与那国島
yonagunijima

 小さな頃から漠然と日本で一番西にあるらしい島と覚えていた所にやっと来る ことができた。日本最北東南端をすでに極めている自分としては最後の砦の最西端で ある。東京から2000kmも離れ、台湾まで125kmしかなく天気のいい日は見 えるらしい。石垣島からフェリーで4時間もかかる。西表島の少し向こうくらいと思 っていたので島影の何も見えなくなった大海の上でだいぶ心細く感じる。雲一つない 空には水平線の上に入道雲が垂直に何本も伸びている。さすがに海は深いらしく、濃 く深い深い青色だ。飛び魚がお互いに交差しながら何十メートルも飛んでいく。初め て見た。島が近くなるとやはり山が見えてくる。200m位の山だが起伏に富んでい てきれいな島だ。港に入っても海が透明で、船が宙に浮いてスケルトンのようだ。港 から上陸するとついにこんな所まで来てしまったという気持ちがひしひしと感じてきた。 天気は超が付くくらいの晴天で、日向にいると圧迫感を感じるほどの太陽の強さだ。 身の危険を感じながらも「やっぱとりあえず最西端でしょ」と言うわけでゆっくりと 自転車のペダルを回す。港から500m位の所に最西端の碑が有った。日向に立って いると体から水分が蒸発していくのが分かるくらいの気温だ。残念ながら台湾は霞ん で見えない。初めて北海道に行き宗谷岬からサハリンを探したときも興奮したが、こ こもそれは変わらない。日が強すぎて日陰でしばし休憩。ビーチに行ってみるが太陽 が強すぎて被爆しそうであきらめた。水は夢のように透明できれいなのだが。日陰に 座ってとんでもなく青い空を見上げながら、島唄が頭の中をエンドレスにぐるぐる回 っているのを感じる。意を決して島の中心地の祖納を目指す。距離にするとたいした こと無いのだが、暑さのため砂漠の道を走っているようだ。途中で馬がこっちを見て 暑いだろ、という顔をしていた。与那国空港まできて暑さに耐えきれず中に入ってク ーラーで涼む。きれいな空港だ。でも1日数便しか飛んでないので昼過ぎには閉店 (?)してしまう。ウオータークーラーでボトルをいっぱいにして、炎天下に出てい く。思いの外大きな町に自転車を進み入れて行くと、人があまりいないのに気づく。 南国に全体に言えることだが暑いに中は人の往来があまり無い。自転車なんかこいで いるご苦労な人はやはり自分くらいだ。そんなことならと逆にえばりながら町をうろ つく。細かい道が起伏に富んだ町にうまくはしっている。民宿が多い。登り道が青い 空に伸び、そのまま遠くの海に消えてしまいそうだ。オリオンビールを飲みながら自 転車でフラフラする。自転車はいいね。酔っぱらい運転にならないしね。ホントはい けないけど。ここならいか。そんな感じだ。この太陽と海と空は。テンタバナという 巨大な岩に中腹にくりぬいたような道があり、祖納の町が見渡せる場所に行く。静か な町が一望だ。案内板の書かれた文書は、少し昔は島に住むのは命がけなほど大変だ ったと記されていた。翌日、島を右回りに回る。あいにくの曇り空で少し肌寒いくら い。9月上旬だというのに。昨日とはえらい違いだ。放牧された馬のおかげで島最東 端の岬は馬フンだらけだ。軍艦岩もまあこんな感じか。今度はすばらしいこの海を満 喫するためにダイビングでもやってみよう。曇ってしまうと何かもの悲しい島を飛行 機で後にした。