Toyota Intercontinental Cup 2001  

Bayern Munich (1-0) Boca Juniors 

Scorer : Kuffour (109')

2001/11/27 , National Stadium , Tokyo , Attendance [51,360] 

Rating : ★★★☆☆☆☆☆☆☆


Bayern (Shots : 21 , CK : 8 , FK : 31 , Ball Possession : 61.6%)

GK : 1.Kahn

DF : 2.Sagnol , 4.Kuffour , 12.Robert Kovac , 3.Lizarazu

Defensive MF : 17.Fink , 23.Hargreaves (10.Sforza 76')

Offensive MF : 8.Nico Kovac (19.Jancker 76') , 13.Paulo Sergio

FW : 9.Elber , 14.Pizarro (6.Thiam 118')

Boca (Shots : 6 , CK : 0 , FK : 21 , Ball Possession : 38.4%)

GK : 1.Cordoba

DF : 4.Martinez (22.Calvo 18') (16.Carreno 111') , 6.Schiavi , 2.Burdisso , 14.Rodriguez

MF : 13.Traverso , 5.Serna , 26.Villarreal (29.Pinto 100')

1.5 : 10.Riquelme

FW : 11.Delgado , 7.G Barros Schelotto


 独占状態のマーケットにおいて消費者は搾取される運命にある

 今大会のチケット争奪戦は、国内で近年行われたビッグマッチの中では格段に緩やかなものだっただろう。主催者発表の公式入場者数は、毎回同様に51360人と大入り満員だったが、これは転売目的で購入した人間が思ったようにチケットを裁けず、安価で試合を見たいサッカーファンに売り渡したからではないだろうか。そもそもサッカー協会が「キャンセルが出たので再販します」とアナウンスするというのが異例なことだ。思うに、「高原が来ない」、「ヨーロッパ代表がドイツのクラブだ」などといった理由以上に、人気が出なかった要因は「チケットがあまりに高すぎる」という点に尽きる。スポンサー、協会などといった、大多数のファンとは明確に異なる、生産手段を持つ少数のものによる大会運営が、一般消費者の無言の反抗を招いたというのが、本質に近い答えなのではないか。

 ねぇねぇ、君たちぃ、一体何しに東京まできたの?

 主催者も酷いが、出場クラブも酷い。マンチェスター・U、レアル・マドリーなど近年の欧州代表クラブは、トヨタカップの前週の国内リーグ戦は延期にして、なるべく早めの来日を心がけていた。だが、今年のバイエルンに至っては、しっかりと前の土曜に試合を行い、トヨタカップは前日来日、翌日帰国という強行スケジュールの中で挑んだ。バイエルン同様に「前日来日、翌日帰国」というスケジュールをとった先月のイタリア代表は、あくまでも「本大会の予行」が最大の目的であったし、試合のステータスはたかだか国際Aマッチに過ぎなかった。ところがバイエルンの場合は訳が違う。少なくとも主催者、スポンサーがこれまで長きにわたって「クラブ世界一決定戦」を声高に叫び続けてきた以上、今大会におけるバイエルンの日程は「絶対にあり得ない話」なのだ。

 同じドイツのクラブであるボルシア・ドルトムントは4年前、バイエルン同様にトヨタカップを戦うために来日し、見事優勝を飾った。このとき、テクニカル・ディレクターとして来日したのが、現在バイエルンの監督を務めるオットマー・ヒッツフェルト。おそらく彼の言葉ではないだろうが、ドルトムントの幹部が発した言葉として、今でも僕の記憶に残っているものがある。「トヨタカップのステータスはスーパーカップと同等かそれ以下だ」。同じドイツのクラブだからといって単純に置き換えるわけにはいかないが、バイエルンが同様の意識で今大会に臨んでいたとしても、スケジュールを見る限りは簡単に否定できるものではない。

