Carlsberg Cup 2000 Final
Czech Rep (2-1) Mexico

<Scorer> Kolomaznik (50min.) , Verbir (55min.) , Zepeda (80min.Pen)
2000/2/8 . Hong Kong Stadium . Attendance 36000
Match Stats
Czech Rep
<GK> Cerny
<DF> Polak (Brabec 85min.) , Rada , P Vlcek , Gabriel
<MF> Horvath (Necas 70min.) , Kolomaznik , Jankulovski , Sloncik (Vesely 46min.)
<1.5> Verbir (Kincl 61min.)
<FW> Lokvenc (S Vlcek 70min.)
Mexico
<GK> Perez
<DF> Almaguer , Marquez ,Hierro
<MF> Altamirano , Ramirez , Suarez , Rodriguez (Mendoza 78min.) , Mora (Victorino 69min.)
<FW> Zepeda , Osorno (Arellano 54min.)
<Match Report>
私と香港スタジアム
私には、香港スタジアムに関して非常に苦い思い出がある。それは、昨年の夏のことだった。私はイギリスに語学留学という名目で、サッカー観戦中心の旅に出かけた。日本からマンチェスター空港までは直行便は運行されておらず、また、ロンドンまで行くにしても、私にはJALやブリティッシュ・エアーなどのブルジョア階級の愛用する航空会社など、利用できるほどの金などあるはずもない。そこで、私はマンチェスター空港まで運行しているキャセイ・パシフィック航空を利用することにした。そうなると、香港で乗り換えるということになる。ところが不運にも、私が予約したときには、既に乗り継ぎにちょうどいい時間の成田発は予約がいっぱいになってしまっていた。そこで私は、早めに日本を出国し、一日だけ香港を観光することにしたのだった。
そうはいっても、当初は全く立ち寄るつもりなどなかった香港など、私には全く関心がない。しかも、一応のつもりで図書館からくすねてきた香港のガイドブックを自宅に忘れてきてしまった。香港のチェプラックコック空港では、とりあえず両替をして、香港の中心部に向かうことにした。
香港駅という、「機場快速」の終点駅はビルの地下にあり、外へと足を一歩踏み出すと、そこは日本よりも湿気が多く、温度も高い香港の中心部だった。どこへ行っていいのか分からない私は、とりあえず友人が言っていた香港の観光地であるヴィクトリア・ピークへとタクシーで向かった。ヴィクトリア・ピークは香港を一望できる山の頂上のことだ。そこでしばらくくつろいだものの、そのあとはどこへ行っていいものかさっぱり分からない。そこで、私は空港でもらった地図を広げて考えた。地図の東南方向には、ワンチャイ・スタジアムというスタジアムが小さく載っていた。私は思った。「あ、ここが、オリンピック代表が試合をしたところなのか」、と。すぐさま私はヴィクトリア・ピークから、タクシーでそこへと向かった。
ワンチャイ・スタジアムに着いた私は思わず力が抜けてしまった。そこは観客席のあまりない陸上競技場だったのだ。私がタクシーの運転手に、「そこはサッカー場か?」と聞いたときに、たしかにヤツは「YES!」とか言っていたのに。まあ、プーマの偽物のT-shirtを着た運転手を信用した私がバカだった。その後、私はよろよろになりながら、さっさと空港に引き返したのだった。
国内組中心でもエキサイティングなゲーム
今回のカールスバーグ・カップの決勝に進出したメキシコとチェコだが、そのメンバーの多くは国内リーグで活躍する選手達が中心で、我々が期待していたビッグ・ネームは軒並み参加していなかった。チェコだったら、リヴァプールのベルガー、スミチェル、シェフィールド・Wのスルニチェク、ラツィオのネドヴェド、フィオレンティーナのレプカ、ベンフィカ・リスボンのポボルスキー、アトレティコ・マドリッドのベイブルらのタレントは不参加だった。メキシコもブランコやエルナンデスやカンポスらがいない。はっきり言って、この試合に出場した選手で私が知っていた選手など、メキシコのラモン・ラミレスただ一人だった。
