第21回フェブラリーS コメント
 単勝1・3倍と断然1番人気の関西馬アドマイヤドン(牡5、栗東・松田博)が、 中央のダートG1初制覇を果たした。スタートで後手を踏みながら外々と回りながら、 直線でねじ伏せた。勝ち時計は1分36秒8。昨年度の最優秀ダート馬の貫録を示すとともに、 3月27日にドバイのナドアルシバ競馬場で行われるドバイワールドC(G1、芝2000メートル) への壮行レースとなった。

 「フェブラリーSの舞台はオレのもの」。アドマイヤドンがしなやかなフットワークで先頭に立つ。 栄光のゴールまで、あと100メートル。安藤勝己騎手(43)が左ムチを1発、2発と入れ、 グイグイと手綱をしごき、35秒5の上がりで、トップでゴール板を駆け抜けた。 「勝って当然と周囲から言われていたし、ホッとしている」。名手アンカツは検量室に帰ってくると、 ようやく笑顔を見せた。

 圧倒的な1番人気の重圧などドンには無縁だった。 パドックでも返し馬でもゲートインの際にも悠然としている。3走前盛岡の南部杯では返し馬でカリカリして いたはずなのに。「随分変わったなあ。こんなに落ち着きすぎてええんかなあ」。 あん上でレース前に首をかしげたほどだ。

 スタートで後手を踏んでも慌てない。最大の長所である柔らかな筋肉が躍動する。 「スピードに乗れば押し切れる」と信じていた。徐々にポジションを上げ、直線で外に出す。 ブルーコンコルドが右の視界に入る。「後ろからスパッと切れる馬だけ気をつけた」。 アンカツはラスト1ハロンすぎに右を向き、安全確認をすると追い出した。 これまでレースと短期放牧を繰り返すたびに気性的に大人になった馬の力を引き出し、 勝つべくして勝った。

 「納得いく調教ができたし、重圧はそんなになかった」。このレースを初めて 制した松田博資師(58)も振り返った。もちろん、その先のドバイも見すえている。 「今が一番(状態の)いい時かもしれない。能力的には心配していない」。 3月19日に馬を送り出し、自らは同21日に出発する。

 次は世界の強豪が相手。「ドバイでもトップに立てるような競馬がしたい」。 マカオ、オーストラリアに次いで3度目の海外遠征を控えているアンカツの顔も自然とほころぶ。 海外へはばたくドンが念願のJRAのダートG1を制し、弾みをつけた。

1着 シンボリクリスエス
ペリエ騎手 「正直に言って、プレッシャーはなかったんですよ。 レース前はあまりに落ち着いていて元気がないのかと思わされたほどだったが、 これだけのレースをしてくれたのだから大人になったと評価したい。 スタート直後に行き場がなくなって、しんがり近くまで下がったんです。でも、あの馬ですから、 多少は外々を回っても大丈夫だろうと思っていました。 直線は1頭になるとふわっとしてしまうところがあるのでジッと待ってから追い出した。 フットワークに力強さを感じさせない馬だけに、(逆に)奥の深さを感じさせられる こんなに体が柔らかいダート馬は、今まで乗ったことがありません。力強さがない分、ドバイの砂は合うと思うんですよ。 ドバイでもトップに立てるような競馬をしたいですね」
松田博調教師 「プレッシャーはなかった。前より落ち着いていますし、もう大丈夫だと思います。 自分で納得のいく調教ができていたからレースは心配していなかった。 短期放牧に出すたびに落ち着きが出てきていたし、今が一番いい状態だろう。 3月19日に出発する。ドバイは環境の違いと輸送が心配だが、いい結果を出して帰って来たい」
近藤利一オーナー 「スタート直後からしばらく続く芝に戸惑ったような走りで、初めはリズムに乗り切れなかったようだ。 勝ててよかったし、ホッとしたよ。ファンに握手を求められたのが嬉しかった。 この寒さの中、一体になって応援してくてれて感謝にたえない。ドバイに向け、これ以上ない弾みとなったね」
ノーザンファーム・吉田勝己社長 「アドマイヤドンもサイレントディールも本当に強かった。苦しいところからきっちり抜け出してきたね。 なんでこの一族はここまで凄いかって? 能力が違うということなのだろうが、どうしてかは私にもわからないよ」
2着 サイレントディール
ペリエ騎手 「きょうも少し行きたがったが、すぐに落ち着いてリラックスしてくれた。きれいな跳びをするからスペースを作るのが必要な馬だけれど、 きょうは外からギューッと押し込められるような感じで馬群が詰まって、この馬のストライドで走れないところがあった。 やっぱりマイルの方がいいね。ドバイWCにはモハメド殿下は必ずペースメーカーを用意するから、 流れが速くなる分、いいと思う」
3着 スターリングローズ
福永騎手 「もまれ弱いので外枠が良かった。今までも外枠だと走っているし、 何でこんなに人気がないのかと思ったぐらい。勝ったアドマイヤドンは別として、 ほかの馬にはそう負ける気はしなかった。きょうも追い出しを我慢したつもり。これで仕掛けが早いと言われるとつらいけど、 最後までドンと馬体が合う形なら、もっと際どくなったかも」
4着 ミツアキタービン
東川公騎手 「流れが遅いのでこれでいいのかなとも思ったけど、気分よく走っていた。 最後はやられたけどうまくレースを運べたんで、直線も長く感じなかったよ」
5着 ブルーコンコルド
松永幹騎手 「一瞬、突き抜けるかと思った。ただ、あのペースだし、前も止まらないからね……。放した時の勢いは凄かったので、 行けると思ったんだけど。これからの馬なので、今後に期待してくださいったね」
7着 イーグルカフェ
岡部騎手 「切れ味勝負の流れになっちゃたし仕方がないね。着差はいくらもないし、よく走っている」
8着 ユートピア
四位騎手 「気合も乗っていたし具合は良かった。結果論としてはどこかで外に出せれば良かったんだろうけど、 あれだけ固まっちゃ内で辛抱するしかなかった」
9着 ノボトゥルー
武豊位騎手 「このペースじゃ無理。中央競馬じゃないね。ペースが全然合わなくて最悪の展開。不完全燃焼で終わった、きょうは仕方ない」
10着 ブイロッキー
中舘騎手 「ゲートは遅いと聞いていた。後ろからの競馬になったが、終いは良く伸びた」
11着 ストロングブラッド
安藤騎手 「直線では勝ち馬の後ろにいたが、思ったほど伸び切れなかった」
12着 トーシンブリザード
石崎騎手 「一瞬いい感じで来たんだけど、坂を上がってから止まっちゃったね。 まあ大した負けじゃないので、そのうちあるでしょ」
15着 ヒューマ
藤田騎手 「距離は問題ないが、ペースが遅すぎたよ」
16着 ノボジャック
ヒューズ騎手 「距離が長いよ」