ジャパンカップダート戦評
ジャパンカップダート、終わってみればクロフネの強さをまざまざと見せつけられたレースだった。勝ち時計の2分5秒9は当然レコードタイム。さらに二着に7馬身の差をつけての勝利はGTでは考えられない着差だ。クロフネ一頭だけ別格だったというしかない。
そのレース内容も圧巻だった。ゲートの出はあまり良くなかったクロフネは、レース前半、中断よりやや後方、そして馬群の外を進むこととなった。だが、レース中盤、向こう正面半ば頃には、馬なりでその順位を上げていき、3コーナーから4コーナーにかけては、リドパレスをも尻目においていき、一気に先頭に立った。
ここの時点では、少し早すぎる、とおもったが、最後の直線でクロフネはさらに後方との差を広げ始める。そして終わってみれば、2着ウイングアローとの差を7馬身つけての完勝。展開のあやも距離の不安も関係のない、自らが主導権を握ってのこの勝利は、先々の楽しみを膨らませてくれた。
来年のクロフネは、順調に行けば、ドバイワールドカップに出走し、その強さを世界にアピールすることが可能であろう。ドバイの砂の質と東京の砂の質とはその重さに違いがあるので楽観視はできないが、日本初のドバイワールドカップ制覇への期待を抱かずに入られない。制覇したあかつきには、やはりアメリカ競馬の祭典、ブリーダーズカップクラシックにも挑戦してもらいたい。
2着のウイングアローもいいレースをした。その走破タイムは、昨年自らが作ったレコードタイムとほとんど変わらない時計だっただけに、クロフネさえいなければ、であろう。しかしその走りは、日本長距離ダート界のトップクラスの意地を見せてくれたといってよい。横山典騎手も乗り替わりをものともせず、完璧な騎乗を見せてくれた。さすがである。
3着のミラクルオペラは、本当に今年力をつけた、というレースを見せてくれた。ダートの長距離であれば、今後はウイングアローとも互角の戦いを見せるであろうし、その脚質から考えれば、ダート中長距離重賞を総なめしてしまう可能性もある。ただしクロフネがいなければの話だが。
リドパレスについては、このレースだけでその力を判断してしまうのはまだ早計であろう。やはり重いダートのほうに適性がありそうなので、ぜひともドバイワールドカップやブリーダーズカップクラシックの舞台で、クロフネと雌雄を決してもらいたい。
最後に、もしアグネスデジタルが天皇賞に出走しなければ、クロフネはいまだにダートの適性を計れていなかったはずであろうから、これはファンからしてみれば、アグネスデジタルの勇気ある挑戦を今ではもう感謝する気持ちになっているだろう。そしてその妙なめぐりあわせが、今後の競馬界を席巻していく新たな波となるかもしれないのだから、競馬はおもしろい。