| 7月10日 夏の夜のダービーもいいもんだ |
| 石崎ナイキアディライトは直線でユートピアに並ばれ、競り落とされた。しかし、再び先頭に立つことはなかったものの、ナイキはユートピアを差し返している。日本競馬に石崎あり。このおっさんはさすがだ。ユートピアは3角から少しずつ手が動き始めていたので、止まるのかと思えた。しかし、アンカツは多少止まったとはいえ、ゴールまで持たせた。アンカツ魂。恐ろしい男だ。鬼門といわれ続ける大井で、最高の乗り方をしたビッグウルフ武豊。4角では残された形になったが、それも計算ずくだったのだろう。じりじり伸びて、ゴール前できっちり差しきる。文句なし。格好良すぎる男だ。
前に強い馬を置いて、それを見ながらレースを進めるのは、絶対有利。行くしかなかったナイキと、逃げ切られるのだけは止めなければならなかったユートピア。この展開がビッグウルフには最高だった。それを考えると、マークされ続けながらも僅差の3着のナイキも相当強いし、ナイキを自分で捕まえに行ったユートピアは相当強い。当然、そんな絶好の展開ながらもきっちり差したビッグウルフも強い。古馬との差はわからんが、レースとしてはかなりレベルが高かったように思う。名手がいて、名馬がいて。競馬の主役はレースである。レース中のわずかな時間は、そこに血統やら、生産者やら馬主、調教師などは関係ない。馬と騎手の戦い。それだけである。昨日のレースは3回やったらそれぞれの3頭が勝つんじゃないかとさえ思える、素晴らしいレースだった。 ジャパンダートダービーはたまたまビッグウルフが勝った。しかし、この「たまたま」の機会を掴めるかどうかは天と地の差があると言っても過言ではない。そこに競馬の魅力の一つがあるのではないか。一回きりの勝負。再戦したとしても、ある程度の期間が開いてしまう。また、サラブレッドは故障しやすい生き物である。再戦が必ずあるものと思っていてはいけない。だから、この一回に全てを賭ける。その点では、辛勝でも楽勝でも同じ。惜敗でも惨敗でも同じ。その日その時その瞬間。運を掴んだ馬が勝利する。だから、G1の前には震えるんだろう。だから面白いんだろう。3人のすっげえ男と、3頭のすっげえ馬のすっげえレースを見た後、こんなことを考えた。 |