No.56 間ノ岳 3189m・北岳 3192m 2003/09/13〜14

 相棒の職場の元登山部Y君の話によると「北岳はマジ辛いっす」なので、私にはまだ登れるだけの力量がないと思っていたが、ついに挑戦する日がやってきてしまったのだ。
 誰かに「行け」と決められて登るわけでもないので、辞めたかったら辞めればいいんだけど「マゾ山特集」による影響が残っていたらしい。3連休だし行こうかと言う話になってしまった。
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 広河原までは通常夜叉神峠から行くが、去年と今年の春の土砂崩れが復旧せず、早川町の南アルプス公園道路を通って広河原へ。しかもその道路は狭いので、時間交代で一方通行になっている。時間に間に合うように近くの奈良田の道の駅へ行って仮眠をとった。
 朝起きて、広河原へ向かうと、交通整理のおばさんが何かごにょごにょ言っている。聞き返すと広河原へ行けないわけではないので、あまり気にしなかった。
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 1日目
 支度をして上り始め、小雨が降ったり、自分たちも最近続いた残業で疲れがたまったまま歩き始める。天気は曇り、雨は上がったけど、湿気があり、あまり気分よく進むことができない。広河原のつり橋からほとんどまっすぐ八本歯のコルに向かっているはずなんだけど、何時間あるいても全然たどり着かない。
 歩いても歩いても全然どこにも着かないので、かなり気分も落ち込み。だんだん足も重くなってくるし、眠たくなってきてしまった。ちょうと12時になったので、思い切って休憩する事にした。後ろを振り返ると自分がずいぶん高いところにいるのに気づいた。実はどんどん斜度がきつくなり、今たっているところだって30度以上あるに違いない。
 道具が転げ落ちないように気にしながらお昼ご飯。ご飯を食べたら少し気分も持ち直して元気になった。
大樺沢を上から眺めると・・・
 斜面はどんどん急になり、ついにはしごになった。とにかくはしごが続く。はしごは本当にきつい。ふうふう言いながら小一時間はしごを上り続けると八本歯のコルに着く。天気は一向に良くならず、風も強まってきたので、細い稜線で風に吹かれると結構怖い。
 体も疲れが出ていたし、雲で北岳どこ?状態だったので、とりあえず北岳山荘へ行き、今日は休むことにした。北岳をまいて崖っぷちを行く山荘までの最短ルートを進む。風はどんどん強くなり、大きな荷物をしょっているとあおられてかなり怖い。時折吹く突風に、石にしがみついてこらえたりする状態。もう早くテントにもぐりこみたい。
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 ほんと目と鼻の先の山荘も雲で見えず、見えない辛さを味わいながらやっとたどり着く。風が強いので、テントを張ろうか、素泊まりにしようか少し悩む。山荘の人が言うには、こんな天気の日でもテントの人はいるとのことで、テントを張ることに決める。
 風で飛ばないように、念入りにペグを打ってテントを張る。山荘の横には屋根つき電灯つきの自炊場があるので、そこで晩御飯を用意して夕食。屋根の下がこれほど快適なのかと思いながら夕食後も長々とお茶をしたりしていた。
 風はどんどん強くなり、7時ごろ心配になって外を見るとテントがあおられて今にも飛びそう。あわててテントに戻った。自分たちが重石になるしかない状態だったので、そのまま寝袋にもぐってテントの四隅に沿って体を置いて横になった。
 轟音とともにやってくる強風にテントが飛ばないように、柱を手で押さえながら黙って耐えているうちに眠ってしまったけど、11時ごろには風も収まりそのまま朝へ。
 
