「チョーオユに向けて」
ヒマラヤには、8000mを超える山が14座あります。私がそのいくつかを見たのは、大学1年の夏、同じくヒマラヤのメラピークという6654mの山に挑んだ時でした。高校3年間続けた、登山の総決算として挑戦したメラピークでしたが、その山頂に達成感や満足感はありませんでした。
周りには、エベレスト、マカルー、チョーオユといった8000mを超す山々が、そこよりも遥かに高く聳えていたからです。6654mの頂で私が感じたことは、「ここから私の冒険が始まるのだ」ということでした。そして、「必ず、あの8000m峰にも登ってやる。」と強く思いました。そして登る時は自分達の力だけ、つまり、同世代の人だけによる隊で挑戦したい、と考えました。
3年経った現在、未だ私は、その8000m峰への途上にあります。体力的にも経験的にも、あの時よりも遥かに向上し、昨年は気象条件の厳しいことで知られる、アラスカ・マッキンリー峰(6194m)にも登頂しました。
ヒマラヤの7000mにも匹敵するといわれるマッキンリーに登頂したことで、自分なりには、夢の8000m峰に王手をかけたつもりでしたが、学生のみによる8000m峰の登頂は全く前例がないために、多くの方々から様々な反応がありました。無謀視する方や可能性を信じてくれる方、意義を聞いてくる方等、多くの意見をいただき、時に大きく心を揺さぶられました。
しかし、最後に出発するか、しないかを決めるのは、やはり自分自身でしかありません。そして私はこの冒険に賭け、頂上で何かを掴んできたいと決心しました。
パートナーは、東海大学山岳部の平出和也君です。平出君もヒマラヤへの強い憧れを抱いていたために、私がこの計画を口にしたその日から、ふたりで意欲的に計画を進めてくることができました。
チョーオユには、平出君とふたりで、シェルパのサポートなしの無酸素登山という、まさに自分達の力だけで挑みます。
山の中ではそのような意気込みですが、もちろんこの遠征は、いつもの通り多くの方々のご協力、ご声援があって成り立っています。心から深くお礼を申し上げます。
大石 明弘