チョーオユ峰概略並びに登山計画

 中国チベット自治区に位置するチョーオユ峰(8201m)は、世界第6位の標高を誇っています。「8000m峰の登頂」という目的を持つ今回の隊が、14座ある8000m峰の中でこの山を選んだ理由は、ルート中比較的に難しい部分が少なく、登山技術的には完全に実力の範囲内だと予測したからです。
 同じ理由で、多くの登山隊が近年この山に入っています。しかし、今回私達が計画している登山方法とは対照的に、多くの隊が、大人数、大物資、シェルパのサポート、それによる高コスト、という状態でこの山に挑戦しています。今回の隊の様な無酸素・シェルパのサポートなし少ない物資といった登山方法(=アルパインスタイル)は、超エキスパートだけの世界といった感があります。
 そういった中では、もちろん学生によるヒマラヤの高峰への挑戦はほとんどなく、無酸素あるいは、シェルパなしとなると、皆無の状態であります。私達が、それを為せばヒマラヤ登山のイメージを根底から覆すことができるかもしれません。
 もちろん、シンプルな登り方になれば、それだけ、隊員個人にかかる負担は上がります。しかし、大石は、過去の登山経験から7000mラインまで行く確立は、現時点でもかなりあると考えられます。そして、出発までに可能な限り体力面を補強すれば、8000m以上の高所も到達可能なはずです。さらに平出に至っても、日本山岳会学生部マラソン大会で2年連続優勝を果たすなど、学生登山家最強とも言える体力を持ち、ヒマラヤの6000m以上の高度も経験していることから、この二人の隊で向かえばチョーオユの頂は、それ程遠くないものと考えています。
 尚この隊は、高所での行動をドキュメンタリーとして随所でビデオカメラに収め映像化し、また何を感じたかを、文章でも帰国後に表現したいと計画しています。すべては「ただ無性に登りたいから」という、自己完結型の夢から始まった夢ではあります。しかし、そのように他人に見える形で表現することにより、登山家の方々には新しい登山のスタイルを、一般の方々には、世界には人間の存在が小さく思えるような壮絶な自然があることを伝えることで、一歩先を行く登山ができると思います。日本の代表的な冒険家、九里徳康氏の言葉を借りれば、「だれも行ったことがない場所ではなくて、誰も見ていない何かを、そして、誰も考えたことのないクリエイティブな発想で、何かを発見して、それをリポートすることがこれからの冒険家の役割だ」ということになると思います。
 大仰かもしれませんが、新しい登山方法で、他の方々にそれを見せることにより、自己満足を超えた登山ができればと、私達の隊は考えています。