 アルゼンチン人は、あるシチュエーションになると必ず醜態をさらす

 バイエルンとは対照的に、ボカは前回同様、早めの来日で調整を続けた。だが体調以前に明らかに下手くそすぎる。その上、来日したボケンセは、不況の影響からかどう見ても昨年の3分の1ほど。90年代半ばから言われ続けてきたことだが、南米のクラブが選手を育ててはヨーロッパに売るという図式がある以上、南米代表は理論的には欧州代表に勝てるはずがない。だが、それでもなんとか南米代表は、欧州代表の過密日程、意識の低さ、そして何よりサッカーが、あらゆるスポーツの中で最も得点の得点の重みの強い種目であるという特性(マグレでも1ゴールが勝負を決める)をバックボーンにして、これまでトヨタカップを戦ってきた。しかし付け入る隙がそこにしかない以上、もはやそれは弱者の戦略なのだ。相手のミスを確実に得点に結びつけ、後はマリーシアと運に頼るという戦いでは、見ているこちらも楽しくはない。

 そしてアルゼンチン人は他の南米人と比べても、そのようなやり方をよく行う。華麗なショートパスの裏にあるのは、「勝つためには手段を選ばない」というメンタリティだ。昨日、最もそれを体現したのはギジェルモ・バロスチェロットだが、これまで簡単に過去を振り返ると、アルゼンチン人はいつもそのようにしてきた。最も有名なのは66年ワールドカップにおいて、聖地ウェンブレーでイングランドを削りに削った「アニマルズ」だろう。伝説の名監督、アルフ・ラムゼーをして、「あんなアニマル達を相手にしては、まともなサッカーができるはずがない」とまで言わしめたのだ。

 そこにプッツンが加わるとさらにたちが悪い。記憶に新しいところでは、98年、灼熱のマルセイユでプッツンしたアリエル・オルテガだ。対するオランダが一人退場して以降10人という絶対有利の条件の下、一人レフリーに苛ついた結果が、ファン・デル・サールに頭突きをかましての一発退場。メスを争うパキケファロサウルスが、あの日のマルセイユには確かに復活していた。

 2001年の東京でその役割を演じたのは、オルテガと同様、代表メンバーにも時折選ばれるデルガドだった。中学生並のひどいシュートミスの後、しばらくすると、何を思ったかゴールエリア内にトライしたのだ!だが種目が違う。これはサッカーだ。志村けんが大の得意とするコントでもない。本人はギャグのつもりでも、本国の気温の低さから笑いのセンスが衰退しているであろう、キム・ニールセンにとっては、それはレフェリングに対する大いなる挑戦と映った。ベッカムのヒールキックでさえ許せなかった男に、デルガドごときの演技が通じるはずもない。かくしてボカ・ジュニアーズは、残りの75分間を10人で戦ったのだ。

 名門クラブは出尽くした。アフリカ人もMVPを穫った。もうこの辺でいいんじゃないのか。

 これだけの強行スケジュール(先週末にリーグ戦を行い、もう今週末にはヘルタ・ベルリン戦が控えている)では、いくら現在名実共にヨーロッパ最強クラブのバイエルンも、さすがに本来の出来を発揮できるわけがない。その上、ボカは殻に閉じこもったまま出てこない。最も被害を被ったのは、高いチケットを買わされた5万人の観客だ。来年、よほどのことがない限り、もうゴール裏以外のチケットは買わないだろうし、必要としないだろう。

 もしくはそれ以前に今年で大会が幕を閉じる可能性もある。現に今年の大会でさえ、ホーム&アウェイ方式での開催になりかけたようだし、このような低調な試合ぶりを見せつけられておきながら、また大金をはたいて国立に足を運ぼうという人が来年も大勢いるかは分からない。81年の第一回大会以降、これまで、ACミラン、ユヴェントス、バルセロナ、レアル・マドリード、バイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・U、リヴァプール、クルゼイロ、グレミオ、ボカ、リーベル、ペニャロールと、それこそ世界屈指の強豪クラブが東京で戦ってきた。だが、もうここら辺でいいんじゃないのか。こんな惨めな「クラブ世界一決定戦」をこれ以上、僕は見たくはない。「トヨタカップは過渡期を迎えつつある」と言われ続けて、はや4〜5年。ついにその終末期の到来を、国立の周囲に積もった落ち葉が、寂しげに訴えかけていた。

 

 2001/11/28

 

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