もうこれ以上やってもキリがない修士論文のために、部屋に閉じこもっているのに正直、嫌気がさしていた。
論文に終わりがないのは分かっている。鹿屋体大での卒業論文の時もそうだったから。
毎日、毎日ちょっとした文章の書き直し、書き直し...
別に研究する事自体嫌いではないが、ある程度仕上がってしまうともう興味はない。次のテーマが欲しくなる...
それから、ほんのちょっとした事にウジウジと時間をかけて、発想力が落ちてしまう事が気になってたまらなかった。
と、いう事で気晴らしにどこかにドライブしようと考えた。
しかし、地図で“北”“南”“西”“東”方面を調べても、感覚的に何処にも興味が出てこない...
なので、とりあえず州都のIndianapolis にでも行って来ようかと車を東に走らせていたその数分後、“Bloomington”の表示。
『そうたい。どうせ目的んなかとやったら、IU(Indiana University)でも見に行ってこようたい』とひらめく。
とういうわけで、久しぶりに“お宅拝見(IU編)”が決定した。
IU があるBloomington へはISU があるTerre Haute から南東約60マイルほど。
平均時速90キロで運転し、1時間ちょっとで到着した。
IU に近づくにつれ、フットボール場の観客席が見えてきた。
『IUのフットボール場はどげんちゃろう?』と期待しながら、車を止める。
幸運にも、IUでは高校生のサマーキャンプらしきイベントが行われており、ゲートは開放されていて勝手に入る事が出来た。
フィールド上の高校生達は、ヘルメットは付けているものの、ショルダーパットなしでエンドライン30ヤードから始めるノーコンタクト・フラッグフットボールをやっていた。
そんな事よりも、一番目にいったのはもちろん観客席の大きさ。
自分はアウェー側にいて、ホームサイドの観客席を“見上げる”
試合中にスタッフや来賓達が使うであろうブースターがとてつもなく高い位置に建てられてある。
『やっぱい、D1は凄かなぁ』といつも通りに驚く。
しかし、エンドライン側の観客席はちょっと情けなく見えた...

そして、やっぱりというか、当然というべきかATR を探す。
またまた幸運にも、スタジアム内にあるATR のドアが開いて、しかも誰もいない...
誰かスタッフでもいれば一言挨拶でもしようと思ったのだが、誰も帰って来る気配すらしないので、勝手に中を見歩き回る。
部屋の真ん中に柱があったにしても、ここのATR, “広さ”が感じられた。
これまで見てきた他の学校のATR 同様、Taping/Wrapping, First Aid, Treatment, Rehabilitation, Hydrotherapy Room などがきちんと分けられていて、働きやすそうな配置だった。
しかしここの部屋の配置はちょっと興味深かった。
テーピングテーブルは“直列型”ではなく、2つ3つ置きに人が通れるくらいの幅間隔で配置されていた。
トリートメントテーブルは典型的な壁側に“縦一列ずつ”に置いてあるのではなく、サイコロの“六の目”のように向き合ってしかも『ここはTreatment only』がはっきりと分かる専用スペースに設置。
ISU のATR は問題外として、Cal U のATR は広い事は広いけれども、リハビリ用のCybex マシーンがスペースをとり過ぎて邪魔に思う時もしばしばもあった。
IU のスタジアムATR 、結構気にいった。
フットボール場を後にして、別の建物に入って行く。
『こい、何やろう?』と思いながら中を歩いていくと、そこは何と室内フットボール場だった。
“建物内”にあるために、当然Kicking が出来るほどの高さではなかったが、それでもパスゲームだけなら十分に出来る1面の広さだった。
それから、多分今回が自分にとって初めてだろうと思う、スポーツ用人工芝を体験。歩いていて気持ち良かった。
DePauw で室内陸上競技場&テニスコート見た時も驚いたが、今回の室内フットボール場もやっぱり驚いた。
次にその隣の建物に入って行った。
ここは室内テニスコートで、8面ほどあった。
DePauw の室内テニスコートの方が凄いので、ここでは何も感じることなく即撤収。
その次は向かい側にある大きな建物に足を運ぶ。
裏側から入ろうとしていたのだろうか?ドアが開かない。
なので表側に向かうが、ここでもドアが開かない。
中に人がいるのは見えている。『何でやろう?』
近くに来た学生らしき人に『どげんしたら中に入れると?』と尋ねる。
『開いとらんと?』と不思議そうに答える。
でも、あるドアは簡単に開いた。
どうやら自分は閉まっているドアだけ開けようと一生懸命だったらしい...
その助けてくれた学生には自分がISUの生徒である事を内緒にし、『来学期から勉強するFreshman で、今いろいろと施設めぐりばしよると』と話しをする。
『あぁ、そうったい。オリエンテーションが近いったい』と何気ない普通の会話が彼から返ってくる。
そして『バスケのコートってどこにあると?』と尋ねると、『付いて来こればよか。俺は去年っていうか、1ヶ月前にここば卒業して、こん前までバスケ部のスタッフマネージャーばしよったちゃけん』と言う。
そして、その数分後。
『すげぇー!!!』
ここでも高校生のバスケのサマーキャンプが行われていたのだが、それよりも驚いたのが、IU のバスケットコート。
あの有名なBob Knight の元“ホームコート”である。
また1人で勝手に興奮していた...
ISU のバスケットコートは、逆さ“八”の字のように観客席がコートから上に行くにしたがって広がっていくのだが、ここではUniversity of Virginia (UVA)のコートと同じくらい“( )”のような感じでアリーナ一体がコートを包みこんでいる作りだった。ただUVAのと違うのは、観客席最上のバルコニーのせいだろうか?妙に圧迫感を感じさせられた。

