|
ステップ
日本代表がコンフェデレーションズカップで決勝に進出し、フランスに0−1で敗れたものの準優勝という結果を出した。ブラジルやフランス等の世界トップクラス、カメルーンやメキシコといったワールドカップ常連国が参加国としてエントリーしている大会で準優勝という結果は、一昔前では考えられないものである。
がしかし、それら強豪国の内実は、素直に日本の結果を評価するための検査薬としてはあまりにもお粗末である。フランスは1,5軍クラス、ブラジルに至っては2軍どころか3軍レベルである。日本の評価をするにあたって、この事実を踏まえた上で考えていかなくてはならない。そもそも各国リーグが佳境を迎えるこの時期に代表クラスの選手を呼べるわけが無く、日程のミスマッチングも指摘されてしかるべきだが、それに関してはワールドカップの予行演習の意味合いを持つ大会である以上、来年と同じ時期に開催したいのは至極当然なわけで、そこは致し方ないのであろう。しかしその点に目をつぶったとしても、あまりにも酷いメンバーであり、強化という意味では大した意味を持たなくなってしまう。運営上のリハーサルとしてはそれなりの収穫もあっただろうし、強豪国にとっても来年を見据えた開催国の視察という意味では収穫もあったのだろう。がしかし肝心の強化面では、残念ながら期待していたものとは程遠いメンバーであった事は否めない。
かといって収穫が無いわけではない。というよりもその酷い来日メンバーが日本に幸いしたように思える。というのは今の日本のチーム状態でトップクラスとのガチンコはかなりのリスクを伴うからである。フランスにパリでボコボコにされ自身を喪失し、手を抜いていて且つ選手選考のテストまで行われていたスペインに結局は敗れ、今までの積み重ねを一気に崩壊させられた2試合は、階段を2段抜かしで駆け上がろうとして踏み外し、転倒したようなものである。転倒し、手負いの状態でまた2段抜かしに挑んでは、傷を悪化させるだけである。今の日本に必要なのはまず傷を治す事、つまりある程度の自信を取り戻す事であり、それには実力差があまり無い相手と実戦を積み、ステップを積み重ねる事が最良である。
そういう意味では恰好の相手であり、準優勝という結果も評価できる。ある程度の自信を回復する事も出来たように思う。ただ注意しなくてはいけないのは、あくまでも2線級の相手だったという事を認識しなくてはいけないという事である。その事を大前提として踏まえた上で、結果を出す過程を顧みて何が奏効したのかを分析していかなくてはいけない。過剰な自信や評価は過信を産むだけである。
では今回の大会で奏効したものとは何か。それは攻撃的スタイルである。偏に攻撃的と言っても、それはシステムや戦術に留まらず、チーム全体としての意識の攻撃性が、アジア以外の国を相手にした時では近年稀に見る高さで機能していたように見える。全体として前に向かう意識が強く、アグレッシブなメンタルでぶつかっていった印象が強い。そこにはスペイン戦での情けないスタイルは終ぞ垣間見得なかった。そのスタイルは大きな収穫であるし、確かに前進している証と感じた。その点ではトルシエの選手起用にも若干の変化が見受けられたし、小野を計算できるポジションへ引き上げた事も功績であろう。決勝の選手交代では後半開始の時点で左サイドを三浦淳に代えた事も納得いく判断であったし、早めに動いた所も評価できる。ただまだまだ不満は多く、その時はトップにも何らかの変化が必要であったし、その対応が遅れた事は課題であろう。小野を変えたことも理解に苦しむ。確かに小野の出来はそれまでの試合に比べると悪かったが、広い視野で時折繰り出されるパスは捨てがたかったし、あの展開では森島を残すより小野を残し、トップよりやや低い位置でボールを預けられるポイントをキープした方がよかった。突破型の森島ではポイントにはなれないし、そうなるとどうしてもトップがポイントとしてポストにならなくてはいけないのだが、それが難しいという事は前半の段階で明白だったからである。
いずれにせよ収穫があり、課題も残り、実りは多かったように思う。そういう意味で充実した大会だったのではないか。次はキリンカップ。ステップを着実に踏んでいけるマッチアップである。傷はもう癒えた。これからは積み重ねになる。それを重ねた時、ようやくトップクラスに対しても怯むことなく挑んでいけるようになると期待したい。
|