工学研究科修士論文概要書

13年度                                                      

専攻名

 

氏名

指導

教員

 

コース名

 

 

題目

ボールエンドミルでの切削状態のモニタリングに関する研究


 

1.研究目的

  

金型加工のようなマシニングセンタなどを使った長時間切削では、工具摩耗や欠けによる製品精度や仕上げ面粗さの悪化が問題になる。そこで、信頼性のある切削状態の監視手法が必要になる。本研究ではボールエンドミルを用いた切削加工中の摩耗や欠けを検出する手法を開発することを目的とする。

2.実験内容

 

 

 

  

 

 

 

1の実験条件で図1のようにNCフライス盤を用いてφ10のボールエンドミルで被削材を水平方向に切削加工する。切削加工中に切削力を被削材下部に取り付けた3成分の動力計で測定し、加速度を加速度計にて測定する。切削加工後にボールエンドミルの逃げ面及びすくい面を顕微鏡により測定する。そして切削加工中に得られた切削データを解析し摩耗や欠けの検出手法を検討する。

 

表1.実験条件

被削材材質

50C

送り速度      mm/ min

320

切込             mm

1

回転数           rpm

2700

工具突出し長さ  mm

40

 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
3.実験結果
 

3.1逃げ面の加工への影響

約4時間切削したときボールエンドミルの切れ刃逃げ面の摩耗は図2のように摩耗幅約0.2mmに達し同時に刃こぼれのような欠けが確認できた。被削材のダウンカット側アップカット側の表面には粗く弧を描くようなカッターマークが残り、また中央には溝のような加工痕も見られた。そのことから逃げ面摩耗幅約0.2mm付近までを研究対象とした。

 

 

 

 

 

 

3は図2の時点での切削力3成分X(切削方向に直角方向),Y(切削方向),Z(垂直方向)と加速度の時間変化ACCである。切削力の3成分X,Y,Zと加速度はいずれも切削初めに比べて大きくなった。

 

  

3.2解析

 1)パワースペクトルによる加速度信号の解析

5、図6はそれぞれ切削開始後約1時間、約4時間の加速度信号のパワースペクトルをその最大値で無次元化したものである。

 

 

 

  

 

 

 

摩耗が進行してくると図5のように周波数1000Hz以降突出した値が出てこなくなるのに対して、欠けが進行してくると図6のように1000Hz以降に突出した値が出てくるようになる。これは、刃が欠けると形状が変化したことにより周波数特性が変化したためではないかと推測でき、また画像でも切れ刃の変化を確認することができた。加速度信号のパワースペクトルからも摩耗及び欠けの検出が可能であることが分かった。

 

  

2)切削力の解析

 図7は切削力のZ方向成分を切削力の合力で割って無次元化したものである。切削経過時間が長くなるほど切削力のZ方向成分の変化が狭くなり、図7より切削力の波形の形を使っても、摩耗及び欠けの検出が可能であることが分かった。

 

  

 

 

. まとめ

 本研究の結果、限定された加工条件の範囲であるが今回用いた手法でボールエンドミルの摩耗及び欠けのの検出が可能である事がわかった。手法は

1) 加速度信号の自己共分散あるいはパワースペクトルを用いたパターンマッチング、

2) 切削力の3成分X,Y,Zの波形のパターンマッチング、

の二つである。