これは比較的最近の事件ではある。
事件性は薄いのだが、私が猛烈にびびってしまったんで載せておきます。
夏である。夏といえば、いろんなOBが艇庫に帰ってくる時期でもある。懐かしい人間が帰ってくるのはうれしいものだ。
夏に来ることになっていたのは、マック、斎藤さん、霜鳥。
「OBカップに合わせて行けたら行く」
と私は聞いていたし、みんなそう言っていった、いや違う、みんなもそう聞いていたのである。
こういう誰が言い出したか知らないが、なんとなくみんな知っているというこはままあることだ。
そこで多田さんがモツ鍋を作ってくれるということにもなっていたらしい。
その当日、朝艇庫につくと現役しか来ていない。
残りはいつものOBメンバー。
黒澤(主将)にちょっと聞いてみる。
「今日誰来んの?」
「いや〜わかんないっす」
「は?なにそれ」
その時私はモツ鍋のことを聞いていたが、直接多田さんから聞いたわけでなく、黒澤から聞いた話だったのでホントにやるのかということに疑問を抱いていた。
そう、全てがあまりにアバウト過ぎた。すべてらしいなのである。
私はひとつでも確かな事項を求めて行動に移った。電話したのである。
筆者:「マック?
あれなんかこいつ寝起きじゃん
寝てた?」
マック:「ふん? うん、今起きた」
筆者:「まじか〜マックいつ来んの?」
マック:「・・・
ごめん行けなくなった。」
筆者:「まじ」
マック:「仕事が急に入ってさ今忙しいんだ。」
思いっきり今起きた声でそう言われてもいまいち説得力がないが、今の時間に自宅にいるのならどうこう言ってもしょうがない。
「おう、分かった。ほんじゃまた今度な。」
「わかった」
普通行けなくなった時点で電話しねーか?なんか変だ。
通りかかった西尾さんが
「マックいつ来るって?」
「来ないらしいです。」
「は?なんで?」
「仕事が忙しいらしいです、寝起きの声でした」
「忙しいのになんでこんな時間まで寝てんのよ」
「さあ〜」
「寝坊したんじゃね〜の」
「ああそれはありますね、うっかり寝坊しちゃったとか」
(それなら連絡をしなかったことが納得できる。)
「うっかり寝坊か、やるなマック」
そう、この西尾さんとの会話によって、
マックはうっかり寝坊で飛行機を逃がしてしまった
ということに決まってしまったのである。
「さすがにそれはね−んじゃないの」という橋本さんの意見は無視された。
なぜならその方が面白いから。(マックらしいから)
しかしである、ふざけてばかりもいられない。そんじゃ誰来るんだ?
斎藤さんは三日後という確かな情報が西尾さんからもたらされる。
ほんじゃ霜鳥は?
電話する。
「おう、お前いつ来んの?」
「おうぇ、ええ〜と、俺紋別空港にいくんっすよ。女満別にチィケット取れなくて。なんか3週間ぐらい前に取ろうとしたんですけど、なんかもう・・略・・。」」
「うん、わかった。それでいつ来るの?」
「おうぇ、ええっ明日の昼過ぎに紋別空港に着くんで、それから車で艇庫向かうんで、夕方ぐらいだと思います。」
霜鳥も来ない。
じゃ〜誰くるんだ?
そういえば山田、飯澤はどうした。
「山田こないの?」
「わからないっす」
「飯澤は?」
「なんか夜ぐらいらしいっす。」
じゃあ確実に来るって人いないじゃん。
そうこうしているうちに、擬装も終わり、出艇。
今思えば、この時に多田さんに鍋の確認をして、今日は誰もこないということを電話するべきだった。
しかし、モツが食えるという考えに満たされていた私のお腹と頭はそこまで行きつくことはできなかった。
恐らくみんなそうであろう。
練習をを終えて帰ってくると。見知らぬ軽が止まっている。
タバコを求めて艇庫の中に入っていく。
「あっ、多田さん。こんちわ〜。」
「おう。」
なにやら忙しそうである。
げっ。すっかり忘れてた。ヤバイだれも来ないのに。
私は忘れ物をしたごとくいそいそとみんなのもと引き返す。
その背中に声がかかる。
「今日誰来るんだ?」
どきっ。いきなり核心を突くのか。
くそ〜みんなのいるところまでが遠い。
立ち止まるとやられると感じた私は歩きながら努めてさりげなく、あくまで軽く、
「だれも来ないらしいっすよ」
「なに」
ああっ、みんな解装しながら笑ってる。
私もそこにいれてくれ〜。
ようやくみんなの場所に辿りつく。
多田さんが来る。
「おい、今日誰もこないらしいじゃね〜か(超怒)」
やばい、眼がヤバイよ。
「いや〜マックに電話したら仕事でこれなくなったって。」
とてもうっかり寝坊ですなんてふざける余裕はない。
「斎藤は、霜取りは、山田はどうなってる」
「一応来るんですけど、今日じゃないんです。」
「なにそれ〜、OB来るって言うから朝からモツ探してたんだぞ。
いつものとこが売ってなくて。
なんだよそれ〜。なんでおまえらに食わせなきゃなんないのよ」。
みんな黙る。
多田さんが艇庫に入っていく。
やべ、マジだよ。 だからちゃんと連絡取っとけって言ったべや。 おまえどうすんのよ。
みんな無責任だ。いやいやこういう連絡は現役君の仕事ではないか。
そうわれわれOBはなんも悪くない。だいたい今日来るって誰が言ったんだ。(←サイテー)
私なんてマックと霜取に今朝連絡したじゃん。
私は食堂においてあるTシャツに着替えたかった。
しかし今多田さんがいる。どうしよう。
意を決して入っていく。
なるべく鍋の方は見ないようにして。
よし、Tシャツはゲットした。
振り返ると多田さんが鍋を掻きまわしている。
こっちを振り向く気配はない。
うぉ〜なんて話しかければいいだ〜。
そこへ救世主ペルセウス西尾登場。
「たたさ〜ん。今日は何味があるんすか〜」
さ、さすがペルセウス、うまく普段の雰囲気をかもし出している。
じ〜っとペルセウスを見つめるメデューサ。
ヤバイ固まってしまうぞ、ペルセウス。
そして一言。
「うるせっ」
だめだ、とてもじゃないがこの場にはいられない。私はただの人間なんだ。
私はその場を西尾さんに押しつけて任せて食堂を出る。
解装が終わってもみんな外でお喋りをしている。
無意識のうちに今艇庫の中にははいれね〜と感じ取っているようだ。
そこへ死闘を終えたペルセウスが帰還する。
「もう大丈夫だ。いつもの多田さんに戻った。」
さすがに精魂使い果たしてしまったらしい。疲れた表情だ。
すげーソンケーします、西尾さん。
その後大変おいしくモツ鍋をいただくことができました。
ありがとうございます、多田さん。
(部員一同)
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