この試合の主審は、フランス・ワールドカップでベッカムにレッドカードを出したデンマークのニールセンさんが務めた。彼のホイッスルでゲームがキック・オフされると、まずチャンスを創りだしたのはチェコだった。192cmの長身FWロクヴェンツをターゲットとして、そのあとをヴェルビルやスロンチクがサポートしていくというシンプルな攻撃で、序盤はチェコがペースを握る。対するメキシコも体格ではチェコに劣るものの、ボール・コントロールやアイディアが優れた選手が多い。メキシコは中盤でボールを奪うと、2、3回つないだ後、サイド攻撃やサイド・チェンジでチェコ・ゴールへと迫る。また、セペタをはじめとしてドリブルが得意な選手が多く、チェコDFは手を焼いた。それでも、要所ではチェコのキャプテンとしてチームを引っ張る、センター・バックのラダのカバーリングが光った。彼のタックルにメキシコのチャンスは摘み取られていった。
チャンスに絡むモラ
DFも積極的に上がり、優勝への意欲を見せるメキシコが、徐々にゲームを支配していく。前半19分、メキシコのセペタはチェコの左サイドを得意のドリブルで切り裂いていく。そのままペナルティ・エリアに侵入した彼は、シュートを狙うもののチェコDFがブロックし、そのこぼれ球をロドリゲスが左足でシュートした。グラウンダーのそのシュートは、キーパーの正面に飛んだものの、この試合初の決定的な場面だった。その後もイエロのドリブル突破など、メキシコの攻勢が続き、ロドリゲス-モラ-ロドリゲスのワンツー・パスでロドリゲスがミドルを放つも、クロス・バーのわずか上を超えていった。23分、右ウィングハーフのアルタミラーノは右サイドでボールをキープした際、センタリングと見たチェコGKがポジションをファーサイドに変えたのを見るや、思い切って右足アウトサイドでシュートを放った。キーパーにセーブされたものの、メキシコ選手のアイディアやトライする姿勢を象徴するシーンだったように思う。
チェコも攻められっぱなしではない。チェコは伝統的にカウンターを得意とするチームだ。攻められているように見えても「伝家の宝刀」がある。この日も1トップのロクヴェンツがチャンスと見るや動き回り、ヴェルビルやスロンチクがそれに続く。メンバーは違えど、スタイルは変わらないものだ。
前半の中頃になると、メキシコはミドル、ロングレンジのパスを多用するようになった。そして、後方の選手も攻め上がり、相変わらずペースを保持し続ける。チェコはMFがバックラインにカバーリングにはいると、その前のスペースがルーズになる。そこを、メキシコのモラやロドリゲスにうまく使われた。25分には、モラがドリブルで三人を抜いて、キーパーとあわや一対一という場面を創り出した。30分過ぎには、チェコの右サイドに生まれたスペースへの、ハーフウェイ・ライン付近からの放り込みに反応したモラが、DFに詰められながらも左足でシュートを放つ。また、直後にはまたしてもモラが、ゴールまで30mほどの距離からドライブ・シュートを放ち、バーをかすめた。40分には、ラミレス-ロドリゲス-ラミレスのワンツーからのセンタリングを、またまたモラがヘディングで狙うも枠を外れる。
対するチェコは、カウンターからホルバートが惜しいシュートを放つなど、「らしさ」は失っていない。前半はこういった流れでメキシコが優勢のまま終了した。
ツボをついたヴェルビルのアタッキング
後半のキック・オフ直後、チェコがいきなりビッグ・チャンスを迎える。後方からのロング・ボールを、ペナルティ・エリア内でロクヴェンツが左のヴェルビルへと落とす。45°の角度から放たれたヴェルビルのシュートは、メキシコのゴール右へわずかに外れた。その後、再びロング・ボールをロクヴェンツがヴェルビルへと落とした。今度はヴェルビルはセンタリング。ロクヴェンツのヘディング・シュートは惜しくもゴール右へと逸れていった。前半とは異なり、積極的にしかけたチェコがペースを握る。そして、先制点が生まれた。
