| 2000年 2000年になってしまいました。 新年明けましておめでとう御座います。 アメリカズカップも二ッチャレは、セミファイナルで敗退。 残念でした。 まあ、アメリカズカップの歴史を見れば当たり前。 100年早い!!と言う所でしょうか? これで、あきらめないで次回も又チャレンジしてもらいたい 物です。それこそがチャレンジなのですから。 雲の上の話しはともかく 新年にあたって 今年のパゴのスケジュールなど、考えながら一杯やっています。 今年は、紀伊半島にとっ付くカナとか。 北へ上って三陸辺りをウロウロして旨い魚でも食うかな? とか、色々考えるのは、自由。 正月ぐらいはいいでしょ。 景気がナンだかあんまり良くないから、想像力までしぼんじゃいます。 地合いは2000年もう少し元気を出して せめてイメージの世界ぐらい……はね 本当になるかもしれないでしょ。考えていれば。 夜航海 ロマンチックな響きですが、これがどうして中々の物です。 基本的にパゴは、夜航海は、避けています。 どうしてか、危ないからです。 でも、悲しいかな。パゴは艇速が遅いので目的港が遠いとどうしても 夜航海が入ってしまいます。 良く知らない港に夜間入港は、絶対したくない事です。 ですから、時間と速力と距離を考えて、出航を夜間にすることがあります。 日本近海は、夜間でも場所によっては、本船のラッシュ状態です。 伊豆半島石廊崎 紀伊半島潮の岬、演歌でおなじみの尻屋岬など、 半島の先端は、本船航路が陸に寄っているので注意が必要です。 一応、レーダーリフレクターなどを付けて自分の位置を本船のレーダーに 映る様には、考えてはあるんだけど、相手の船の船員がレーダーを見ていなければ 一巻の終わり。それじゃあんまり悲しいので。 パゴでは、夜航海のワッチは、二人以上、必ず付けることにしています。 相模湾の事情は、ご存知の事と思いますが日本の沿岸は、何処に行っても 定置網だらけ、本当にやっかいです。 でも、いくつかの特別な例を除いて定置網は、沖合い2マイルまでしか 設置出来ない事になっています。 ですから、パゴでは、安全を考えて夜航海のときは。必ず沖合い3マイル以上 を航行することを厳守しています。 色々な困難は、ありますが、満天の星の中を波と風の音だけで走るのは 正に、宇宙の中を漂っている事を実感できます。 チョッピリ哲学的になったり、ロマンチックになったりします この忙しい世の中では忘れられている、命の危険を感じながら頑張る、 そして自分の命は自分で守るという当たり前な事と、、冒険が、夜航海には、 ある様な気がします。 たまには、あまりにも肥大化して、分業化した現代社会を離れて 真っ暗な夜の海に船出をするのも必要な事かもしれません。 夜明けの明るさが、本当に眩しく、ありがたく感じられるのも 夜の暗さがあるからこそ感じる事が出来るのだと思います。 とは言っても本当に船を沈めるわけには、行かないし 死んじゃったら何もならない。 そこで、レーダー、gps、など近代機器を装備して 少しでも安全性を確保する様に努力しています。 後は、日頃の練習と整備。 今年も、又パゴの整備と練習に週末はなる事と思います。 パゴ船長 |
| 水温むころ 三月にもなるとずいぶん暖かい日が多くなります。 そろそろ海の恋しくなる季節です。 天気の良い日に、ビールでもぶら下げて船の整備にでも出かけて見てはいかがですか。 半年ぶりの船は、だいぶくたびれている筈です。 ロープ類のチェック。 マストの点検。 儀装品の稼働状態を調べて、オイルもしくは、crcをくれてやり。 艇体にクラックや磨耗がないか調べて、ついでに半年分のほこりを洗って ワックスをかける頃には、汗ビッショリ 船台の上にあるピッカピカの愛艇を眺めながら 冷えた缶ビールの栓を抜きググッと最初のノド越し…… たまりませんな。 今年もやるぞッとという気になって来ちゃうから不思議です。 そこで、ビールも一カン目から二カン目に突入。 周りのメンバーと やれ、今年は、どうするの、こうするの話は、弾む訳です。 これぞ、クラブライフ!! 船の整備が、終わったらサッサと帰ってしまう様じゃあ船を持ってる 楽しみの半分しか味わっていません。 そんな時は、もうホラの吹き合い。 いくら吹いたっていいんです。 船乗りは、ウソはご法度ですが、ホラはいいんです。 ルールは、あります。 シラフになってから飲んだ時の事を持ち出さない。 海で飲んでいるときに、陸の話はしない。 当然、下ネタがあるはずがない。 これだけ守って飲んでいればまず問題はでない。 そこでポケットに手を突っ込んでいるほらお父さん! 貴方ですよ。アナタ! 今度の休みどうですか?海に行って愛艇の整備なんか? パゴ船長 |
