Vol.4: Passion



うちの大学のコーチ陣の中でも、自分は現在担当している野球部のヘッドコーチからものすごく気に入られている。
そして、今回のフロリダ遠征に自分がアスレチックトレーナーとしてチームに同行することは、実は一年以上も前から決まっていた、、、

うちのアスレチックトレーニングプログラムは、Freshman 時に選抜試験を受け、翌年の Sophomore から少人数制で専門教育が始まる。そして Junior 以上からは各セメスター毎にそれぞれチームを担当していく。

自分のチーム担当に関して、前学期のフットボール部は 70% の確率で予想していたが、今学期の野球部は 100% 確信していた。 なぜなら、ヘッドコーチ自身が事前にプログラムディレクターに「“Spring Baseball”で、きんじをトレーナーとして欲しい」と相談していたことを聞いたから。
今だに自分の英語力は不十分である。 そしてその事はヘッドコーチもよく理解している。 しかし何故そんな自分が野球部を担当する事になったかというと、「きんじ、お前は選手達を大事にしてくれる。だから俺のチームに欲しい」と“語学力”ではなく、“アスレチックトレーナーとしての仕事量”をヘッドコーチが評価してくれたから。
“アメリカ人のトレーナー”と比較して、“日本人トレーナー”である自分がどのように違うのかは自分自身では気付かないのだが、傍から見れば違うのだろう。 実際、アスレチックトレーニングルームで選手にトリートメントをしている時に、うちの大学院生や先生たちから「きんじ、お前は働きすぎ」とよく言われる。
自分では“そういう気持ち”は全くない。 ただ学びたい事を学ぶために遠い日本からわざわざやって来て、それをやっているだけにすぎないのに、、、

うちの大学のアスレチックトレーニングプログラムは、基本的に“自由方針”である。教室内での授業は NATA のプログラムに従い、学生全員同じ事を学ぶのだが、スポーツの現場では人それぞれである。 怠慢な奴は怠慢に仕事を行なう。 そしてそんな奴等には、誰も何も言わない。 先生、コーチですら同じ態度である。 しかし学びたい奴は上級生や大学院生そして先生たちに質問を繰り返し、より多くの知識を得ようと努力する。 そしてそんな奴等には、誰もが優しく指導・協力してくれる。

“やりたい奴は何でもやらせてくれる。やらない奴は誰も相手にしない”

これがうちのアスレチックトレーニングに対する教育方針である。
だから“束縛を大嫌い、自由を好む”自分には、この大学のアスレチックトレーニングプログラムがとても似合っていると思う。
それに今だにうちのアスレチックトレーニングプログラムでは、自分がたった一人の日本人学生トレーナーで、それが理由かどうか知らないが、大いに“異文化的なトレーナー活動”をやらさせてもらている。 そして変に差別されることなく日々楽しくやっている。(まぁ、最初ここに来た当初の Freshman 時にアスレチックトレーニングルームで毎日 Observation していた時は、妙な目で見られる事が多かったのだが、、、)

前学期から自分のチームを持ち、二週間毎に違う Sophomore 達がやってくる。 自分の勉強も含くめて、彼らには暇を見つけてはアスレチックトレーニングに関する質問をしてよくイジメている。 そしてただ質問するだけではなく、こんなことを付け加えて話をする、「もし来年担当したい種目があったら、与えられた二週間のチームローテーションを一生懸命にやれ」と。
別に“かげひなた”のトレーナー活動をしろと言う意味ではなく、常に一生懸命に仕事すれば、きっとそこのコーチたちはそのトレーナーをチームに欲しがるはず。
いくらアスレチックトレーニングの先生たちがチーム担当を勝手に決めるとはいえ、自分のようにコーチから認められれば担当したい種目を持つことも可能なのである。 だから、自分の経験を下級生達によく話す。

“どうせ仕事をするのなら、やりたい場所で思う存分やりたいと思うのは、誰だって同じはず”


(Saturday,March 24,2001)