トライアスロンの世界(8)

トライアスロンとはいったい何なのかについて紹介をしています。

トライアスロンが他のスポーツと違うのは何か

 トライアスロンはその名の通り3種類のスポーツを組み合わせたスポーツです。水泳、自転車 、マラソンはそれぞれ別々に独立したスポーツでしてレースなども盛んに行われていますし、スポー ツとして楽しんでいる方も多いと思います。トライアスロンはこの3種類のスポーツの中でどれが一 番辛い(難しい)のかを言い争っているうちに、それなら一度にやってしまえといった感じで生まれ たスポーツです。初めてのレースはトライアスロンの聖地ハワイで行われ、その後全世界に広がって いきました。

 トライアスロンは他のスポーツと比べていったい何が違うのでしょうか。トライアスリートがトラ イアスロンを始めるきっかけは、何もやっていない状態からいきなり始めるのではなく、スイム、バ イク、ランのうちの何か1つ、または複数をまじめにやっていて、あるタイミングでトライアスロン を始める人が多いようです。そして始めた後も個別のスポーツは続けていることが多いです。事実私 も自転車が好きで色々なレースやイベントに出ているうちに、そこで出会うすごい人にトライアスリ ートが多く、マラソンに関しても大会等にたまに誘われて出ていたこともあり、トライアスロンの世 界に首を突っ込むことになりました。スイムは未だに不得意ですが。。。

 それぞれ個別に競技として成り立っているスポーツを組み合わせただけのトライアスロンが何故他 のスポーツと決定的に異なるのか。それは競技自体の体力的、精神的に難易度が非常に高いというこ とは勿論ありますが、レースと同じ練習がかなり難しいということです。例えば他のスポーツはレー スや試合に出るにあたり事前にかなりの練習をします。野球やサッカーは炎天下に長時間練習したり、 マラソンや水泳もレースの前にそれ以上の距離や時間を練習してからレースに望みます。要するに事 前にレースのシミュレーションができ、本番では予定通りにそれが出せるように予め準備をすればい いわけです。

 それに対してトライアスロンの特にロングのレースなどは競技を行うのにかなり広範囲の場所と時間 を要します。スイムは海を使いますし、バイクやランも道路を用います。そして危険なため海にはラ イフガードや監視船、コースロープを配置し、道路は交通規制を行い転倒パッド、三角コーン、コー ス表示などの様々な準備をします。バイクやランに移る際にトランジット(着替えなどの準備をする 箇所)も必要ですし、飲み物や食べ物を得るためのエイドステーション(補給所)もかなりの数が必 要となります。スタートやゴールなどの競技場も必要となります。それこそ小さな町なら丸々1つ必 要としてしまうくらいの設備や環境がいるのです。これくらいの準備がないと極限状態でレースをし ている選手に最大の力を出させてあげることができません。走っている車に注意したり食料の水の心 配をしたりしていてはレースにならないからです。たくさんの手でみんなで支えてあげないと直ぐに 転んでしまう、自転車に乗れるようになったばかりの子供のようです。例えは良くないですが。。

 そして何より大切なのはレースの運営に係わる人々です。レースの準備から当日のレース、レース 後の後片づけ至るまで大変に多くの人々の助けが必要になります。ライフガードやレースオフィシャ ルや審判員、報道、エイドスタッフ、病院などの医療機関、警察や消防、地元の役場など、そして何 よりの心の支えになる地域の多くの応援の人々などです。ボランティアの人々にもたくさんお世話に なり、宮古島大会では選手は1500人ですが、ボランティアの人々は高校生などを含め6000人 以上、応援に至っては何人いるのかさえ分かりません。特に宮古島の学生の方達には休みの日を返上 してエイドスタッフ、レース後のマッサージなどでも大変お世話になりました。宮古島ではトライア スロンのレースを島の一大イベントとして島全体で支えてくれているのです。多くの人々の事前準備、 レースのサポートや応援で大変なお世話になることにより選手は長時間で長距離な困難なレースを戦 うことができるのです。 1つでも欠けたら完走は不可能でしょう。仮に自分一人でレースと同じ内容(例えば宮古の場合はス イム3km、バイク155km、ラン42.195km)を連続して一度にやろうとしたら無理で無 謀なばかりか危険でもあります。溺れるかも知れませんし、練習中の補給もままなりませんし、極度 精神的、身体的なの疲労で交通事故や体調トラブルに遭うかも知れません。そして何より応援による 精神的な支えがないとはっきりいって無理です。自分一人ではどうにもならないことが有ります。自 分を一生懸命応援してくれる人々や仲間、いっしょにレースに出る選手達がいるから12時間にも渡 る長丁場を越えていけるのです。

 他のスポーツはレースや試合前に同じ内容のシミュレーションができると言いましたが、トライアス ロンははっきり言ってぶっつけ本番です。勿論厳しい練習は積んできますがレースと同じ内容はレー ス当日しかできないのです。自分がレースを耐えられるか、納得のいく内容で完走できるかは自分で さえも分からないのです。だからこそレースを完走したり納得のいく結果が残せたときの喜びが大き いのです。これは実際に経験した人でないと分からないと思いますが。。。

 トライアスロンの魅力は実際に自分でやってみないと分かりません。そしてトライアスリート自身で さえレース前にはその結果を全く予測できないのです。トライアスロンにはトライアスリートにしか見 えない風景、経験できない気持ちがあります。これがまた難題であり魅力的でもあるのです。トライア スロンがトライアスリートを引きつけて離さないのはこんな所にあるのかも知れません。

 トライアスロンのレースでゴール後に泣いているトライアスリートを結構見かけます。それがどうし てなのかはトライアスリートだけが知っています。それを口で説明するのは無理なのです。