6月30日
7:00ー8:15am。
“Student leadership breakfast” という NATA の学生朝食会に参加。
実のところ私はこのコンベンションの事前の申し込みの時、この朝食会への希望は出していなかった。 だから当然コンベンション前に郵送されてくる名前やワークショップのチケットなどと一緒に朝食会用のチケットは含まれていない。
しかし、うちのメンバー全員はそのチケットを持っている。
もちろん申し込んだからである。
私は、「もし会場に入れなかったら、その辺で適当にしておく」と言い、メンバーと一緒に会場入りを試みた。
幸運にもチケットの確認はなく、中に入ることが出来た。
「さあ飯だ。 おっとその前にまずテーブルを確保しよう」と席を捜し始めてみても、どのテーブルにも“予約”という紙が置いてある。
「一体どこに座ればいいのだろうか?」と、この朝食会の主旨を全く理解していない私はメンバーに目をやる。
みんなはそれぞれ分かれて各テーブルに座り始めていた。
まだよく分かっていない私は、とりあえず一人の中年男性と一人の学生が座っているテーブルについた。
その中年の男性は、カリフォルニア州のある大学で講師をしている ATC の方で、アスレチックトレーニング・トレーナーの話をしてそのテーブルを仕切っていた。
周りのテーブルを見回してみると、やはり若い学生たちの中にそれなりに年がいっている人たちが何やら語っているのが分かる。
そこでようやくこの朝食会の意味が私には理解できた。
「これは NATA のお偉いさん達と話す場」なんだと、、、。
その時の私の服装は、カーキ色のズボンにグレーのTシャツだった。
しかし、私の目の前に座っている Indiana University からの学生はどう見ても必要以上の正装をしている。
そして後から席についた Pennsylvania State University からの2人の学生たちは正直、自分以上にだらしない服装だった。
食事中、会話をしながらも目はどうしてもその正装学生君にいっていた。
服装だけでなく、態度や姿勢まできちんとしている。
一方、隣に座る学生たちはテーブルに肘をつきながら朝食を取っていた。
そこで私がとった行動は、背すじを伸ばし、できる限り“りりしい”顔つきを保つことであった。
時間も半分を過ぎた頃、“District board menber”と呼ばれる全米の各地域の代表者達がステージ上に座っていった。
そして、彼らとともにその地域の学生代表たちも自分たちのテーブルを離れ、ステージ上へと上がっていった。
ここで正装学生君の必要なまでの服装の意味が分かった。
彼は、District 4 からの学生代表だったのである。
そしてその学生代表たちと NATA 最高幹部たちとの質疑応答が始められた。
ATC の資格を持たない下っ端連中の学生たちが、NATA の頂点の人たちに向ってステージ上から見下ろした形で質問していた様子は日本人の私から見て何か不思議に感じられた。
ちなみに、District 4の正装学生君は無口でおとなしかった。
朝食後は1時間半ほど自由時間を取り、うちのメンバー全員それぞれ好き勝手に行動することにした。
私は昨日の Exhibit Hall を十分に見学していなかったのでその会場へと向った。
会場の入り口付近で再び鹿倉先生と出会う。
今回も先生一人でいらっしゃったので隣に座らせていただき、いろんなお話を満足にお聞きすることが出来た。
Exibit Hall が開館時間となり、鹿倉先生に会話のお礼を述べ展示会場に入る。
今度は余裕を持っていろんな製品を見て回る。
うちのアスレチックトレーニングルームが去年の秋に新築され、それと同時に新しい製品や器具も入ってきたのだが、ここにはそれ以上に山ほどの新しいものがある。
やっぱり“人間の欲”というのだろうか、「これ、うちに欲しいよぉ」と見るもの全てに心の中で叫んでしまう。
展示会場を歩きながら、私は「ここは世界最大で最高のアスレチックトレーニングルームだぁ」と感じていた。
器具などのハード面は全てここに揃っている。 そして、それを使うアスレチックトレーナー達はここに大勢いる。
「なんて贅沢な場所なんだろう」と全く違う方向に私の考えは飛んでいた。
約束の時間となり、待ち合わせの場所へと行く。
ここでうちのメンバーが行ったことは、NATA グッズの販売店の隣でうちの大学のアスレチックトレーニングクラブで特注したシャツのセールスであった。
“Top 10 Signs You are an Athletic Trainer”と題して、アスレチックトレーニング又はスポーツ医学用語を使って作成したダジャレの文章がプリントされてある長袖のシャツの販売を行った。
場所が場所だけに立ち止まってその文章を読んでいく人も少なくなかった。
読んだ人全員が、「私も“これ”やったことある」と言い、うなずきながら笑顔を見せていた。
(余談だが、うちのアスレチックトレーニングクラブはTシャツなどを売り、そのお金でクラブを運営している。 前学期の終わり頃には町で洗車活動もしたことがある。 大学からの援助もいくらかあるのだが、とにかく個人で余計なお金は使わないようにと、あらゆる手段を用いてクラブの資金作りに励む。 実際、今回のコンベンションでは交通費やホテル代はクラブ側から全部支払われ、メンバー全員飲み食いした個人の支出分以外はお金をだしていない。)
