1999年、セ・リーグ開幕戦。
そこには目を疑うような光景がありました。
なんと、ガルベスが巨人の開幕投手だったのです。
私の考えでは、ガルベスは史上最低のプレーヤーです。
いやプレーヤーとして認めることすらできません。論外です。
1998年7月31日甲子園での対阪神戦、
ガルベスは橘高主審の判定に不服でイライラしていました。
6回、先頭の坪井にソロホームランを打たれた直後に、主審に向かって猛烈に抗議します。
長嶋監督はピッチャー交代を伝え、ガルベスの腕を取って三塁側ベンチに向かいます。
そこでガルベスは、あろうことか主審のいる方向へボールを投げつけたのです。
こんなシーンは見たことがありませんでしたので、あっけにとられました。
自分の思い通りにならないので、腹が立って全部ぶち壊しにする子供のようでした。
投手が、無防備な人間に向かって意図的にあの硬いボールを投げ付けるのは
傷害あるいは殺人行為と同じです。
また、野球そのものを冒涜する行為です。
その道のプロの人間のやることではありません。
橘高主審は、「ボールを投げたことは侮辱行為」として退場を宣しました。
ガルベスの退場は、この年、4月の危険球退場に続いて2度目となりました。
以下、読売関連の記事です。
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山室巨人軍球団代表は31日夜、
大阪に滞在していたセ・リーグの高原会長に会い、
「(ガルベスの問題は)みっともない姿をお見せした。
選手にあるまじき行為。申し訳ありません」と謝罪。
「いかなる理由があろうと、グラウンドにボールを投げた行為は容認できない。
ガルベスは興奮状態なので、1日午前中にも事情を聞き、
事実関係を調べた上で、球団としての処分も検討する」
渋沢良一セ・リーグ事務局長
「(ガルベスの退場について)当該審判の報告も聞き、
高原会長とも相談して処分を決めたいが、
かなり悪質のようなので出場停止処分もありうる」
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この時ばかりはさすがに球団として謝罪しています。
セ・リーグとしてのペナルティはというと、
実質シーズン終了までのほぼ2カ月間の出場停止処分でした。
軽すぎると思いました。
永久追放をとの声も多々ある中でのこの処分です。
巨人は事の重大さを認識していたところもあります。
野球協約「統一契約書様式・第七条(事故減額)」に基づいた推定4000万円の減俸と
球団として無期限出場停止の厳罰を下しました。
しかし結果的にはセ・リーグの大甘裁定に準ずる形となります。
ペナントレースが終わるまでのほぼ50日間投げられなかっただけで済んだのです。
監督の長嶋茂雄は責任を取って頭を丸め(責任ってこんなもんでとれるのか?)
「長嶋がそこまでしたのだから」許されると勘違いした人も多かったのではないでしょうか。
セ・リーグとしてのペナルティは受けました。
だからガルベスが、ある意味もっとも注目度の高い開幕戦で
先発投手として出てきても、文句をつける筋合いはありません。
しかし「道義的」にやってはいけないことではないでしょうか。
審判を相手にボールを投げ付けた投手を
いくら勝つためとはいえ開幕投手に持ってくるとは。
倫理観なさすぎです。
「自称・紳士球団」のする判断といえるでしょうか。
全国のテレビの前のお子さまにどう説明できるのでしょうか。
罰を受けたからいい、カネさえ払えばいい、という風潮はマズイでしょう。
一番大事な「反省」が感じられないのです。
罪を償うことにおいて大事なのは「気持ち」とか「心」の部分でしょう。
ガルベス自身は審判団への不信を隠しておらず
とても反省した態度ではありませんでした。
他の暴力事件を引き合いに出して、罰金が不当に高いことにもケチをつけていました。
個人的に、まず許せないのは機構側の軽すぎる処分。
次に、長嶋をダシにしたのかわかりませんが、それでよしとする読売の態度。
そして、開幕戦に投げさせる読売の感覚。
プロというのはこんなに甘いものなのか。
このガルベスを開幕投手にするという恥知らずな選択をしたのは誰でしょう。
監督は長嶋茂雄です。お得意の「誰かのせいにする」ことはできません。
先ほども書きましたが、あの事件の後、
丸坊主になるという罰ゲームのようなパフォーマンスで
同情をかっていたあの長嶋の判断です。
マスコミは 「男らしい行為」とか「短髪も意外に似合う」「気の毒」など
本質を見ない、バカげた報道をしていました。
マスコミ関係者の読売に弱腰な態度にはあきれます。
ジャーナリズムが強いものに媚びてどうするんですか。