| 航海 男は、車で、横須賀―横浜線を時速80キロで走っていた。 後、海まで20分、これから始まる航海の思いで信じられない程興奮していた。 周りの流れる風景は、薄っすらと薄茶色をして秋の気配を漂わせていた。 「やっとここまで来た」感慨の中で男は流れる景色に目をやりながら思った。 トンネルを抜けインターを降りて殺風景な通りをしばらく走ると後は、小さな峠をひとつ超えれば海に出られる。 山を切り崩して造成されたいわゆる研究都市は、人間のいや生命の息吹きの感じられない人造の都市だった。 車が、トンネルを抜けるともうすぐそこは頂きだった。 頂きに到着すると緑に枯葉色の混ざった山並みの向こうに 海岸線が切れ切れに望まれた。 男は、ここからの眺望が好きだった。 それは、あまりにも人間に侵食されてしまった海岸を見ないで済む距離が存在していたからだった。 そこから見る海岸の風景は、海上から見るそれと同じ種類の風景だった。 峠を下ると二つのトンネルがあった・二つ目のトンネルを抜けると、何も遮ることの無い視界が突然現れた。 目の前に海が広がっていた。 幹線道路を外れ車がすれ違うのも難しい脇道をしばらく行くと右手に海があり 海岸にへばりつくようにボートヤードが並んでいた。 海岸線に沿って車を走らせると小さなちいさな魚村に到着した。 この漁村が、男のボートの繋留してある場所だった。 航海2 昨夜からの南の風は、嘘のように止み朝もやを通して漁繋留索に舫われた船達がのんびりとそのカラダを休めていた。 まだ、はっきりしない意識の中、今日の航海のイメージだけが前頭葉のモヤの中にうかんでいた。 昨日のコーヒーを暖めなおしてコクピットで啜っているとコーがコンパニオンウェーを上ってきた。 「おはよう御座います。風止みましたね。」 アクビをしながら空を見上げた。 「昨夜は、ひどい風でした。あれはなんだったんでしょうね」 「今年の天気は、分からんね。多分、局地的な低気圧が出来てそこに吹き込んだんだろうな」 「シティヒートですか。無理もないよな。一晩中エネルギー使って遊んでるんだもんな。 熱くもなるよな。空気だって」 と誰とはなしに話しながら、一通り港の中を見渡して。最後に空を見上げた。 そして「コーヒーもらいます」と言ってキャビンに降りていった。 ドンドンドンドンと言う腹に響く漁船特有の排気音が彼方から聞こえてきた。 八メーター程の漁船が滑る様に 朝もやのなかを湾口に向かって移動していた。その斜め後方に突き出した二本の引き釣り用の竿からして、今の季節は、本メジ{本マグロの稚魚}の引き釣り漁に出て行く漁船だろう。 何もトローリングは、へミングウェーの専売ではないな。などと想って漁船の姿を目で追っていると舳先でロープを始末していた漁師が此方を向いて手を振っている。 誰かと思ってジッと目を凝らすとそれは、昨夜、港の漁師の集まる居酒屋で隣の席にいた漁師のようだった。軽く手を振って挨拶を返すと、彼は、空に突き立てて勇ましい返事を返してきた。 滑る様に走る漁船と仁王立ちのその姿は、これから戦に出かけていく武者を彷彿とさせた。 『おーい、コー中々いい景色だぞ。上がって来いよ』とコーを呼んだ。何となくやつに見せたい風の様な気がした. 返事が無かった。 「上がってきてみろ」さらに呼んだ。 「何ですか。」 と言いながら沸かしなおしのコーヒーを啜りながら彼はヒョッコリとハッチから顔を出した。 「あの漁船見てみろよ。絵になっていると思わない」 「いいですね」「気合入ってますね。」と言いながらジッと漁船を見つめていた。 「人馬一体て所だな」と言うと。 「やっぱいいですね。海は、」彼は、気持ちを込めて答えてきた。 「ん、、」あまりのまじめさに僕は、少し戸惑った。 「漁師も、俺達もかわんないじゃないですか。海に出て行くときの気合は」 「板子一枚下は地獄か。古いね」ちょっと茶化す様に言うと、彼は、 「でも、それがあるからあの船の気合が伝わってくるです」と断定的に言いきった。 話しが緊張して来そうな気配を感じて。 「あのバゥ{舳先}に居る漁師さ。昨日飲み屋で隣に居たやつじゃない」 「エーそうですか。」コーもこちらの意図を理解して話しに乗ってきた。 彼は、ジーと目を凝らして小さくなりつつある漁船を凝視した。 「そうです。そうです。アイツだ、アイツ、間違い無い、アイツですよ。」 コーは、パルピット{ボートの手摺り}から身を乗り出して手を大きく振っていた。 漁船は、既に、港の端の灯標のある防波堤の端まで移動していた。漁船は、そこでおおきく外海に舳先を向け、排気管から黒い煙を吐くと舳先を持ち上げ白い波をあげ速度をあげはじめていた。 漁師は、相変わらず舳先に立ちしっかりとゆくてを見据えていた。 「もう聞こえないょ。エンジンの音で」 コーは、黙って、漁船が沖の岬に、その姿を隠すまで漁船の後を追っていた。 朝飯も早々に出航準備を済ませた。ヤンマーのディーゼルエンジンがいつものように、規則正しいリズムで出航を待っている。 「行きますか」コーが気合の入った声をかけてきた。さっきの情景が、彼に影響を与えていた。 「コー、先は長いで、落ち着いて行こうや」 と一言かけて。 「キャストオフ」と号令した。 バゥの舫いが放されて、スターンの舫いにコーが付いた。船は、ゆっくりとバゥを岸から離し「スターン切ってください」とコーに声をかけた。コーは、索を片手にまとめると船の尻をひと押しして船に飛び乗った。 同時にギヤを前進に入れ船は、ゆっくりと離岸して行った。 大きく回頭させ先ほどの漁船と同じ進路に船を乗せた。 |