Vol.33: Research
7 月11日に ISU で Research Symposium が行われた。
これは毎年この時期に行われている修士論文・プロジェクトの発表会である。
この一年間自分らが頑張ってきた事をみんなの前で発表すると同時に、次の新しい大学院生のためにリサーチアイデアとか方法などを参考にしてもらう意味も含まれている。
去年この発表会に参加して、自分は分けの分からない時間を過ごしていた記憶がある。Title から Introduction、Methods へと話しが続いて行くが、本当に何が何だか聞いていてもさっぱり分からず、ただその場に座っているだけの状態だった。
しかし今年はそんな時間を過ごす事なく、さらに自分自身が実際にみんなの前に立って論文のプレゼンを行っているのである。
『あぁ、俺もちょっとは成長したったい』と感じたひとときであった。
セメスター期間中、自分らはいろんな授業で PowerPoint を使った課題を与えられた。そのたびに自分は聞き手の興味を引くためにテーマに関連した何か面白そうなコメント又は写真をよく入れていた。
別に悪ふざけではなく、『せっかく発表するんだから、是非見てもらいたい』という気持ちがいつもあったから。『そのためにはどうすればよいか?』と考えた自分なりのプレゼンに対する作戦である。
今回のプレゼン、多分クラスメート達も何か自分に期待していたと思う。
そして今回は、アメリカの人気キャラクター “Homer Simpson” を使って笑ってもらいました。
自分の修士論文のタイトルは “An Investigation of College Students’ Recognition and Recall Monitoring Ability” で、『 Metacognition (メタ認知) 』に関連した研究。
Athletic Training というよりは、Educational Psychology の要素が強い。
しかし、この『メタ認知的教育方法』は将来 Athletic Training Education でさらに取り入れられていくと信じている。
何故なら、近年メタ認知の研究が進んできているし、そして何よりもメタ認知の効果は直接学力に影響しているから。
出来る限り自分はこのテーマを追求していくつもり。それに自分の Thesis Committee Chair であったDr. Catherine Stemmans は教育関係が専門で、このメタ認知にとても興味を持っているので、多分協力してくれると思う。
何故これほどまで自分がリサーチに興味を持つようになったかというと、ISU のアスレチックトレーニングプログラム自体がリサーチに力を入れている影響もあるのだが、参考教科書の一つとして使用した “Research in Athletic Training” (Ingersoll CD. Research in athletic training. Thorofare, NJ: SLACK Incorporated; 2001.) の影響もあると思う。
その中で『何故リサーチが必要なのか?』という文章が今でも強く印象に残っている。
そして Dr. Ingersoll は7つの理由を挙げている。
- To develop new knowledge
- To improve our problem-solving skills
- To enhance our standing as professionals
- To improve the standard of care we provide
- To promote faster change and progress in the profession
- To develop our body of knowledge
- To be viewed as experts in the health care of physically active people
現場で忙しく働いている AT にリサーチなどする暇はないと思う。加えて『研究と現場の結果は違う』と反論されるかもしれない。
しかし我々がよく使っている “RICE” の “Ice” の裏話、知るっているだろうか?
現在 Brigham Young University にいる Dr. Kenneth Knight は“アイシングの第一人者”として広く知られている。しかしその Dr. Knight が ISU でアイシングの研究をしていた最初の頃は“きちがい”扱いされていたのである。
『あいつは分けの分からない氷の研究ばっかりしている』という感じである。
(もしかしたら、今の自分がそう思われているかもしれない...)
アスレチックトレーナーがアスレチックトレーニングという分野を普及させていくためにリサーチは不可欠な事だと自分も思う。
“現場での仕事が出来る”プラス“学問的に証明や理論を築き上げて行く事”は、アスレチックトレーニングのプロフェッショナリズムを高めていくだけでなく、我々アスレチックトレーナーの現場でのレベル向上にもつながるはず。
人それぞれなので、人それぞれな理由で活動している。
しかし現状維持に満足してしまっては、この職業の発展はないと思う。
ここアメリカでは “Physician Extender” といって ATC がより医療の分野に近づいた仕事がここ最近増えてきている。
実際、先日行われた NATA コンベンションで Physician Extender として働いている Cal U の卒業生たちからいろんな話しを聞いた。
日本ではまだまだかなり先の仕事内容かもしれない。または実現の可能性すらない仕事かもしれない。
だがリサーチで科学的な・医療的な証明を出来る限り多くの AT たちが行う事によって医療従事者にはなれなくとも、それに近い立場にステップアップ出来ると自分は信じる。
余談になるが、NATA 発行の“Journal of Athletic Training” はより専門的な研究内容を発表しているが、最初の頃の“Athletic Training” というタイトルで発行されていたジャーナルの内容は、それこそ今の教科書に載っているような『肉離れの処置方法』とか『テーピングの巻き方』とか簡単な研究内容で、しかもページ数も僅か半−1ページほどだった。
(付け加えに、NSCA 発行の“The Journal of Strength and Conditioning Research” も最近力を入れているのが感じられる。研究論文の質も量もちょっと前とは違う)
一人で勝手に熱く語っているが、リサーチの面白さは、何もないところからアイデアを考え出し、自分らしいオリジナルな作品として創り出す事だと思う。
別にリサーチだけじゃなく何に対してもそうだと思うが、
『ゼロから最高を目指す、、、』
これほど気持ちが興奮するような言葉は、他にはないはず。
(Sunday, July 13, 2003)