イングランド − ブラジル
1 − 2

 事実上の決勝戦と言えるこのカード。不安が残る守備を、魅惑の攻撃陣でカバーするブラジル。対するイングランドは抜群のコンビネーションと集中力で堅牢を誇る守備を基盤に、するどい攻撃でここまで勝ちあがってきた。戦前はイングランド優勢との見方だった。
 しかし開始後は、イングランドの全体の鍵をにぎる中盤の底がやや押し込まれ、最終ラインに吸収されるという悪い形を作ってしまい、ブラジルにペースを握られる。そこで失点を喫していたら、試合展開はまたガラリと違うものになっていただろうが、そこでなんとか点を許さずにいけたため、徐々に形を立て直していった。中盤の底が有機的に機能するようになってから、イングランドが全体的にペースを握るようになる。そしてオーウェンへのロングフィードが放り込まれるのだが、そこでブラジルの守備の不安が形となって現れる。うるさい存在のオーウェンをマークしている以上、そのロングフィードは絶対にダイレクトで弾き返さなくてはいけないボールだったのに、トラップして体の近くに落としてしまった。案の定、そのボールをオーウェンに拾われ、あっさりと失点に繋げてしまった。判断力に欠ける、軽率なプレーだった。
 試合はその後、ブラジルが更に攻撃に力をいれてくる。どうしても前半の内に同点に追いついておきたいブラジルは、ベッカムのミスからボールを奪うと鋭いカウンターでイングランド陣内へと攻め込む。トップ下のロナウジーニョがスピードにのりドリブルで迫るが、イングランドはそれに対しての処理が遅れ、ミドルレンジまでボールを持たせてしまう。気がついたら手を打てないスピードにまで乗らせてしまい、そこからリバウドへのパスを許してしまう。早めのチェックでスピードに乗らせない処理が遅れたため、この決定機を作らせてしまい、リバウドにうまくコースを突かれて同点を許してしまった。このゴールが持つ意味は大きかったように思う。イングランドとしては、自らのミスとチェックの甘さで失った、もったいない点であったし、ブラジルにしてみれば、前半の内に追いつけたという意味で、後半に入るにあたって気持ちが楽になったし、余計なプレッシャーで自分達のスタイルを崩すという悪循環から避ける事ができるからだ。
 その精神面の影響が、最終的に試合結果に繋がったように思う。ブラジルはロナウジーニョの鮮やかなフリーキックで決勝点を奪い、その後ロナウジーニョは退場になったものの、数的有利を結果に活かせなかったイングランドは、ワールドカップから去ることになった。結果を左右したのは、やはり前半のイングランドの失点だろう。あの失点の経緯で、早めのチェックができなかった事が、結果の全てに繋がっていたように思う。チーム力のバランス的にはイングランドの方が優れていたと思うだけに、残念な結果だった。