さくらよ永遠に..

さくらはマルチーズ犬でした。H12年8月に生後2ヵ月で我が家にやってきました。我が家で犬を飼うのはこれで5匹目の事です。さくらは小さくてよちよちしていました。いつも震えていて部屋の隅にいます。人が近づくと非常に怯えます。初めは来たばかりだからかと思っていましたが、一向に馴れる気配はありませんでした。呼んでもまったく近寄っては来ません。歩き方は身体を斜にしてよろよろと千鳥足で歩きます。まだ小さいからかと考えましたが、毛に被われた顔をかき分けて目を見た瞬間、一気に考えが変りました。外斜視といって目が左右に離れているのです。しかも、犬の眼裂は通常円形なのにさくらの眼裂は楕円形でした。これは何か頭の中に病気があるのでは?あるいは目が見えていないのではないか?それで行動がおかしいのではないか。と一応医者である私は考えて、母に指示してさくらを獣医に連れていきました。診断は、<先天性外斜視で成長とともに改善するであろう。視力もあるようだ。>との事でした。確かに人間においても斜視という病気は成長するに連れて改善する例が多いのです。そのため、まあそうか。と思い様子を見ていました。
それから約3ヵ月様子を見ていましたが、斜視は変らず、震えも止まらず相変わらず人に馴れないままでした。そんななか11月3日さくらの人格障害。いえ、犬格障害が急に悪化しました。電化製品のコードが毛に絡んだのをきっかけにパニック発作を起こして、泣き叫んでグルグルと回りつづけました。コードを取る事も出来ずにやむなくコードを切断しました。その後もパニックは続き壁や椅子があってもかまわず突進して激突するという異常行動を繰り返しました。この日は祝日であったのでそのまま観察しているうちに次第にぐったりとしてきました。食事も取れません。翌4日一番に獣医へ連れていったところ、脳圧亢進と低血糖発作、発熱が認められました。緊急入院をして浸透圧利尿薬と抗生物質の点滴を開始しましたが改善はなく、7日には大学へ連れていって超音波とCTの検査をしました。いい場所の良性腫瘍であれば手術で治る。との期待のもとに検査をしたのですが、結果はひどい水頭症で殆ど大脳はないくらいにペラペラでした。腫瘍はなく、脳の奇形で小脳が頭蓋骨にきちんとおさまっていないChiari奇形という病気でした。おそらく生下時より水頭症はあり、精神発達遅滞があり、外 斜視もその為で視力はかなり低下していたと予想されます。そして、よたよたした歩き方は小脳失調症状で説明が付くものでした。大学で検査をした時点ではもう、意識レベルが低下していて、尿失禁を来し、呼吸も不安定でした。余命数日であるのは明らかであり、この時点で母親は獣医と相談のうえ薬殺を望みました。そして、11月7日、人の手によってさくらは天に召されたのです。私はこの時同席はしていないので後からきいて非常にショックでした。日常の診療では安楽死など考えられませんし、3日以降は別に住んでいる為に電話だけのやり取りでさくらの顔はまったく見ていませんでした。電話で不幸を知らされてしばらく泣きました。
マルチーズは純血を守る傾向が強い為に特に血統のよい犬では奇形が非常に多いとききます。今回のさくらも知人を通じてまたと無いよい血統の犬だという事で購入しました。市場価格では40万以上は確実という犬でした。その結果がこのような不幸な結果を招いてしまいました。いずれにしてもさくらの命は救えるものではありませんでしたが、うちへやってきた当初から私達はさくらの異常に気が付いて、仲介したペットショップや獣医に訴えてきましたが、問題ない、そのうち治ると言われ続けてこのような結果です。人間の子供であれば誤診。物であれば欠陥品販売であるのに当然の如くうやむやにされました。非常に悔しいです。人間が身勝手に近親結婚をさせている事でさくらのような不幸な犬が他にも沢山いるのでしょう。一種の動物虐待ですね。反省をしなければいけません。とにもかくにもさくらの冥福を祈りたいと思います。