6月29日
College/University Student Athletic Trainer Seminer と題して、まだ資格を持たない学生トレーナー達のために開かれたさまざまなセミナーに参加。
8:00−9:15am。
まず最初の General session では、巨大なスクリーンが2つも用意されている大会場で “Soft Tissue mobilization for the shoulder”“Closed chain kinetic and plyometric exercises for the shoulder”というテーマの「肩」に関する2つのセミナーが行われた。
肩については、既に大学の授業で学んでいたし、このセミナーの内容があまりにも概論すぎたため、特に新しい知識は得られなかった。
9:25ー10:15am。
General session の後は個人個人で選択したセミナーを受講する。
7つほどのセミナーがあり、その中から私が選んだのは、“Closed kinetic chain and plyometric training exercises for the shoulder”。
理由は、来年の春学期の担当が野球部だから「肩」に関したものがいいと単純に思って、、、。
このセミナーの講師は テーマからも分かるように、General session の時と同じ先生であった。
General session の大会場と比べ、このセミナーの会場は小さい。
約60名ほどの大勢の学生たちが受講していたため、さらに部屋が狭く感じられた。
セミナー開始前に周りの学生たちを見回してみると、不思議なことに日本人は私一人しかいない。
General session では何人か日本人らしき学生を見たのだが、ここには自分以外の日本人は一人も見当たらなかった。
しかし、うちの大学で“こういう環境”は毎度のことなので、全然気にならなかった。
セミナーの方は、General Session の続きから大雑把に「リハビリの意味」「リハビリの方法」など理論的な説明へと進んでいった。
私はこのセミナーを受講してよかったと思った。
なぜなら、9月からの秋学期は“Therapeutic exercise(運動療法学)”のクラスを取るから。
したがって、セミナーを聞く姿勢も自然と力が入った。
理論的な説明が終わり、次に用意されていたリハビリ器具を用いて、今度は実践的な説明に入る。
「学んだことを選手にやらせる前に、まず自分自身で体験してみる」と講師の方は言ったのだが、あまりの人数と時間制限のために学生全員の参加は不可能だった。 そこで希望者を募って、各リハビリ方法のデモンストレーションを行った。
前学期に2週間ほどリハビリ担当を経験したのだが、今回行われたセミナーのリハビリ方法は、うちの大学では見たことがないものばかりだった。 さらに、使用された器具もうちの大学には無いものがあり、その使用法などここで多くの事を学ぶことが出来た。
10:25ー11:15am。
午前中最後のセミナー。
ここでも前回同様に、新たにある7つのテーマから選択する。
私は始め“Maintenance exercise for the shoulder at home and on the road”を希望していたのだが、前のセミナーで出席確認がなかったことをいいことに、勝手に“Networking”というセミナーに変更した。
理由は、そのセミナーの講師の方が日本人であると分かったからである。
セミナー選択時に、私はテーマだけしか見ておらず、講師名やその大学名は無視していた。
だから、後で再びセミナー・プログラムに目を通した時、「どうしても“日本人が行う英語だけでの講義”を受けてみたい」という気持ちに駆らた。
そして、早速その会場へと足を運ぶ。
会場にはうちのメンバーである Tim、Menndy、Maureen、Carissa、Tom もいた。
セミナーの内容は基本的なものばかりだったが、いろいろと今後への参考になった。
セミナー中に私が感じていたことは、「やっぱり日本人の講義はアメリカ人の講義と比べてしっかりとポイントを押さえていて、講義自体の流れがスムーズだなぁ」と「いつになったら、こんな風にきれいな発音ができるのだろうか?」である。
そしてセミナー後は講師の方と“日本語”で挨拶。
しかし、声が震えてうまく喋れない。
かなり緊張していたのだろう。
2:00ー3:30pm。
昼食休憩後も再びセミナーが続く。
