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冠の差 2 経験
経験の差とよく言うが、では経験がもたらす効果とは何なのだろうか。
ハイレベルな相手と対峙した時に感じる能力のギャップは、経験値が少なければ少ないほど大きく感じられ、それによって萎縮し、自分本来の能力を発揮する事ができずに終わる。経験を積み重ねる事によってそのギャップに慣れていき、徐々に本来の力を発揮していく事ができるようになっていく。それによって、以前感じた衝撃と比べると、実力差も徐々に感じなくなっていく。
つまり、相手の力が10だったとして、自分の力を7とすると、最初は突然の衝撃で萎縮してしまい、力を3しか発揮できずに終わる。しかし何度か対戦を重ねる内に衝撃度も減り、4、5、と発揮していき、そして7まで出す事ができるようになって、更に8、9、へと能力を伸ばしていけるようになる。
要は衝撃に対する慣れなのだろう。その慣れ、あるいは免疫とでも言おうか、ある意味刺激に対して鈍感になる事が経験なのであり、その効果とは自分の能力を引き出すことなのだろう。
例えばタイに旅行に行ったとして、屋台で買い物をしたとする。最初はタイの物価や品物の品質や買い物のスタイルやらが全くわからず、相手の言い値で買ってしまう。しかしその内環境に慣れ、物の価値がわかっていくにつれ、交渉を覚え、納得がいかないと突っぱねる事もできるようになり、そして交渉決裂を演じて更にディスカウントを勝ち取る事さえできるようになっていく。あるいはインドに行ったとして、リキシャにどこどこのホテルに行けと言う。最初はお約束でそのリキシャがマージンをもらっているホテルに連れて行かれてしまったりするが、わかっていくと「どこどこホテルだ。お前のところじゃない。俺が行きたいところに連れてかないと金は払わん。」と先手を打つ事もできるようになっていく。まぁ、それでも連れて行かれたりするものだが、それは相手がブラジルだったと思うしかない。ダメなものはダメな事もある。大事なのは先手を打てるようになる事だろう。
日本代表は世界レベルに対してまだ言い値で買っている。中田だけがディスカウントさせている。ブラジル相手に先手も打てない。必要以上に萎縮し、能力のカケラも出せていない。ただ、今回のきついレッスンで、萎縮していては何もならないという経験を得た。少なくとも次回のスペイン戦は、がむしゃらにぶつかっていってほしい。ファイトできるという姿勢を見せなければ、今回のレッスンは、成長に繋がる経験値の蓄積にはならず、ただのアメージングな体験で終わってしまうのだから。
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