7月7日
「日曜日からキャンプが始まるから、お前んとこの先生からスタジアムのアスレチックトレーニングルームの鍵をもらっておくように」と、昨夜うちの野球部のコーチから電話があった。
コーチ主催のベースボールキャンプでアスレチックトレーナーとして働かさせてもらうことは前々から聞いていたのだが、その日程は知らされていなかった。
「分かりました。 準備しておきます」と答えた私は、一つコーチに質問する、「まだ資格持っていないんですけど、他に誰か ATC みたいな人はいるんですか?」と。
「トレーナーを二人も雇えるほど、そんなバイト代はない」とあっさり言われた。
朝、鍵をもらうために Hamer Hall のアスレチックトレーニングルーム内のオフィスに行ったのだが、見知らぬおじさん以外誰もいない。
仕方がないから、そのおじさんに先生たちの居場所を聞いてみる。
「たった今、大学院生たちと Field trip に行った」と言う。 そして、「いつ頃戻ってくるか、私には分からない」と付け加えた。
しょうがないから、私はメモを残しオフィスを後にした。
次に向った場所は、二階にあるコーチのオフィス。 スケジュールを確認するためである。
部屋のドアは開いているものの、本人はいない。
別のオフィスの人に尋ねてみると、野球場にいるとのこと。
早速、その場へと向う。
コーチら野球部スタッフはグランドの手入れをしていた。
コーチとカタコトの日本語で挨拶を交わし、スケジュールについて質問する。
そして、キャンプ参加者の健康・傷害保険の有無も忘れずに聞いておく。
これは NATA のコンベンションで、ある ATC の方から保険に関する訴訟問題の話を聞いた教訓からである。
とりあえずスケジュールと保険は聞いたのでその場を去る。
次に目指すは、散髪屋。
これも NATA コンベンションから学んだ教訓であり、“まず外見からのプロフェッショナル”という教えを守るためである。
メモを残したものの、再び何度かアスレチックトレーニング内のオフィスに足を運ぶ。 とにかく鍵が欲しいからである。
しかし、誰もいない。
「あとで慌てないように」と、早めに準備を終わらせたかったのだが、肝心の鍵がないので何も出来ない。
そこで、出来ないなりに何が出来るか考え直してみる。
そういえば、最初のキャンプ参加者は“高校生”だと言っていたことを思い出した。
“Minor Patient”
すぐさまこの単語が頭に浮かぶ。
Minor Patient とは、18歳以下の未成年患者という意味で、生死に関わる状態以外ならば、決して親の同意なしで病院へ運んでいけないどころか治療すらもしてはいけないという厳しい法律を含んだ言葉である。
キャンプ参加者の健康保険をこの目できちんと確認するために、書類の提出先であるうちの大学の Health Center に行ってみる。
そこで私は信じられない事実を知った。
まず、ベースボールキャンプのスケジュールがそこに提出されていないのである。 同日から始まる女子バスケットボールキャンプのスケジュールはしっかりとあるのだが、私が担当するキャンプのは、しっかりとなかった、、、。
さらにもっと驚いたことは、ベースボールキャンプ参加者の保険の書類が五名分しか集まっていないのである。
看護婦の一人は、私に代わって驚きを表にあらわしていた。
夜も遅く、これ以上どうしようもなかったので、とりあえず Minor Patient についての再確認と Health Center の診療時間を書きとめ、 自分のアパートに戻った。
「七夕の夜に願ったことは、“まだ始まらぬキャンプの無事終了”であった。」
7月7日 終了。