もう一つのY2K

後にリングの上に立っていたのはもう一人のオランダ人だった。栄光の光りに照らし出された褐色の肉体は、見事なまでの復活を遂げこう締めくくった。「みんなを見返してやりたかったのさ」

 事実、噂は広まっていた。試合前の会見で彼に寄せられた質問のほとんどがアーネスト・ホーストはいつ引退するのか、といった内容だった。噂の発端は一年前に遡る。’97年にチャンピオンになった際、彼は準決勝でフランシスコ・フィリオと対戦し判定の末勝利を納めているが、’99年春に行われたそのリべンジ戦でKO負けを喫している。そしてその後、肝機能障害という大病を患っていたことがわかり、ホースト引退説はますます現実味を帯びていた。それゆえに、20世紀最後の暴君オランダのピーター・アーツをはじめ、3年連続決勝進出のアンディ・フグ、今大会優勝候補と目されたジェロム・レバンナと、死のブロックに位置したアーネスト・ホーストに、マスコミをはじめとするメディアとK1ファンからは、勝つ見込みは与えられなかったのだった。

 蘇ったチャンピオンにはリベンジが用意されている。K1世界チャンピオンvs.極真世界王者。来年2000年に予定されている、極真世界王者フランシスコ・フィリオとの対戦に向けて、ミスターパフェクトの精密機械はY2Kを無事クリアした。ファンの鼓動は治らない。34歳はまだまだ元気だ。

 

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