第20回:「ありがとう」
今でも鮮明に覚えています、あなたの顔。
今か今かとずっと待っていたんでしょうね。だって落ち着きのない態度で、一人到着口に立っていましたから。
でも私を見付けた瞬間、ものすごく驚いて、目が大きく開いていましたよ。
定期的に送られていた写真と比べて、実物の私はそんなに違っていたのですか?
『ただいま』
『おかえり』
あなたの顔を見た瞬間、そんな無言の会話を感じてしまいました。
ドッシリとはいきませんが、待ち合い椅子に座っているあなたはいつもどうりの様子でした。
それから、決して後ろを振り向くことなく、ただ黙って誰よりも先を歩く姿は、全く変わっていませんでしたよ。
『久しぶり』
『お疲れさん』
そんな一言で会話が終わるあなたと私。
相変わらず不器用な性格で。
しかし何一つ変わっていないあなたを見て、何故かホッとしてしまいました。
決して口には出来ませんでしたが、4人そろって食べた夕食の時間が一番楽しかったです。 それぞれの座る位置が替わってしまって、久しぶりの私は少々戸惑ったのですが、それでも食事の雰囲気は昔と全く同じでしたよ。
ただ、私が飲んでいるからといって、まさかあなたまでビールを飲むとは思ってもいませんでした。 飲めないあなたが後片付けの事も考えずに飲んだのは、よっぽど嬉しかったんでしょうね。
いなかった時間に比べて、ほんの僅かな滞在期間でしたが、何もかもが嬉しかったです。 楽しかったです。 そして幸せでした。
これほどまで4人で過した時間が最高に感じられたことは、正直に言って記憶にありません。
ただ『この気持ち』を言葉として上手く表現することが出来ませんでした。
自分勝手なプライドというか、照れというか、素直に『この一言』が言えませんでした。
でも、今だから言えます。
『ありがとう』
そしてこれからも、どうぞよろしくお願いします、、、
(Wednesday,June 05,2002)