまで粘れるかってとこですかねえ

◎フローラルグリーン
○テイエムオーシャン
▲ハッピーパス
△ダイワルージュ
×ポイントフラッグ


◎由紀夫馬券。



「もしもし…」

由紀夫の携帯に出てきたのは女。

「あんた…誰だ?」

「かけてきたほうから名乗るのが礼儀じゃないかしら、ねえ?」

女は動揺した素振りを少しも声に含めずに言った。
声に聞き覚えは無いが、ぴんとくるものがあった。
なるほど、こいつがキョウコか。
それは由紀夫が現在付き合っている女だが、
ここんとこずっと会っていないと由紀夫は言っていた。
ぴんときたのは俺の勘が鋭いわけではなく、取り敢えず、
心当たりがキョウコだけだったということでしかない。

「町田だ、由紀夫の友人だよ、それで、由紀夫…居る?」

「あっそう…ええと、ねてるわ」

「なるほど」

「“なるほど”って?」

「いや、だからあんたが電話に出たんだなあってな。俺、由紀夫に電話かけたからさあ」

「ああ、そうよね。でも今、朝の5時よ、起こしたらかわいそうじゃない?」

「あ、ごめん、でも、由紀夫の妹が捜してんだよ、由紀夫を。急に居なくなったって」

「ああそうなんだ、ひょっとしたらあたしのせいかなあ、ごめんね」

「謝ることじゃねえよ、いいからそんなこたあ。で、今どこに居んだい?」

「京都…」

「へっ?」

「だから、…きょうと」

「なんで?」

「たぶん、…あたしが呼んだから、円山神社の桜が見たいって由紀夫に言ったから…」



 キョウコが由紀夫に突然電話をかけたのが3日前の朝。以前からの知り合いの
グラフィック・デザイナーが最近結構売れてきて、発行部数1万かそこそこの
デザイン誌みたいなのを手がけたりして、本人はむやみに調子に乗っていたのだが、
そいつがある晩ウォッカ・トニックを立て続けに5杯飲み干して勢いつけて
キョウコに迫ってきて、キョウコはその誘いに乗ったんだか乗らなかったんだか
取り敢えず気分最悪な次の日の朝、電話を受けた由紀夫にキョウコは消え入りそうな
声で桜が見たいと言ったらしい。
円山公園の桜にキョウコがなにか思い出らしきものがあるらしいことは確かなようだが
それがなんなのか由紀夫は聞かなかったらしいし、ましてや俺の
知ったこっちゃない。


キョウコの声をぼんやりと聞きながら、顎の辺りに手をやると
もう6日間手入れを怠った不精髭が伸びているのに気が付いた。
キョウコの声が届く、通りすぎる。
俺の部屋でおそらく唯一の生物である青いザリガニが
いつのまにかふた回りほど大きくなっているのに気が付いた。
最後に餌をやったのはいつだっただろうか。
間違いなく、前日の午後3時過ぎ、乾燥したミミズかなんかの
粉状のやつを俺は与えたはずだが、その餌をいつ買ったか
どこで買ったかは思い出せない。
これでも、当初はテレビで見たオーストラリア産の青いザリガニを
紹介しているのを見たときはかなりの衝撃を受けて(黒いザリガニもいたがそれは欲しいとは思わなかった)
購入したのだが、見慣れた今ではもう

ただの青いザリガニでしかなかった。

キョウコの声が鼓膜から入ってきて俺の緊張を和らげたり高めたりする。
声。人間の声を久しぶりに聞いているような気がする。
身の回りの音が全てデジタルだと気付いたときの気持ちってわかるかい?
思わず自分の声だけでも確かめたくなって何か喋ろうとして

いったい何を喋ったらいいのか分からないんだ。

ああ、とか、ぐわあ、とか言ってみて、言葉を覚える前の
半分サルだった頃の人間の記憶を辿ってみる。

キョウコの声が小さな発信機から送信されて中継地点でしかるべきチェックを受けて
何重かの暗号をかいくぐって俺の耳元まで届く間に

青いザリガニが2回半真っ青なはさみを閉じたり広げたりした。
そのこと自体に俺に関する隠喩めいた意味は込められていない。
ザリガニの飼育に飽きたときは無料で引き取りますとショップの店員は念を押して言った。

青ザリガニは自然界で繁殖します。

キョウコの声がやや上ずってきたかと思った次の瞬間
突然絶叫がはじまり俺はすんでのところで受話器のスピーカーから遠ざかった。
秒速300Mをちょっと超えた速度でスピーカーから絶叫が飛び出して

