EURO 2000

England (1-0) Germany

Scorer : Shearer (53mins.)

Shearer's right hand up performance!

Group A , Second Match Day

Stade Communal , Charleroi , Belgium , June 17th - 20:45  , Attendance 30,000


"SUMMARY"

            ENGLAND     GERMANY 
1  Goals 
Shots On Target  6 
1   Shots Off Target  9 
20  Fouls Committed  17 
1  Yellows 2
0  Reds   
3  Corners 7
2  Off sides
20'28"   Ball Possession (time)  31'32"
39  Ball Possession (%)  61


"STATS"

England

GK  1.Seaman

DF  2.Gary Neville , 6.Keown , 4.Campbell , 3.Phillip Neville

MF  7.Beckham , 8.Scholes (18.Barmby 72mins.) , 14.Ince , 17.Wise

FW  9.Shearer , 10.Owen (16.Gerrard 61mins.)

Germany

GK  1.Kahn

DF  2.Babbel , 10.Matthaus , 6.Nowotny

MF  18.Deisler (13.Ballack 72mins.) , 14.Hamann , 16.Jeremies (5.Bode 78mins.) , 7.Scholl ,17.Ziege

FW  19.Jancker , 9.Kirsten (11.Rink 70mins.)


 深夜に高田馬場へ

 高田馬場にFootNiKというパブがある。そこで宿敵のドイツ戦を友人と観戦することにした私は、23時をまわったころに家を出た。しとしとと雨の降る中、駅へと歩く。新宿などで飲んだ後、いつもなら下り電車に乗って帰宅する時間に逆に上り電車に乗り込んだ。

 深夜の中央線は全く使えない。「各駅停車」になってしまっているため東中野なども停車して本当にイライラする。新宿からは山手線に乗って高田馬場まで向かったが、これがひどい混みよう。しかも車内は当然のごとく酔っぱらいだらけで酒臭い。高田馬場にやっと着いたかと思うと、ホームには新鮮そうなゲロがあり、精算機の下ではサラリーマンが「コの字」型になって眠っている始末。アンダーグラウンドのジュビリー線に乗りウェンブレー・パーク駅で下車。そして、正面のツイン・タワー目指して10分ほどまっすぐの道を歩いていくという姿とは似ても似つかない。ロンドンと違って東京でイングランドを応援するのは非常に骨が折れるらしい。

 そして駅の改札ではぱ・ち〜の君と、店内ではもう一人の友人とそれぞれ合流。店内は早くも混んでいて椅子が埋まっていた。そのため5時間余り、立って観戦することとなってしまった。ドイツ戦の前に行われたグループAのもう一試合は、ポルトガルが終了間際の劇的なゴールでルーマニアを1-0で下した。

 このころになると店内はもうすごい混みようで、イングランド人、ドイツ人、日本人が溢れ返っていて本当にしんどくなってくる。前日、前前日ともあまり寝ていなかったので体がだるい。でもドイツは倒すぞ。

 Owen can end 34 years of hurt for England.

 という見出しが、イギリスで最もポピュラーなサッカー情報のサイトのひとつであるSoccernetのトップになっていた。イングランドは、地元開催の66年ワールド・カップの決勝でドイツを破って以来34年間、大きな大会では一度も勝てていなかった。しかし、今回はその不名誉な記録をうち破るまたとない機会なのだ。前回チャンピオンにも関わらず今大会のドイツは一様に評価が低く、一戦目のルーマニア戦での低調さによってその評価にさらなる追い打ちがかけられてしまった。

 だがイングランドも万全ではない。懸案の左サイドに光明が射したと思ったらそのマクマナマンが負傷でドイツ戦を欠場。さらにCBのアダムスもケガで欠場した。

 宿敵同士の対戦であると同時に、両チームともこの試合で勝たなくては予選リーグ突破が苦しくなるという背水の陣での試合でもあった。

 God Save The Queen

 いよいよ選手が入場してくる。それだけで大騒ぎだ。さらに"God Save The Queen"を熱唱するイギリス人達。 すごい熱気で店内は暑く、さらにタバコの煙で視界は心なしかぼやけ気味。そんな中、コッリーナが笛を吹いて注目の一戦が幕を開けた。

 ドイツは基本的にはヤンカー、キルステンの2トップに比較的自由に動き回るショルが絡んでいくという形。FKはツィーゲが主に担当。オープニング・シュートはそのツィーゲのFKだったが枠の上を超えていった。