 2日目
 ストレッチもできず、テントを押さえるのに手を上げっぱなしで寝たので、体は疲れが取れず最悪状態。風は収まったけど、雲の中なのは相変わらず。これじゃあ何も景色は見えない。
 間ノ岳へ歩き出す。荷物をテントにおいて、身軽で出かけた。途中ツアーの団体さんを何組か追い越す。3000mを越える日本一高い稜線歩きはやっぱり空気が薄くてしんどい。
 間ノ岳は第4位の標高の山、晴れたらきっと景色が良いんだろうなあと思いつつ、証拠写真だけとって引き返す。間ノ岳から戻る途中からだんだん雲が切れ始め、ほかの山が見えはじめた。
 北岳山荘につくころには、かなり良い天気になり、富士山・鳳凰三山・甲斐駒・仙丈・八ヶ岳などなどがみえた。鳳凰三山を眺めながら軽く食事にする。何年か前、鳳凰から北岳を眺め、「いつかは行けるようになるんだろうか」と思ったところに今いるんだと思うと、ちょっとうれしい。
鳳凰三山と富士山
 テントを片付けまた重いザックを背負って北岳と八本歯のコルへの分岐まで行き、荷物を置いて北岳への最後の登りを上り始める。ここは本当に急で、砂がざらついていて歩きにくい。斜度は45度はあるに違いない(登山道はスイッチバックだから幾分ゆるいけど)。
 きついきつい登りを行くとやっと山頂へ。山頂からはまたまた雲であまり景色が良くない。けれど今回ばかりは登れた達成感でとても満足。
 軽くお菓子なんかを食べながら休んでいたら、おじいさんと20歳くらいの孫2人が言い合いをしている。おじいさんは山頂までやってきてとても疲れてしまい、ゴネている様子。「オレはここで寝るんだ!」と言っている。孫二人はおじいさんに「よくこんなところまで来るよなー。疲れたならもっと前に言えよ。」なんて話してる。おじいさんも負けずに「夜遅くに電話かけてくるからだ。お前のせいだ」なかなか激しくやりあっている感じ。
 おじいさんがいくらゴネても、どのみち山小屋に行かないと休めないのだから、孫二人はおじいさんをどうにか山小屋まで歩くように説得している。おじいさんのあまりのゴネっぷりに、とある男性が「ボクはここまで3本飲むと思ったけど2本で済んだからジュースあげます」とかなり意味不明な説明をつけて紙パックのジュースをプレゼントしてみたりしていた。
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 南アルプス公園道路の通行時間が決まっているので、あまりのんびりしていられない。山頂からはよい展望はなかったけど、下山はじめる。
 下山を始めたころからさらに天気が良くなり、バットレスが目の前にそびえ、向こうには甲斐駒が見え、という本当にすばらしい景色になった。バットレスからはクライミングする人たちの合図する声が聞こえてくる。
 北岳と八本歯のコルの分岐から、八本歯のコルまでのほんの少しだけ、このすばらしい景色が堪能できた。かなり満足した。
北岳バットレス
 くだりの途中まで、別の中年夫婦と一緒のペースで下っていたが、私の足がへろへろになりかなりペースダウン。相棒に少し荷物を持ってもらって、調子を取り戻し下山した。
 相棒は下山途中で石を蹴ってしまい、足の親指の爪を剥がした。ヤツはまた今年も爪に左右される人生を送るらしい。
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 金曜日の夜、自分たちが通った後に、52号から早川町へ入る道路が土砂崩れで通行止めになった。広河原に行くときに交通整理のおばちゃんがごにょごにょ言っていたのはこのことだったのだ。早川町役場から山奥へ変な道を延々1時間あまり迂回して52号へたどりついた。なかなかレストランにたどり着けないので空腹で死にそうだった。
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 足の爪に左右される人生を送っている相棒が「爪を生やすには何がいいかなあ」と言うので、クリームを塗り生え際をマッサージすると良いとアドバイスした。相棒の爪は例年になくきれいで順調に伸びていた。後日私はその爪の理由を知ってしまった。相棒は私の顔に塗っている一番高いクリームでマッサージしていた・・・つややかなはずだ!!

<水場のこと>
 登山口にはトイレと水場がある。登山道途中には水場がなく、小屋には水場がある。
<駐車場のこと>
 広河原に大きい駐車場があるが、ハイシーズン車が一杯のときもある。
<帰りの温泉のこと> 
 ヘルシー美里の温泉に入ってきました。ちょっとぬるめ。
<携帯電話のこと> 
 結構奥地なのでNGだった。
<ピンバッジのこと> 
 北岳山荘にありました。

タイムテーブル
1日目
出発 到着 場所 歩行 累積歩行 休憩 累積休憩
. 7:30 広河原 . . . .
7:55 8:00 休憩 0:25 0:25 0:00 0:00
8:55 9:05 休憩 0:55 1:20 0:10 0:10
9:25 9:35 休憩 0:20 1:40 0:10 0:20
10:05 10:20 白根御池小屋への分岐 0:30 2:10 0:15 0:35
11:00 11:10 休憩 0:40 2:50 0:10 0:45
11:35 12:15 昼食 0:25 3:15 0:40 1:25
12:45 12:50 休憩 0:30 3:45 0:05 1:30
13:25 13:30 休憩 0:35 4:20 0:05 1:35
13:35 . 八本歯のコル 0:05 4:25 0:00 1:35
13:50 14:00 休憩 0:15 4:40 0:10 1:45
14:10 . 分岐 0:10 4:50 0:00 1:45
14:40 14:45 休憩 0:30 5:20 0:05 1:50
15:00 . 北岳山荘 0:15 5:35 0:00 1:50

2日目
出発 到着 場所 歩行 累積歩行 休憩 累積休憩
6:55 北岳山荘 . . . .
8:10 8:20 間ノ岳 1:15 1:15 0:00 0:00
9:30 11:10 北岳山荘 1:10 2:25 1:40 1:40
11:50 11:55 分岐 0:40 3:05 0:05 1:45
12:20 12:35 北岳 0:25 3:30 0:15 2:00
12:55 13:00 分岐 0:20 3:50 0:05 2:05
13:20 . 八本歯のコル 0:20 4:10 0:00 2:05
13:40 13:45 休憩 0:20 4:30 0:05 2:10
14:20 14:25 休憩 0:35 5:05 0:05 2:15
14:40 14:45 休憩 0:15 5:20 0:05 2:20
15:35 15:40 休憩 0:50 6:10 0:05 2:25
16:10 . 広河原 0:30 6:40 0:00 2:25