だが、今度のセミナーはなかなか面白い。というのも、前にセミナーで聞いた“学んだ事を選手にやらせる前に、まず自分が先にやってみる」という labs(体験実習)のセミナーであったからである。
この labs はコンディショニングあるいはリハビリ用の器具の使い方を学んでいくもので、やはり私には今後のよい予習となった。
10ー15名程のグループに分かれて、“Biofoam pollers and Dynadisk pillows”“Plyoballs and Body blades”“Swiss balls”“Fitter and Slideboards”をそれぞれ20分間順に説明とともに体験していく。
うちの大学のアスレチックトレーニングルームにあるものもあれば、初めて目にする器具もあり、とても良い勉強になった。
全てのセミナー自体、入学したばかりの Freshman から卒業間際の Senior までと学年を問わず、参加した学生全員が一緒に同じ事を学んでいく。
しかし、この実践的なセミナーで気付いた点は、Senior らしき学生達は講師の説明を理解した上で、より高度な応用法を質問しているのに対し、Freshman らしき学生たちは行動を起こすどころか、専門用語の理解に苦しんでいたように見えた。
これは見ていて面白かった。 それは、学校内では決して見られない、“先輩後輩の同室授業”に感じられたから。
レベルの違いがありすぎる。
4:00pm。
待ち合わせの場所に誰も集まっていない。
30分後に Tim が来て、「突然予定を変更したから」「みんな Exibit Hall にいるから」と言って、一緒に Exibit Hall へ向う。
Exibit Hall とは、アスレチックトレーニングに関するさまざまな商品・製品が展示されている場所で、NATA のスポンサーをはじめ、無数の会社が新製品を紹介展示している。
Tim と二人で歩き回っていると、そこに誰やら何かの雑誌で見覚えのある人物が向ってくる。
目をこらして首からぶら下がっている名前のタグを見てみると、“Jiro shikakura ATC”とあるではないか。
そうである。 その人物とは、日本人で最初に ATC になられた鹿倉 二郎先生である。
一緒にいた Tim をそっちのけですぐさま自己紹介に入る。
突然の自己紹介にもかかわらず、鹿倉先生の対応は丁寧だった。
さらに、態度だけでなく話し方までも丁寧だった。
私の頭の中は完全に舞いあがっていたが、「こんなチャンスは二度とない」と思い、会話を夢中で引き伸ばす。
初対面でありながらも、約20分間話を続けて下さった鹿倉先生には表現しようのない感謝でいっぱいだった。
そして私にとって雲の上のような存在である鹿倉先生と会話が出来た事は、からだの中にただならぬ興奮を引き起こした。
そこで私がとった行動は、展示会場内で開かれていた「テーピング早巻きコンテスト」に参加。
何故そのコンテストに参加したのか自分自身でもよく分からないのだが、多分何かやって気持ちを落ち着かせたかったのだろう。
ん、タイム? 聞かないでくれ。
バス停でバスを待っている間に鹿倉先生からいただいた名刺をうちのメンバーに自慢げに見せる。
「この人はなぁ 日本人でなぁ 最初の ATC なんだぞぉ」
と説明すると、みんな「きんじはすごい人と会ったんだなぁ」と返事が返ってきたのだが、ただ一人だけ Tom が、「なんで電気メーカーの SONY に ATC がいるんだよぉ」と冷めた態度で聞いてくる。
彼に言われて「なるほど」と思った。
そして日本とアメリカのスポーツの“ある違い”に気付いた。
アメリカではプロスポーツ界が頂点をなし、その次に NCAA である大学スポーツ界がくる。
日本でもプロスポーツ界が頂点にくるのはアメリカと同じだが、しかしその次にくるのは社会人・実業団スポーツ界ではないだろうか。
スポーツとは全く関係のない会社でも、試合や競技でその社名を耳にすることが日本では少なくないはず。
そしてその次に大学や高校スポーツ界がくるだろう。
Tom のこのような指摘はある意味、「国別スポーツ界の形態の相違」として私には面白く感じられた。
私は、「アメリカにも実業団スポーツというものが存在するのだろうか? もしそれが存在しても、ATC の職場として日本のように通用するのだろうか?」と考え始めた。
さらに深く考え始めた私がたどり着いたところは、「マクドナルド所属、バーガー選手」、「チーム・CNN」という“アメリカ版 実業団スポーツ”とばかな空想だった。
6月29日 終了。