 中盤では激しいぶつかり合いが展開される。また両チームとも、二列目の選手の飛び出しもしっかり中盤の選手がケアしている。ボール・キープ率ではドイツが優勢で、そのぶんチャンスの数もやや多いといったところか。それでもずば抜けた集中力を持って、この試合に臨んでいる両チームにはなかなか穴が空かない。 

 15分、右タッチ・ラインでフィル・ネヴィルがロング・スローを放り込む。シアラーのバックヘッドが流れ、それをスコールズが折り返して再びシアラーがヘッドで狙うが間一髪でDFがクリア。

 一進一退の攻防

 ドイツの方は右サイドで先発出場を果たしたヘルタのダイスラーはなかなか積極的に仕掛ける。急造の左サイド・ハーフのワイズをかわしてセンタリングまで持ち込む場面もあった。またハマンも右に左にと動き回り、果敢にシュートを放つ場面も見られた。

 そんな中、ドイツに決定的なチャンスがやってくる。バベルがセンター・サークル内で、イングランド選手二人にプレスを受ける直前で前方のショルへ鋭いパスを送る。ショルはインスのプレスを受けながらも、すぐ右のイェレミースへボールを受け渡して一気にゴール前にダッシュをスタート。イェレミースはショルに代わって自分に詰めてきたインスをかわし、左足で注文通りのスルーパスを、すでにラインの裏を盗りつつあったショルに通す。二列目からの飛び出しに対処が遅れるイングランドDF陣。ペナルティ・エリア内でボールを受けると、右からのフィル・ネヴィルのプレスをボールを左に持ち替えかわすショル。さらに左から慌てたキャンベルのスライディングが来るが、その鼻先で左足のシュート!ゴールかと思われたがこのシュートはミートせず、シーマンががっちりキャッチした。

 イングランドは自陣まで引き、ドイツはゆっくりと廻しながらワン・ツーやヤンカーに当ててからの攻めなどが多い前半となる。そのヤンカーとのワン・ツーからツィーゲが好ポジションでシュートを放つも、利き足ではない右足だったために力強さに欠けた。これはシーマンがしっかりとキャッチ。

 イングランドも決定的なチャンスを創る。ドイツ陣内、左からのスローインをスコールズがダイレクトでフィル・ネヴィルに返す。彼は浅い位置から、ペナルティ・マークやや右付近に思い切って放り込みを行う。そこで一瞬ボール・ウォッチャーになってしまったノヴォトニーとイェレミースを横目に、オーウェンが悠々と"ドン・ピシャ"のヘディング・シュート!ゴール右隅に決まったものと思い、拳を宙に上げた瞬間、GKカーンの超人的なセーヴによってボールは弾き出されてしまった。

 この後はややイングランドが攻勢に出て、スコールズのダイレクト・ボレーや胸トラップしてからの左足ボレーがドイツゴールを脅かす。またシアラーやオーウェンがチャンスを創りかけたりしたが、ドイツも最後の壁は破らせまいと必死にディフェンスし、上記のオーウェンのヘッド以降は決定的なチャンスがなかなか生まれない。

 両チームとも中盤で激しい攻防を繰り広げ、少ないチャンスをモノに出来ず前半を終えた。ここで驚いたのがあのハゲのコッリーナ主審がやたらにニヤニヤして上機嫌だったこと。ぱ・ち〜の君と「何笑ってやがんだ。きもちわり〜なコイツ」などと毒を吐いた。このぱ・ち〜の君はただでさえ口が悪いのだが、酒が入るともう全く手に負えなくなってしまう。イングランドのある選手に向かって「**いの引っ込め!」とか「お前の先祖は、昔アフリカの**海岸からイヤイヤ連れてこられたんだろ?」とか言いたい放題。本当に下品な男だが、私の似たようなモノなのでこれ以上は言うまい。もう一人の友人とは「いくらイングランドが手詰まりでも、この場面で切るカード(選手)がいないぞ」とか、戦術の話などをして上品さをかろうじて保った。