しかもあれは頭を丸めたのではなく「整髪」しただけです。
何か責任をとるのに「整髪」してくるバカがいるでしょうか。
とにかく長嶋のこんな責任の取り方はないでしょう。
前代未聞の超極悪事件です。
少なくともガルベスに対し、もっと野球人として厳しいペナルティを課すべきでした。
仮にも「ミスタープロ野球」と呼ばれている人です。(正しくはミスター読売)
巨人側にしか立てない人を「ミスタープロ野球」と呼ぶのはやはり間違いです。
ここでも不思議なのは、巨人ファンのほとんどが抗議をしていないとしか思えないこと。
何らかの意思表示をしてほしかった。
抗議行動はいくらでも方法があります。
投書、電話、読売新聞の不買、巨人戦を見ない、
「いくらなんでもあれはひどい」という世間話でもいいのです。
普通なら、あの行為に対して、厳しい声が沸き上がり
球団としてガルベスを雇うことが難しくなるくらいの状況になってもおかしくありません。
まず身内から批判の声があがらないと、
「勝つためなら、人道に反することでも何でもする」巨人の体質は変わりません。
いくらマスコミが論点ずらしをしても、何が起こったのかくらい理解できるはずです。
それとも長嶋茂雄が「整髪」してくれて良かったと本気で思っているのでしょうか。
巨人ファンでいることの「誇り」はただ勝つことだけなのでしょうか。
それとも実質2カ月の出場停止処分が妥当だと思ったのでしょうか。
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●2000/03/14
あるGファンがガルベスが出場停止になった時
「巨人はえらいよくやった」と言っていた。
巨人以外だったら永久追放はあたりまえだっただろう。
●2000/05/15
ガルベスの審判へのボールを投げた暴挙は酷いと思う。
奴こそ永久追放すべき人物だと思う。
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通常なら球団が「解雇」を選択するでしょう。
ちょっと骨のある、大沢啓二や豊田泰光、張本勲などははっきりと
ガルベスは日本球界から追放するべきだと言っております。
こういう声はなかなか大きくなりません。
巨人に対してモノが言える人が少ないのが一番の問題です。
何より、機構自体が「ナベツネの巨人」や「整髪した長嶋」の影に怯えており、
正しく機能していません。
機構の中に存在する読売関係のスタッフでも
事の重大さは認識できていたはずです。
しかし厳しく対処できなかった。
これが巨人じゃなかったら、と考えてしまうのは自然な成りゆきです。
機構とマスコミはあまりにも巨人に甘い。ガルベスに限ったことではありません。
ペナントレース終了後、
巨人はガルベスと1年間契約を延長します。
どんな人間だろうが、ガルベスは勝てる投手だからです。
それともうひとつ理由がありました。
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●1999/12/01
ガルベスが讀賣と再契約したそうだが来年の活躍に期待して...
ではなく中日で活躍されては困るという理由だそうだ。
●2000/04/09
ガルベスの犯した行為に対して読売球団は、どう考えているのでしょうか?
『まだ、使えそうだから雇えばいいじゃん。こんな事でクビにしちゃー勿体無いじゃん。』
ぐらいのモンでしょう。
半年だけ出場停止にして、後は何事も無かったかのようにする。
道義的責任なんてこれっぽっちも感じてない。
自分の都合しか頭に無いわけ。
読売球団もガルベスも反省してるとは思えないんですよね。
『ほとぼり冷めるまで・・・』が見え見え。
これが、逆の立場で他球団が同じような事を事をしたら、烈火の如く糾弾するでしょうね。
他球団の戦力を削ぎ落とすチャンスだから。
まあ他の球団ならガルベスは間違い無く解雇されてるでしょうがね。
●2000/05/21
今朝の「サンデーモーニング」で張本勲氏が言ってくれました。
氏がガルベス2軍落ちについてこう語りました。
「ガルベスは甲子園球場で審判にボールを投げつけた時点で
日本球界にいるべきではない。
自分のところに残しておいたのは、他球団に行って活躍されたら困る、
と巨人が考えているんです」(多少うろ覚えですが)
そう。これこそ僕が一番言いたかったことです。
了見の狭い球団ですね、巨人って。
工藤も江藤もメイも、みーんな他球団に行かれたら困る、
という理由で獲っているんでしょう。
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事件の翌年にあたる2000年、ガルベスは開幕から6連敗し、2軍へ落とされました。
