5月26日   完勝
 二冠か、三代か、復活か。注目すべき要素が多かった今年のオークスが終わった。自分の見る目がなかったことが恥ずかしく、一方で桜花賞馬の完璧といえる勝ち方に酔いしれている。スティルインラブは強かった。中段やや後方で折り合い、直線で差しきる。あまりに鮮やかに、美しく、そしてあっさりと樫の女王の座を手にした。格好つけた表現をしているが、本当にそう感じる。しかし、おれはスティルが中段にいて、外目から差して来たという事実を、レース後にビデオで確認している。というのも、リアルタイムではアドマイヤしか見れていなかった。アドマイヤが届かないとわかり、先頭を見るとそこにスティルがいた。いつもレースは客観的に、そして全体を見なければと思うのだが、全くできなかった。

 本馬場入場で暴れているのを見たときやばいかな、という思いがよぎった。輪乗りでは落ち着いたかに見えたので、大丈夫かと思ったが、ゲートを嫌う。嫌な予感がした。ゲートの中でも暴れているので、出遅れるぞ!と思った瞬間にゲートが開いた。またかよって突っ込み終わったあと、口を割って1コーナーへ。おれの中ではここで終わってた。これじゃ2400はきつい。でもどこかで、まだいけるという思いがあった。武だ。エアグルーヴの仔だ。そして何より、あの桜花賞の凄まじい瞬発力を見せた末脚があるんだ。だから最後方から大外ぶん回したときも、無理だと思いながらも、もしかしたら届くかと思った。しかし、伸びてはいるものの届かず。最後は止まったようにも見えた。

 結局は買いかぶりすぎたかというところ。出遅れを考慮しても、完璧に負けたと判断せざるを得ない。偉そうに言えば、まだ未熟なんだろう。折り合いの難しい馬というのはわかっていたつもりだが…。この結果を見て、スティルとアドマイヤを同列に置くのはスティルに失礼だが、乗りやすい馬が勝ち、乗りにくい馬が負けたというのがこのレースの印象。そして、また牝馬は難しいということ。リズムを崩したアドマイヤは終始ちぐはぐだった。痛々しかった。

 親子三代の難しさ。こんなに簡単に出来るものなのかという思いがある一方で絶対に達成できるという思いがあった。しかし。それはまたの楽しみになった。当面の楽しみは、おれからも、そして大多数の人からなめられていた二冠馬の三冠達成。緊張の秋だ。アドマイヤは最後の直線で故障していなければいいが。心配だ。

5月23日   約5000分の1×4000分の1×4000分の1
 オークスの出馬表が出た。ピースオブワールドの名前がある。春は絶望と思っていただけに、驚きである。ピースVSアドマイヤは去年から注目されていたが、それは当然どちらも万全であることが第一条件だろう。やっぱり、ピースには厳しすぎる。ぶっつけ2400なんて古馬でも、牡馬でもきついだろう。それをあえて、出走に踏み切った陣営はどんな考えがあるのだろう。出る以上はチャンスがあるのは当然だが、負けた時の言い訳なんて聞きたくない。ピースに求められるのは好走なんてものじゃないと思うから。秋でも良かったんじゃないのかなあ。これでぶっちぎりでもしたら脱帽だけど、いくらなんでも無理だと思う。

 一方アドマイヤは欠点がつけられない。あえて言うなら、前走減っていた馬体がこれ以上減ったらやばいんじゃないかくらい。この馬については親子三代同G1制覇なんて言われてるけど、奇跡みたいなもんだ。その奇跡の裏にはたくさんの苦労があったんだろうし、とにかくすごいの一言。ただね、ちょっとそのこと言い過ぎとも思うけど。うるせえなあって感じちゃったりもする。アドマイヤグルーヴのこと好きな人って何が好きなんだろう。この馬自身のこと? それともエアグルーヴ? ダイナカール? 走るのはアドグル自身なんだし。感慨深いって、おれダイナカール見てないし。そんな血統のドラマ好きだけどね。でもそれはレースの後でいい。アドマイヤグルーヴ自身は相当強いね。出負けしたけれど、もう格が違う。明らかに距離伸びたほうが良さそうだ。負けないだろう。たぶん。ただ、「もしピースが万全だったら」ってゆうのレース後に話すの嫌だから、ピースがぶっこ抜く姿も見てみたい。中途半端はきつい。

5月6日   春天は面白い
 3コーナー手前付近、ダイタクバートラムの外にいたヒシミラクルの手綱は激しく動いていた。その時点で、ヒシミラクルはやっぱりきついんだろうなあと判断した。ヒシミラクルは菊花賞の時と同じように3コーナーからぐんぐんまくって、4コーナーには先頭にたたんとする。あ、ヒシミラクル勝つな、と思った時にはもうセーフティリード。京都の長い直線だから、もちろん後続も猛追をしてきたけれど、絶対差せないだろうなあと冷静に見てた。その長い直線をヒシミラクルが駆け抜けている間、何とも言えない感覚にとらわれる。

 去年の菊花賞、ヒシミラクルは強い競馬をした。3コーナー手前からの長いロングスパート。自身の最強の武器である、バテない脚を使って走りきった同じ淀の長距離戦はまだまだ記憶に新しい。年が明けて古馬になったヒシミラクルは阪神大賞典で敗北。「長距離なら」強いんだろうなあという意識は、休み明けというのを含めても、自分の頭の中からは消えていた。その後は天皇賞に行くのかと思いきや、大阪杯へ。天皇賞を目指す馬は普通どっちかじゃないの? と、思いつつもやっぱり気になるクラシックホース。どう考えても2千は短いと思いながらも、7着という着順に「もう終わった」の烙印を押してしまった。最後は伸びている、良化している、などヒシミラクルの天皇賞での復権を占う報道も多々あったけれど、どうも信じきれなかった。

 直線、ヒシミラクル先頭。おれは、競馬の何を見ているんだろうなあ…。馬鹿だなあ。そんな思いでいっぱいになる。G1初挑戦の馬や3千メートルですら走ったことのない馬たち。完全に、目を奪われていた。ローテーションに定石などないんだ。もっともっと競馬を見ないと。

 ここからは負け惜しみ。結局勝ったヒシミラクルは自分から動いての勝利。角田騎手が上手く乗ったのだと思う。他の騎手は何してんだ! 今回のメンバーはG1勝利馬が2頭。メンバー的には薄い。人気になって色気が出たか、思い切った騎乗をしてないように思う。チャンスだからこそ大事に乗るのが必要なのはわかる。4コーナーで馬群がばらけなかったからそう見えたかもしれないけど、もっともっとガツガツ前に行って勝負する馬がいても良かったんじゃないかなあと思う。玉砕覚悟で…、みたいなのがいるのが好きなおれの個人的な意見だね。まあ、混戦とか言われてみんな色気あったから仕方ないか。おれとしては、イングランディーレは4コーナー前で先頭にたって突っ走ったほうが良かったと思うけど、他の人はどうだろう。

 3分17秒。長い。世界的にも必要とされなくなっている、競馬の長距離戦。去年、春の天皇賞の距離が短縮されるなんて言うデマも流れた。でもこの春天見て、やっぱり面白いなあと思った。長い距離ならではの騎手の駆け引きや、馬の折り合い。見るところたくさんある上に、それをじっくりと見ることが出来る。スピード化が進む競馬だけれど、日本競馬としては長距離戦をむしろ大事にしていってもいいんじゃないかなあと思う。もう1つ秋に長い距離のG1作って、世界からスタミナ自慢を集めるなんていうのも楽しそうだ。おもしろい、印象に残る今回の春天だった