ゴールまで40m付近でボールをキープしたロクヴェンツは左のヤンコフスキーへ。彼は、ホルバートとのワンツーでアーリー・クロスをファーサイドへと放り込んだ。そこには、どフリーのヴェルビルがいた。慌ててプレッシャーをかけに行くメキシコDF。しかし、ヴェルビルは、ヤンコフスキーからのクロスをダイレクトで中へと折り返す。そこへ走り込んだのはコロマズニックだった。メキシコDFの隙間から左足で放たれたシュートはネットを揺すった。チェコ先制!50分だった。ヴェルビルのセンスあるプレーが光ったシーンだった。
その後は、ボールを奪ってからの動き出しの早い両チームだけに、カウンターの応酬が続く。しかし、メキシコが再びペースを握るかと思われた55分、チェコに追加点が入った。
チェコGKのチェルニーの放ったゴール・キックが、ロクヴェンツを超えて、メキシコDF二人とヴェルビルの間に落ちた。そこをするするとヴェルビルがすりぬけていく。アルマゲルにプレッシャーをかけてクリアミスを誘い、一気にキーパーと一対一へ。ヴェルビルは冷静にゴール右へと転がす。一瞬の隙を逃さない、したたかさの光った得点だった。
その後、メキシコが攻勢に出て、P.K.で一点差に詰め寄るものの、結局はしたたかなチェコが逃げ切り優勝を果たしたのだった。
日本代表に欠けているものを示した両チーム
国内組が中心とは言え、見ている者の期待を裏切らない試合をした両チーム。それは、彼らがトライする精神を表現したからだ。「代表である以上負けることは許されない」、「自分が代表に残るんだ」。そういった姿勢を私が感じたからだ。今の日本代表を見ていると、そういったものを全く感じることができない。ボールを持てば相手との一対一を避けるかのように、創造性の欠如したボール回しを繰り返すだけ。バック・ラインは下がったまま。これではどうしようもない。特に平瀬や望月には大いに不満が残る。メキシコ戦後の平瀬のコメントを聞いて私は呆れた。一部しか聞いていないので何とも言えないが、少なくとも、世界のレベルは高い、ということと共に、「結構楽しめました」ということを言っていた。負けて何が楽しめただ!冗談じゃない!
この日にチェコ代表としてプレーした選手達のほとんどが、6月のEURO2000の初戦で、スタメン出場する可能性はないだろう。それでも彼らは、祖国の威信をかけ、自らの生き残りをかけてファイトしたのだ。また、日本が初戦で敗れたメキシコに関してもそうだ。国内組が中心のメキシコに対して、世界的な強豪だから、などという言い訳は許されない。トルシエもいつまでテストを言い訳にするのだろうか。コパ・アメリカもテスト。カールスバーグ・カップもテスト。これでは選手は勝たなくてもいいのか、と勘違いしてしまう。戦術面ではともかくとして、こうした面は全く感心できない。アタッキングの仕掛けを恐れるかのような日本代表。見ているこっちは、全く点が取れる気がしないのだ。チェコはこのゲームで、勝負所をわきまえたしたたかさで優勝した。わずか5分間で2点だ。日本はこの大会、2試合で無得点。
もう、2002年まで2年しか残されていないのだ。「参加しただけ」、「ジャパン・マネーをばらまいただけ」のフランス大会から、早くも2年の歳月が経ってしまった。
2000/2/14
@この試合は資料が全くないので本当に苦労しました。。。。。メンバー表と試合記録をチェコサッカー狂会のHPでやっと発見。
2000年4月、二度目の香港でついに念願の香港スタジアムへたどり着くことができた。ただし直後に野良犬に追いかけられて、怖い思いをしたけれど(笑)。特徴ある美しいスタジアム。日本のスタジアムには顔がないなあ、とつくづく考えさせられる。ワールドカップ用に建設されたという宮城スタジアム。何だアレは!?仙台駅から車で40分だと!?陸上トラックもあるし。さらに伊達政宗の兜をもじったという屋根も何だアレ?全体に屋根を付けるコストをケチっただけじゃん。ふざけるな。ワールドカップをバカにしてるのか!?
香港スタジアムへのアクセスは、香港島の地下鉄トン・ロー・ワン(Causeway Bay)駅を降りて、山の方向へ歩いて約10分ほど。
2000/5/5