教科書2ページにつき約1時間程度、ひどい時には2時間以上も時間をかけてようやくその内容が理解出来た、、、
これは自分がアメリカで解剖生理学 1 を学び始めた頃の様子である。
気が狂いそうになりながら、意味の分からないほとんどの英単語を毎日毎日辞書を片手に調べていた。
普段の勉強でさえ時間がかかっていたのに、試験前になると単語の意味だけでなく、スペルをも暗記しなければならなかったので、さらにその勉強時間が多くなった。
一方、授業では分けの分からない先生の“呪文”を90分聞き、自分の部屋に戻ってはすぐさま授業中録音しておいたテープレコーダーで何度も何度も“呪文”を解析、そしてやっと内容を理解することが出来た。
大学でのたった90分間の授業が、自分の部屋では150分間以上の再授業に変わることも少なくはなかった。
自分の学習能力をはるかに越えたスピードで授業が進んでいくので、授業内容から20-30ページ遅れているのは当たり前だった。
それくらい当時はあのクラスについていくのが必死で大変だったことを覚えている。
現在でも分からない英単語は医学英和辞典を用いて、その意味を調べている。
しかし、以前と比べて教科書を読む時間はずいぶんと減った。
加えて、今まで苦労して覚えた専門用語が自分の頭の中で増えてきたためか、イライラしながら教科書を読むことはなくなった。
「少しは成長したんだなぁー」と自分で感心している。
数日前、鹿屋体育大学生時代に使用していた教科書を暇つぶしに読み直してみた。
「うわっ、なんじゃこりゃ?」
意味が分からないどころか、漢字さえ読めやしないではないか。
数年前まではアメリカでの授業内容の理解を早めるためによく活用していた日本語教科書が、今では分からなくなってきている。
特に解剖学の分野が難しい。
例えば“鵞足”、何と読む?
幸いにも教科書にそのフリガナがあったので“がそく”と読むのが分かったのだが、その解剖学的意味は自分には全く“?”だった。
そこでそのページの下にあったイラストを見てみると、膝の解剖図があり、そしてこの“鵞足”は“縫工筋”“大腿薄筋”“半腱様筋”の付着部位を示していた。
そう“鵞足”とは“pes anserinus”のことで、“縫工筋”“大腿薄筋”“半腱様筋”はそれぞれ“sartorius muscle”“gracilis muscle”“semitendinous muscle”を意味していたのである。
日本で解剖学を勉強している学生ならば、なんてない問題だったかもしれないが、アメリカで Human Anatomy を学んでいる日本人留学生にとっては難しい質問ではなかっただろうか?
だがそれと同時に、日本の学生たちは「んっ? pes anserinus? sartorius muscle?gracilis muscle? semitendinous muscle? 何それ?」と意味が分からなかったのではなかろうか?
自分は日本でアスレチックトレーニングを学んだ経験がないし、今の日本でアスレチックトレーニング教育がどのように行なわれているのか直接には知らない。
ただ共通して言えることは、日本であれ、アメリカであれ、何処で勉強しようがその分野の専門用語を学ぶことはとても難しいということ。
現在、日本で活動しているアメリカ帰りの日本人 ATC の方々は、このようなギャップに悩まなかっただろうか?
(Tuesday,January 01,2002)