その後2軍で好投するも、1軍へ上げてもらえないことに腹を立て
ガルベスから「1軍へ上げろ、さもなくばクビを切れ」と言い出したのです。
対して山室球団代表は
「解雇しない。ガルベスは巨人でプレーするか、プレーできないなら引退しかない」
と任意引退を口にしました。
これはちょっとしたカラクリがあります。
≪任意引退と自由契約≫の違いです。
選手が引退を希望すると「任意引退」となり、
任意引退選手はそれまで所属していた球団(巨人)に保留権があるので、
他球団との契約交渉は禁止(野球協約68条)されます。
つまり任意引退では、
ガルベスは他球団(海外を含む)でプレーすることはできなくなるわけです。
「やめてやる」と言ってやめるとそれでおしまいなのです。
球団が選手契約を解除する場合、
球団が選手の保留権を放棄する「自由契約」となります。
この場合どの球団とも自由に選手契約交渉ができるのです。
結局、巨人は他のセ・リーグでプレーされるのはごめんだと
暗に言っているようなものです。
そして時間は過ぎて、結果的に契約切れのため、
その2000年の11月28日に自由契約選手となりました。
その間、飼い殺していた形になりますが
日本の巨人以外の球団があのような選手をとるとでも思ったのでしょうか。
さて、とても紳士球団とは言えない事件を起こしまくっている巨人ですが
なぜ巨人は紳士でなければならないのでしょう。
この由来は、案外単純すぎて困ってしまうのですが
故正力松太郎が巨人軍を創設した際に掲げた、いわゆる「巨人軍憲章」といいますか
会社でいう「社是」、学校でいう「校訓」みたいなものでしょうか。
特に破ったところで法的な罰則はありませんが
マナーとか倫理とかを大切にしようという約束事みたいなものです。
「和の心」とか
「老人を大切に」とか
「花には水を、人には思いやりを」みたいな
ちょっと恥ずかしいけれど、人としての当り前の心の持ちようを
わざわざ恥ずかし気な言葉で表現していた昔の風習みたいものでしょうか。
・巨人軍は強くあれ。
・巨人軍は紳士たれ。
・巨人軍はアメリカ大リーグに追いつき、追い越せ。
巨人はこの3つを掲げて出発したわけです。
これだけ見ると、「夢」というものが感じられます。
単に強いだけじゃなく、人間的な魅力も兼ね備えて、高い目標をクリアしようという
素晴らしいものに思えます。
それがナベツネにかかると
・巨人軍は強くあれ、手段は選ばず
と人の風上にも置けない内容に早変わりします。
そして2つめの「紳士たれ」は無惨にも踏みにじられることになるわけです。
トップが紳士じゃないので守ろうにも守れない。
3つめは、もうどうでもいいような感じです。
・巨人軍はアメリカ大リーグに選手はやらないけどくれ。
と、もう国内で勝つことに特化してしまったといえるでしょう。
また、儲けることばかりに結び付けようと、
カネの猛者となって心がますます荒れております。
それは貧乏球団排除など、暴言の嵐を巻き起こし、
最近はファンまでもカネで釣り上げるような企画をたて
視聴率稼ぎをしている始末です。
これがマスコミによって正当化され、害をまき散らしていると私は考えるのです。
害とは荒れた心です。勝つことや記録のためだけを目的としたその姿勢です。
勝者がいれば敗者もいるのです。
あんなやり方では夢に破れた人間の心の行き場がない。
プロセスやチームワークに目がいかない野球には救いがありません。
どの球団も「勝つ」ためにやっていますが
巨人にはそれしかない。
また勝利至上主義は見事に選手のモラルの低下に直結しており
元木の淫行、江藤のレイプ、杉山の強制わいせつ事件
ヤジ、ラフプレー、故意死球、ビッグマウス、無反省など
とても醜い面が目立っていると思います。
ガルベスやメイのような不良外国人をあえて雇うなど
良識のカケラもない球団と言わざるを得ません。
やはりトップの問題が大きいと思います。
さて、ガルベスについて、その後どうなったかですが
2000年12月3日 株式会社よみうり・東京読売巨人軍 退団
2001年2月 米大リーグ・パイレーツ入団が決定的と伝えられます。
その3月下旬、チームメートの発言に切れて、
練習中に突如ボールを無人のスタンドに向かって投げ付け、
フロリダの自宅へ帰った、という話がありました。
相変わらずの行動のようです。
その後、韓国の三星というプロ野球チームに入団し
最近勝利を上げたそうです。
ガルベスはもう38歳とのこと。(結構な年だったんですね)
年齢とあのイライラ病と戦いながら頑張っているのかと思うと、
最初に書いた「史上最低のプレイヤー」の度合いを、
少し割り引きしてあげてもいいかなと思ってしまいました。
ぶち切れてる姿を見たら撤回すると思いますが… (^◇^)