スカイライン GTーR(BNR32)
bnr32

 この車を手に入れるまでは相当の準備を要した。正直言ってGTRが登場した約11年前から憧れ の車では有ったが、その値段とスーパーカー的な性能からとても自分が手にする車だなんて考えもしなか った。ただ、欲は出てくるもので、有る程度車の運転に自信がついて、もしかしたら自分でもGTRが扱 えるのかもしれないという気持ちと、もはや中古でしか手に入る手段がなくなってしまい新車ほどの費用 を支出しないで済むと分かってから、まんざら夢ではないと感じ始めた。ロードスターに乗り始めて有る 程度思い通りに操れるようになっては来たが、実際にサーキットなどではハイパワーのターボ車をコーナ ーでは遅いので抜けるのに、直線になると何の苦労もせずに抜かれてしまうのを目の当たりにして、車は やはり絶対的な性能が良くないとダメだと痛感し始めていた。そんな頃に偶然にも車をぶつけて壊してし まい、だんだんと愛着が薄れ始めてきてしまった。そんな経緯もあって本格的にGTRを探し始める。型 は当然R32である。R33は自分の好みとはだいぶ違っていた。他に実はランエボとインプレッサにも 少しひかれたがGTRのもつ絶対的なカリスマ的な魅力はそれらを払拭するのに充分であった。とにかく 値段が高かった事もあり、低年式の安い車も考えたが(それでも200万円以上はした)、色々と中古車 屋を渡り歩いて、店員の人の話を聞いていると、とにかく高年式で走行距離が少ない程度のより車にした 方がよいと言われ、結局自分としては考えられる一番その条件に合う車を手に入れることとなった。

 平成5年式のR32GTR。値段は5年落ち近い中古車とは考えられないほどの値段。おそらく世 界広しといえども、これほど中古になっても値段の落ちない車はあまり無いのではないか。そんな車をま さに今手に入れないともう一生こんな程度のいい車は出てこないし、今手に入れないともう乗る機会は無 いぞという気持ちであった。中古車屋にちょこんと置いてきたロードスターにとても後悔を感じながらも、 その日にGTRを受け取るとそんな感慨は一瞬にして消えた。自分がGTRを手に入れ運転していること が信じられなかった。試乗の時にはすこししか踏めなかったアクセルを思いっきり踏んでみたら、GTR は今まで自分が車では経験したことの無いようなとんでもない加速を始める。血の気が引くのを感じなが ら改めてこれは車ではなくて「マシン」だと実感した。GTRは重い。ロードスターは1トン無かったが 今度は1.5トンも有る。それは加速時は有り余るパワーでものともしないが、コーナリングにおいては やはり重さを感じるが、実際はロードスターを遙かに上回るスピードでものすごい安定感でコーナリング していく。走る精密重機械は、まるで自分の手を離れて勝手に走っていくようにも感じる。ただ調子に持 って走っていると燃費が簡単に5km以下になり目が点にもなった。

 とにかくそのスタイリングは第一のお気に入りだ。猛禽類のような鋭いスタイルは最近の車には無い スパルタンなイメージだ。低く見える車体デザインと幅の広いブリスターフェンダーはこの車がただモノ ではないことをそのまま表している。そのコクピットはバブル全盛の頃にデザインされたためか、最近の 車にありがちな悲しいくらいの部品のコストダウンと共用化はみじんも見られない。RX−7もかなりひ かれる車では有ったが、試乗してみて400万円近い車のそのインテリアとは思えず第一に候補から落ち た。一気にさめたというやつだ。GTRにはアンテナがない。でもラジオは入る。フロントガラスにアン テナがビルトインされているらしい。今では考えられないような発想だ。空力とデザインのためだろう。 あと驚いたのがパワークラッチ、エンジンが止まっているとやたら重いが、パワーアシストが入るとちょ っと重いくらいになる。それでもロードスターよりはだいぶ重いが。ハイパワー故に普通のクラッチの圧 着力では足らないらしい。