トライアスロンの世界(7)

トライアスロンとはいったい何なのかについて紹介をしています。

どんな練習をするのか(ラン編)

 ランはトライアスロンで3番目にある種目です。一番疲れたときにやってくる一番過酷 種目です。ランはマラソン競技でも一般的に有名であり、ジョギングをしたりマラソンの大会 に出たりするのはかなり一般的な事になってきました。でも、トライアスロンにおけるランが 単なるマラソンと違うのは、その前に既にスイムとバイクという過酷な2つの競技を終えてい るということです。ランに至るまでには既にショートでも2時間、ミドルやロングなら4〜8 時間近く体を酷使しており、単にマラソンだけをやるのとは体力的にも精神的にも異なってき ます。

 トライアスロンの大会は長い時間がかかりますが、いくらでも時間がかかって良いわけでは ありません。要所々々に制限時間があり、そこに達することが出来ない場合はリタイヤになり ます。丸一日近くひたすらゴールを夢見て努力してきて、目の前でタイムリミットでリタイヤ になったらいったいどのような気持ちなのか。幸いに私はまだ大会でタイムリミットでリタイ ヤになったことは有りませんが、さぞかし無念なことでしょう。ランに入れるということはス イムとバイクの時間制限を無事に越えられたということでも有るのです。選手としてもかなり 嬉しい瞬間でも有ります。2つの大きな山を越え、あと1つ越えればいいだけですから。

 でも、安心してばかりはいられません。2つの競技を越えてきたダメージは確実に体力と精 神力を削り取っています。足腰には濃い疲労が蓄積され、集中力を保ち続けていたメンタルな 部分にも崩壊の危機が忍び寄ってきます。心も体も何かのタイミングで崩れ落ちていきそうに なるのです。即ちリタイヤです。8時間もスイムとバイクを続けてきたあとに42キロものフ ルマラソンが待っている状況は、普通の人間では想像がつかないでしょう。その為、普段のラ ンの練習もそのような身体的、精神的な状況を想定して練習を行う必要があります。

 まず、ランの練習は距離を走れる必要があります。速く走ることも大切ですが、その前段階 で決められた距離を確実に走破できなくてはならないのです。だから最初はとにかく遅くても 良いので長時間かけて長い距離を走れるように練習します。少しづつでも良いので距離を目標 まで伸ばしていきます。最初は途中で歩いても休んでもやむを得ないので、とにかく体に距離 の感覚を覚えさせます。走ったことがない距離を走りきるのはたぶん無理です。精神力でカバ ーできるのは限界があります。元々極限状態なのですから。まずは短い距離を繰り返し練習す るのもいいかも知れません。とにかく継続的に走って体を慣らしていくように心がけます。ス イムやバイクの他の種目と組み合わせて練習するのも効果的です。いくらランが速くなっても スイムやバイクの後だと予想外に疲労していたり、体にダメージが強い箇所が有ったりして思 い通りに走れないことも多々有ります。そんな「悪い状態」のことを予め想定して、体にも心 にもマージン(余裕)を取って練習しておく必要があります。これはとても大切なことです。

 それから、ランも特に距離が長いレースのほど補給(エイド)が重要になってきます。物を 飲んだり食べたりしながら走るなんて信じられないかも知れませんが、トライアスロンではご く当たり前のことです。補給をしないと動くことができないからです。私が所属しているチー ムのランの練習に初めて参加した時に、昼ご飯をめいっぱい摂った後に直ぐにランを再開した のには驚きを隠せませんでした。水ばかり摂っていると胃の調子が悪くなってくるので、ゼリ ー状やタブレット状の栄養補給食品を多用したりもします。梅干し、レモン、スポーツドリン クなども大切な栄養源です。日が落ちて寒くなって来た時など温かいスープやコーヒーなどが とても嬉しいときもあります。炎天下の場合は冷たい水や氷などに助けられます。ランはもは や自分の足だけで走っているのではないのです。沢山の応援やサポートと、ここまで来られた という自信と、ゴールまであと少しだという自分を励ます気持ちなどに支えられて前に進んで いるのです。やはり練習でも補給を意識しておくといいかも知れません。

長い時間困難に耐えてひたすら前に進み続けてきた自分の前には感動のゴールが待っています。