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私の中の優勝候補は、準々決勝で敗れ去った。エース香月を擁する柳川高校は、春と同様またしても智弁和歌山に行く手を阻まれてしまった。香月良太、彼こそが柳川高校を優勝候補に予想した最大の理由である。だからこそ敗れるときの原因もやっぱり彼なのだ。 第82回全国高校野球選手権大会、多くの好投手がその評判通りの力を見せつけていた。1回戦で19の三振を奪った浦和学院の坂本、松坂そっくりの投球ホームで注目を浴びた横浜高校の小沢、エースで四番そしてキャプテンをも務めるチームの大黒柱、樟南の青野。彼らは「実力を出し切れなかった」、そう言うかも知れない。しかし、甲子園という晴れ舞台で彼らはその才能を十二分に見せつけていた。 それでも優勝候補は柳川高校だった。九州のドクターKと呼ばれた香月の最大の持ち味は、誰にでもあるであろう負けん気だった。2回戦は浦和学院の坂本との対決、その試合前のコメントは対照的だった。坂本が「意識していない」と言ったのに対して、彼は「(三振の数でも)負けたくない」と答えた。さらに試合中、チームメイトに「(数で負けてしまうから)三振しないで」と言ったぐらいだ。そしておきまりの質問に対しても、いつもこう答えていた。「抑える自信はある」。親指のまめがつぶれ、途中から思うように投げられなかった準々決勝。試合後のコメントはいつもよりさらに小さい声だった。「最後は僕の失投です」、そして「(智弁和歌山は)春よりは打つようになっていた」と。 「去年は当たったのに」と思いながらも、いつも自分の予想する高校が結構世間で騒がれている本命だったことに気づく。甲子園には魔物が住んでいるらしい。小学校の頃、飼育係にだけはなりたくなかった私には、なかなか懐かないのかもしれない。そういえば、この前も家の猫にかまれたっけ。 |