それから観客席だけボーっと眺めていると、昔、剣道の全国大会で行った事のある日本武道館の観客席を何故か思い出してしまった。
全然似てはいないと思うのに、でも何故か、ふと頭の中にそれが浮かんでしまった。
さらに、覚えている人は覚えているであろう去年ESPN 放送の『Bobby Knight 物語("A Season on the Brink")』
それもコートを眺めながら考えてしまった...
どうしても最上席のバルコニーが気になってしまい、汗をかきながら階段を上がって行く。そして最上階。ドアを開けると...
高所恐怖症でない人なら嬉しいだろうが、自分は正直怖かった。
もちろん位置も高いが、今にも下に落ちていきそうな急斜面。
上からでも試合が見やすいように設計されていると思うのだが、これはちょっと自分には無理な場所だった。足がすくむ...
Assembly Hall を後にして、どこかで昼食でもとろうかと考えていた。
朝から何も食べていなかったし、時間は午後12時過ぎ。
腹の虫がひたすら鳴き続ける...
車に戻り、いざランチと張り切っていると、信号機の右斜め前に野球場らしきフェンスが見えた。
そこの信号機を左折するつもりだったのだが、予定変更、右折して野球場へと向かった。
思った通り、そこは野球場だった。
そして球場のライト側のすぐ隣にはソフトボール場があった。


まぁ、D1 にしても野球場とソフトボール場に関してはそんなに凄さを感じなかった。
『こんなもんだろう』っていう感じ。
そしてソフト場の隣にあった練習用か試合用か分からないD1 レベルにしては芝が汚いサッカー場をちょっと眺めた。
『もうダメ、いい加減に何か食わんばいけん』と思いながら車を走らせると、“Track and Field Complex”という表示発見。
当然、そっちの方向に車が進んでいく...
駐車場に車を止め、右側のフェンスにあるグランドをまず覗いて見る。
そして『あぁ、ここがサッカーの試合用コートったい』と思った。
やっぱりさっき見たサッカー場は練習用だったらしい。
しかし、その奥に陸上競技場らしき電工掲示板とグランドらしきものあり。
『あらっ?陸上競技場ってこん反対側にあるグランドじゃなかと?なら、こいは何ん?』と疑問に思いながら開いているゲートから中に入ってみる。
『!!!』
そこは何とサッカー専用のフィールドだった。

D2 レベルのフットボール場の観客席ぐらいちゃんとしたスタンドがあり、その中でも一番驚いたのが“芝”
周りに誰もいなかったので、ちょっとだけフィールドの端っこの方に立ってみた。
『!!!!!!』
もの凄い心地良さを感じた。自然と顔がニヤけてしまったくらい気持ち良かった。
自称“天然芝評論家”をここまで唸らせたのはこれが初めて。
これまでにもいろんなフィールド上の芝を感じてきたが、本当に今回のは感じ方が違った。
現在はオフシーズンなので、ちょっと長目にカットしてあったと思うが、そんな小さな事ぐらいしかケチのつけようがないくらい綺麗で健康的な芝だった。
この芝の感触を頭に記憶させながら、隣の陸上競技場に向かう。
この競技場も立派だった。

アパートに帰ってきてIU のAthletic でいろいろと調べてみると、この競技場で1997年のNCAA Outdoor Field Track Championships が開催されたとの事。
立派な理由が分かる。
腹が減ってもうこれ以上我慢出来なくなったので、室外テニスコートを横目にIU キャンパスから離れていった。
『さすがに“Big 10 Conference”の大学ばいなぁ』と考えた。
唯一つ気になったのは、D1 レベルのデカイ大学なのに、周りの環境が...
別にバーなど遊べる場所が欲しいのではなく、買い物など簡単に出来るモールが見当たらなかった。
(まぁ、自分がそんなに周辺をチェックしていないだけかもしれないが。)
今回のField Trip は『一流の選手がやるスポーツの環境も、一流ったい』と改めて感じさせられたものだった。
しかし、そんな場所で働くATも一流と考えてよいのだろうか?
ズボンにT-シャツを入れず、しかもサンダルで働いていたバイトらしき学生トレーナーの姿がちょっと気になってしまった。
まぁ、自分も最初の頃はATの服装の事などよく理解していなかったので、人の事は言えないんだけれども...
(Saturday, June 14, 2003)