青ザリガニの水槽を突き破って壁に掛けてあったダーツの的の
ど真ん中に命中して俺は口笛を吹いた。

その絶叫の原因を聞き逃した俺はきっと電話に集中していなかったのだろう。


向こう側でがさがさと人間同士が絡み合いこすれるような音がしてくる。



「町田か?」

デジタル信号が由紀夫の声紋を表現しようとして
本人に酷似した音声を俺に届けてきた。
俺はもう由紀夫の声をほとんど覚えていなくて、確認を求められても
それが本人のものであるかを確認できるか自信が無かったので
曖昧に「ああ…」と返事するしかなかった。


「わるい、また、連絡する」

「ああ」


それからまた3日が過ぎ、由紀夫から再び連絡があったとき、
俺たちはキョウコのことは敢えて話題にせずにお互いの近況として
俺は今作っている曲について、
由紀夫はにわかギャンブラーを卒業すべく次の就職について、
何分かお互いジャブを打ち合うように意見を交換して電話を切り上げた。

由紀夫はどこか緊張と疑いの空気を漂わせていたが、
それが俺に向けられていたのかどうかはわからなかった。

たった今、仮に完成した曲を繰り返し流しながら冷蔵庫から
ウェルチのピンクグレープフルーツのフレッシュ・ジュースをグラスに注いで
ついでにウォッカをひと注ぎして、ロック・アイスを浮かべてみて
今が朝なのだと気付いてパンをトーストしてトマトとチーズでサンドして
中途半端な朝食をとることにした。午前7時32分。

酸っぱさと苦さとほのかな甘さの中からせり上がってくるアルコール。
なぜか由紀夫の妹の顔が浮かんできて俺は不自然にうろたえた。
そういえば5年ぶりに会ったのだった。しかも突然に。

5年も経つと少女はいつのまにか女に変わっていた。
そんな年代物フォークソングの歌詞のような台詞が浮かんできた。
今年もそろそろ桜が満開。
いつもそうなのだが、春先のめまぐるしい変化にいつもついていけずに
置いてけぼりを食ってしまう。
花の盛りは短くて。
心の準備ができたと思ったときにはもう、
すっかり散ってしまった後だったりする。
枝を折って怒られたのは確か8歳の時。
そのときから数えて22回、俺はもう桜の枝を折ることもなく
22回、桜の花が咲き、やがて散るのを繰り返す間にいろいろなことを
やったりやらなかったりしながらここまで生きてきたのだが、
現在。それなりに確信を持って今ここに居るという実感はある。

なんなんだろう。

そういえば、昨日ちゃんと青ザリガニに餌を与えたかどうか
不安になって水槽を覗いて見たら


青ザリガニは死んでいた。



《がーん、な町田の桜花賞予想》


今回は仕方が無いのだが、由紀夫と本命は同じなのだが、テイエムオーシャン。
近年これほど死角の少ない本命馬がいたであろうか。
いや、いない。

唯一期待を抱かせる怒涛の追い込みをトライアルで見せたローズバドも
中間に不安を抱き、今回は出走を見合わせた。
そこでもう13連敗してるからそろそろ悲願の勝利とかいってるけど、
本来馬1頭、騎手一人、調教師、馬主など、
それぞれが個別に競走してるに決まってるのだが、
なんでもかんでもひと括りにして比べたがる風潮が俺は嫌いなんだが、
13連敗してるとかいう関東馬。
輸送せねばならないという地理的な不安は否めない。
逆にいえばそこを無事に克服すれば勝機はある。

ダイワルージュとかハッピーパスが人気になっているが、
調教の出来と沈み込むフォームと持ちタイムで
サクセスストレインがひょっとしたら、
と密かに俺は思っている。
まあ、それでも本命はテイエムオーシャン。
どれほど強いのかを目の当たりにしたいという期待の方が強い。

3番手はダイワルージュ。
大物感を漂わせていて、オークス以降は主役になるんじゃないかと思っている。
もちろん、そのためにはここで凡走してはならない。
ハッピーパスとフローラルグリーンは
どうも、周囲の期待が過多でその実、本格化はまだ先なんじゃないかと思う。
どちらかといえばフローラルグリーン。
ハッピーパスはもう少し先。

あとは良く見ればいい名前なのになんだか覚えづらいムーンライトタンゴ。
ああなるほど、父ダンスインザダークから娘へムーンライトタンゴ。
なかなか良い名前ではないか。
まあ名前はともかく、按上四位の自信のコメントもあり要注意。
密かにいいもん持っていたファイトガリバーや
ワンダーパヒュームを思い出させる。
ファイトガリバーやワンダーパヒュームといえば天然の貴公子、田原成貴。
天然といえば先ほども快音を響かせ意外な大活躍を発揮している宇宙人、メッツ新庄。

同じ穴のムジナ、四位もあながちあなどれない。


1着 テイエムオーシャン
2着 サクセスストレイン
3着 ダイワルージュ
4着 フローラルグリーン
5着 ムーンライトタンゴ


(今回の推奨びっくり馬券:サクセスストレイン×ムーンライトタンゴ)

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