|
日本 − トルコ
|
|
0 − 1
|
悔やんでも、悔やみきれない。こんなチャンスは、そうあるものではない。ベスト8が現実的な位置にある。ベスト4も狙えるかもしれない。ワールドカップで、である。あの、ワールドカップで、である。 開催国という地の利。史上最高の質がそろった選手。成熟したチーム力。強豪国が続々と敗退していき、どうあがいても歯が立たないチームと当面対戦を避けられる状況。こんなチャンスは、今後あるのだろうか。 ベスト16進出を果たし、それだけでも素晴らしい事ではあるが、ここで「よくやった」で終わってしまっては、今後に何も繋がらない。それは、ただワールドカップに便乗して騒ぎたいだけの、負けた後もバカ騒ぎできる、歌舞伎町や道頓堀で騒いでるような連中と同種になってしまう事を意味する。ワールドカップに選ばれる為の、蹴球国としての総合力を上げる為に、ここはしっかりと敗因を分析しなければならない。そしてそれを受け入れて、経験として次に繋げていかなければならない。中途半端に満足してしまっては、先は無い。 今日の敗因を分析するにあたって、まずは失点のシーンから考えてみると、コーナーキックからヘディングで入れられてしまったわけだが、これの最大の要因は、コーナーを与えてしまった過程にある。全く与える必要の無かったコーナーであった。中田(浩)の集中力に欠ける軽率なパスが原因で、つまらないコーナーを与えてしまった。この、局面における集中力の不足が敗因の一つとして大きな要因となっているように思う。その後の展開でも、集中力の欠如が随所にみられ、気が入っていない様な、どこか足が地についていない様なプレーが見られた。それに起因して、どこか他人任せなプレーも目立った。失点のシーンは典型的な例で、「なんとしても自分が処理する」という意志と集中力が欠如していた。つまらない失点だった。実に悔やまれる失点だった。 集中力の欠如から、雑なプレー、雑なショートパスが多く見られ、ストレスがたまり、あと一歩押し切れない要因に繋がったとも言える。 他に考えられる要因として、雨の影響が考えられる。グラウンドがスリッピ−で、ボールコントロールがしにくい状況だった。それが影響して、トラップで次に向かう姿勢を取る為にいい位置にボールを処理できなかったり、ポストプレーでいい角度にボールを落とせなかったり、パスのタイミングがズレて呼吸が合わなかったり、早いパスに対応しきれなかったりと、攻撃がスムーズに流れない要因が随所に見られた。今後、雨の中でプレーする機会も多々あるだろうから、雨の中での戦い方、ボールの処理のしかた、ボールの流れ方への読み等、集中力を持って経験を積んでいかなければならない。それと、雨の中での試合なのに、なぜミドルをもっと打たなかったのか疑問だ。シュートへの積極性が欠けていた。シュートを打てる所で打たず、ヘタに回そう、落とそう、繋げようとして、好機を逃していた。これも他人任せのプレーだったと思う。ミドルをもっと積極的に打っていって、ゴールを狙っているという意識を全体で高めれば、よりゴールに近づいただろうし、相手も恐かったはずだ。そうすれば相手ももっとチェックに出てきて、守備のバランスを崩していけたはずだ。何より、ピッチがスリッピ−だという悪状況をむしろ上手く使って欲しかった。 次に戦術的な要因として、トルコに下がられたというのが大きい。今日のトルコは決していい出来ではなかった。ラッキーにもセットプレーから点が取れたため、後は守りきろうという意図が見え見えだった。よって相手が中盤で組み立ててこなくなり、プレスでボールを奪い逆襲という戦術が効かなくなった。トルコはディフェンスの意識が非常に高く、攻撃時にボールを奪われたら、全員素早くゴール前に戻り、ゾーンで守る形を迅速に取っていた。その前に日本は攻めたかったのだが、攻撃のサポートが遅く、前線に駒が不足していた。攻撃に厚みが出来なかった。それが原因で、こぼれ球をことごとく拾われ、次に繋がる攻撃ができていなかった。特にトゥガイは日本にとって目の上のたんこぶで、実にいやらしくボールを奪っていた。ここを拾えばいい形になる、という所でいつも潰されていた。トルコのディフェンスの粘りに負けて、攻めあぐねたと言ってもいい。 次に選手起用。これに一番失望させられた。サントスの起用は驚きだったが、小野を中央に置いて、サントスを左に配置する事によって、中盤に厚みをもたせる、と解釈すれば納得がいった。相手のディフェンシブな中盤の位置に駒を増やす事によって、マークの分散化をはかれるし、日本側にとってもプレスが掛けやすくなる。ところがそんな予想を思い切り裏切り、サントスはトップ起用。以前テストマッチでそれに近い形をテストしていたが、全く機能していなかったのに、この場面になっていきなりそのような奇襲をしかけた。それでも今日は以前のケースよりは機能していて、スピードに対応しきれないトルコディフェンスに対しては、ある程度有効だった。しかしやはりぎこちなく、しっくり行くポジションではなかった。前半の収穫としては、サントスの突破力は有効だという事が挙げられたので、それを活かした選手交代が期待された。 それがまた裏切られた。稲本に代えて市川。右サイドを攻撃的にするために市川を投入し、その分稲本と比べてディフェンシブな明神を稲本のポジションへスライドし帳尻を合わせる。しかし点を取らなくてはいけない状況で、中央から起点になれる稲本を下げるのはどうか。そのまま明神と交代でよかったのではないか。明神の出来がどうとか言うレベルの交代ではない。戦術的交代なのだから、攻撃に出るという姿勢を、メッセージとして全体に伝える交代を取って欲しかった。そして何より驚いたのが、サントスを下げて鈴木の投入。これだけはどうしても理解できない。トルコのディフェンスは、縦へのスピードに手を焼いていた。そこへサントスを残さないどころか、鈴木である。極論してしまうと、鈴木はもはやディフェンダーである。フォワードではない。点をリードしていて投入ならわかるが、なぜこの状況で鈴木なのか。サントスを下げる事を百歩譲って認めたとしても、それなら柳沢であろう。縦への突破を考えると、鈴木とは比較にならないし、何よりペナルティーエリア内へドリブルで突っかけることが出来る。神にもすがる思いで、PKを誘発する期待もある。そこへディフェンシブな鈴木。それ以外は何もできない駒を、なぜあの状況で投入したのか理解に苦しむ。 そして最後の一枚の投入時間。森島を市川に代えて投入したのだが、なぜもっと早く投入しなかったのか。選手が怪我をするリスクなどこの際、考えてはいられない状況である。点を取らなくては終わりなのだ。動かないでどうする。じっとしていて、何かが変わるのか。目の前では攻めあぐねている状況が展開されているのに、何故。 これらが今日の主な敗因であろう。選手交代に関して、最も失望したと書いたが、これは監督個人の問題であり、監督が代わる事が既成事実となっている今、それを今後の糧にするどうこうの問題ではない。もう取り返しはつかないのだから、去り行くトルシエには、ここまでチーム力を上げてくれた事に感謝したいだけだ。どうにかできた展開だが、それも仕方ない。監督をスケープゴートに晒したところで、最も意味の無い事だし、今後に繋がらない。ただのトカゲの尻尾切りで終わってしまう。今回はそれ以外の所での敗因を受け入れ、経験として今後の日本代表、日本サッカー界、日本国民の糧として活かして行かなければならない。 トルシエ監督、日本代表の選手たち、ごくろうさまでした。それぞれ次に向かって、課題を見つけて、がんばりましょう。日本サッカー協会、サポーターも、がんばりましょう。この敗北は、日本蹴球界全体の敗北です。 |