 ファー・サイドにはシアラーがいた

 後半に入るが両チームともこの時点で選手交代はなし。そして53分がやってきた。

 ドイツ陣内、右サイドにやや入ったところでベッカムがチャージを受けFKを得る。ゴールまで35mくらいはあったが、ベッカムはゴール前に放り込む。ニア・サイドにオーウェンとノヴォトニー、その左でスコールズとイェレミースがセットになり潰れる。ボールはゴール前でワン・バウンドしてファー・サイドに流れる。ここで今大会限りでの代表引退を発表した、キャプテンのシアラーがフリーになっていた。ワン・バウンドしたボールをダイブしながらヘッドで合わせる。さすがのカーンもどうしようもなく、ボールの軌道を見守ることしかできなかった。ボールは遠目のゴール・ネットを揺する。イングランド先制!"Yeahhh!"とすごい歓声が沸き上がる。後ろで前半からうるさかったドイツファンで、ナイキのヘア・バンドをしたオタク系のウンコ野郎が文句を垂れるのも全くお構いなし。ぶん殴ってやろうかと思っていたがイングランドが先制したので叙情酌量して許してやろう。ちなみにドイツ・ファンのぱ・ち〜の君もひそかに文句を垂れていた。

 その後はドイツが反撃に出る。時間は約60分ごろ。左のスローインからゴール正面35m付近のノヴォトニーへボールが渡る。ペナルティ・エリアのわずか外で、マークに付いていたキャンベルがファジーなポジショニングをしたためにFWのキルステンにボールを入れる。後ろ向きにボールを受けに来たキルステンは、ダイレクトでバックパス。そしてマテウスがさらにダイレクトでゴール前に蹴り込む。このとき、先ほどノヴォトニーがボールを持ったときにはその数m前にいたショルが、見事に右にスライドしながらイングランドDFラインの裏をとってダッシュしていた。そのショルへとマテウスはボールを送ったのだ。後方からのボールを芸術的な"吸い付きトラップ"し、45°から電光石火の右足シュートを放つショル。しかし無情にもグラウンダーのボールは、ファー・サイドのゴール・ポストをギリギリかすめて外れていった。仰向けに倒れ込むショル。これは美しい攻撃だった。敵ながら天晴れのシーンだ。

 オーウェンがリヴァプールのチーム・メート、ジェラードに交代。正直これは納得がいかなかった。またその後にスコールズに代えて、エヴァートンのバーンビーを投入したのも疑問だった。その後、再びドイツが決定的なシーンを創り出す。右のCKからバベルがニアで競り勝ってヘディング・シュートを狙う。これはこのまま行くとゴール左に外れそうだったが、キルステンがこれに合わせる。ここで見事にシーマンがボールを弾くが、こぼれ球は絶好の位置にいたヤンカーの目の前に落ちる。同点か・・・。しかし、ヤンカーは見事にこの最大のチャンスを逃してシュートをゴール左に外した。イギリス人から「ヤンカー!ヤンカー!」とヤジが飛ぶ。ビアホフのケガで廻ってきたビッグ・チャンスを完全にフイにしたヤンカーにとって、この日は「忘れられない夜」になったことだろう。

 歴史的な勝利。でももうボロボロ。

 その後も激しいぶつかり合いが続く。最後まで忠実にボールを追いかけ続ける選手達。35分過ぎあたりからは焦りからかドイツの攻撃がセンターに偏りがちになる。サイドに流れてもネヴィル兄弟をはじめ、しっかりDFが付いていく。ドイツは何度かシュート・チャンスがあったものの、最後はしっかりとDFのタックルが入ったり、シュートミスをしたりして同点に出来ない。ドイツははっきり言ってショルの運動量がなければ攻撃に期待が全く持てないのが痛い。それからイェレミースを途中交代させたが、彼はよくカヴァーリングにも入っていたし交代させてはいけない選手だと思う。彼の運動量もまた不可欠なのだから。

 そしてタイム・アップ。ついに34年間の苦い思いからイングランドが解放された。ここで店内は再びものすごい歓声に包まれる。ここでまた後ろのオタク系ウンコ野郎が文句を垂れる。さらに何を勘違いしたのか、横にいたドイツ人に"I'm so sad....."などとのたまいやがった。ここで「テメエ、"I"くらい"Ich"と言え!」と一括してやろうかという思いも頭をよぎったが、そんな余力はもはや残っておらず足早に退散。あまりにしんどくなり、新宿まで行って中央線に乗り換える気力さえなかったので、高田馬場から西武線で帰宅。勝ったのはよかったけど本当に疲れた。もうルーマニア戦は家でゆっくり見ようっと。

 

  2000/6/18

  

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