『穏やかに君は狂う』


        重く、冷たい。
       そしてどこか張りつめた空気。
       ベクタはそんな所だ。
       無機質で、どこか味気なくて。
       だから、『ここ』が私の居場所だなんて、考えないようにしていた。


        「将軍会議にケフカが来ないだと?」
       意味無く煌びやかな椅子の上から、ガストラが振り向いた。
       「ええ、確かに知らせたはずなのですが・・・」
       レオが困ったように言うと、
       「どうせ、自分の部屋で人形遊びでもしているのだろう。」
       とセリスが毒づいた。
       普段なら週に一回有るか無いかの将軍会議も、この戦争の中、毎日行われるようになっていた。
       会議といっても、結局はレオとケフカの言い争いになってしまうのだが・・・。
       「すまないがセリス、ケフカを呼んできてくれ。」
       私が?と反論しかけたが、ガストラの命令では仕方がない。
       長い髪をなびかせて、彼女は廊下に出た。


         軽く、しかし少し苛立ったようにドアをノックし、ノブに手を掛ける。
       「ケフカ、入るぞ。」
       元はと言えば彼が来ないのが悪いのだから、返事も待たずに部屋に入った。
         部屋の隅に、彼は居た。
       壁に寄りかかり、赤く血に染まった剣を眺めている様だったが、目は虚ろだった。
       セリスは呆れながらも彼に近づいていった。
       「何をしている。もう会議の時間だ。」
       「・・・るな・・・・!」
       「え?」
       「・・来るな!!」
       ガン!という大きな音の後、セリスは突きつけられたその剣を見て思わず目を丸くした。
       とっさに避けていなければ、壁ではなくその顔に刺さっていただろう。
       しかし、もっと驚いたのは後の彼のセリフだった。
       「・・・ここから逃げろ、セリス。」
       何か言い返そうとしたが、声が出ない。
       「君も知っているだろう?・・・魔導注入による精神崩壊・・・
        僕はもう・・だめだ・・・」
       息が荒い。
       体は細かく震えている。
       彼の表情からして、それが冗談ではないことは感じられた。
       「・・・しかし・・」
       かろうじて掠れた声を発したが、後が続かない。
       体も動かない。
       驚きと、恐怖と・・・動揺で。
       「君はまだ・・間に合うはずだ・・・・」
       冷汗が出てきた。寒い。喉もカラカラだ。
       「口で言うほど簡単ではないことくらい・・わかっている・・・
        それでも・・・・こうするしかないんだ・・・」
       頭が痛い。
       胸が苦しい。
       セリスは思わず、目を瞑った。
       手に力を入れ、込み上げてくる感情に耐えた。
       「逃げるんだ、セリス」
       理解していたつもりだった。
       自分達が、どれだけ罪深い存在なのか。
       でも・・・・
       「早く・・・僕のように狂い出す前に。」
       それでも・・・声を絞り出して、何とか答えた。
       「・・・わかった。」


        それから数分後、セリスは裏切者として捕らえられた。




    『セリスが帝国を裏切った理由』の私的考えです。
    というよりドリーム?(笑)

    帝国で育ち、常勝将軍として生きてきたセリスが、どうして帝国を裏切ったのか?
    どうして魔大陸でケフカを仕留められなかったのか?
    (いや、ストーリー上の問題もあるでしょうけど;)
    と考えて、こうなったわけです。

    すみません・・・結局は自己満足小説でしたね。(痛っ)



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