さて、「来年のロサンゼルスのコンベンションに行きたいから、この服を買ってくれ」という情に訴える作戦が効いたのか、それともただ単にダジャレの文章が気に入られたのか、持参した全てのシャツが売り切れる。
私は合計何枚持ってきたのか知らないが、全て残らず売れた。
お金をその場に持っていなかった人たちのためやサイズ違いを補うために用意した申し込み用紙もその枚数が減る。
しかし、品切れの時点で我々の販売は中止した。
私は「商品がなくても申し込み用紙を配ればもっと売れるよぉ」と言ったのだが、「腹が減った」という理由で簡単にメンバーから却下された、、、。
この時私は貴重な経験をさせともらったと思う。
日本だとたぶん「みっともないからやめろ」「恥をさらさないでくれ」と批判されそうだが、ここはアメリカ。 やってみることに価値がある。
それに販売方法のコツというか、アピールの仕方のヒントを得ることが出来た。
5:00pm。
昨日知り合った日本人学生と待ち合わせをし、ある場所へと向う。
これは今回のコンベンションの2つ目の目的であり、私が期待と不安の気持ち両方を持ちながら参加したイベント。
「JATO オープンルーム」
JATO(Japan Athletic Trainers' Organization)とは、日本人 ATC を中心に構成されたアスレチックトレーナーの団体のことで、その活動も近年、活発になってきている(らしい)。
オープンルームとは、その JATO によって提供される「参加者で自由に使ってくれ」という情報交換の場所である。
資格を持つ ATC の方々だけでなく、私と同じようにアメリカでアスレチックトレーニングを学んでいる学生たちも多く出席していた。
具体的に何人とは覚えていないが、かなりの人数であったことは確かである。
参加者の中には、NATA のカリキュラム校に入学はしているものの、まだアスレチックトレーニングプログラムには入っていない学生もいた。
さらにインターンシップ制の大学からも参加者がいて、いろいろとその学習法の違いについて聞いた。
注)2004年からインターンシップ制の大学を卒業しても、NATAが主催する ATC になるための試験は受験できません。
これから留学を考えている方は、NATA認定校へ行かれることをお勧めします。
さて、私が JATO オープンルームの会場に入る前に思ったこと。
「うぁ、日本人がいるよぉ」
日本人の集まりだから日本人がいて当然のことなのだが、私にはそれが別光景に見えた。(現在うちの大学には、日本人は3人しかいないからそう見えたのも仕方がない。)
久しぶりに見た大勢の日本人に驚き、そして会話をしてショックを受ける。
「うぁ、みんな“標準語”を話しているよぉ」
私の話す言葉は“長崎弁”である。 標準語はあまりうまく話せない。
だから別の意味で“日本語の会話”は苦労した。
「○○さん、ご存知ですか?」、「××さんとお話になりましたか? もしよろしかったらご紹介しましょうか?」とたった今知り合った人から新しく次の人が紹介されてくる。 「あのー、□□さんとお話がしたいので、紹介してもらえますか?」と申し訳けなさそうに初対面の人に尋ねる自分。
正直私は情けなかった。
時期が時期だけにその場を国会に喩えさせてもらえば、私はまさに“新人で初当選の田舎議員”だった。
何をどうしてよいのか分からない。
しかし、「このような機会はムダに出来ない、今のうちに聞けることはできる限り聞いておこう」と“もったいない精神”でその場は耐えた。
時間が進むにつれその場の雰囲気にも慣れてきた。
参加者全員とはいわないが、たくさんの人達と会話を交えることが出来た。
予定終了時間前にある学生から「学生同士で今日の反省会みたいなものをしませんか?」と誘われた。 「情報は少しでも多い方がいい」と思い、参加の意思を示した。
しかし、オープンルーム終了間際、ある ATC の方と話し込んでしまい、その反省会とやらには参加できなかった。 なぜなら、その時の私には反省会よりも重要な事をその ATC の方に聞かなければならなかったから。
どれくらい話したか覚えていないが、気がつけば学生は私を含め2人だけであった。
あとは7ー8名ほどの ATC の方ばかりである。 しかし「ATC」と分類すれば、私だけがその資格を持たない人間だった。
「これはさすがに居心地が悪い」と感じ、自分の宿泊先に戻ろうとするが、もう一人の別の学生 ATC の方が「こういう事をきっかけに、積極的に行動した方がいいですよ」と言われ、「それもそうだ」と安易に思い、勝手に同行させてもらった。
付いていったところは、ホテル内のレストラン。
だが、私は「やはり付いて来るべきではなかった」と強く感じさせられた。
というのも、周りの方は“Certified member”とブルーのタグを首から下げているのに対し、私一人だけが“Student”とオレンジ色のタグをぶら下げるいる。 しかもその ATC の方々は、日本の第一線で活躍している人たちばかりであったからである。
何を話してよいのか言葉が見つからないし、「自分のようなものがでしゃばってはいけない」と思い、黙って食事を取る。
いろいろとトレーナーとして勉強になる話もあれば、面白い裏話もあった。
初対面でありながらも優しく接してもらい、しかも食事までご馳走していただいた。
今回一緒に同行させていただいた ATC の方々に心から感謝します。
「ありがとうございました。」
6月30日 終了。