England (2-3) Romania
Chivu (20mins.) , Shearer (Pen 41mins.) , Owen (45mins.) , Munteanu (48mins.) , Ganea (Pen 89mins.)
Ganea
's penalty kick...... "Bye-Bye England".
Group A , Third Match Day
Stade Communal , Charleroi , Belgium , June 20th - 20:45 , Attendance 30,000
ENGLAND
ROMANIA
2 Goals 3
3
Shots On Target 10
1
Shots Off Target 5
11
Fouls Committed 20
1 Yellows 5
0 Reds 0
1 Corners 7
6 Off sides 9
25'04" Ball Possession (time)
27'44"
47
Ball Possession (%) 53
Total Played = 96'52"
Ball In Play = 52'48"
England
GK 13.Martyn
DF 2.Gary Neville , 6.Keown , 4.Campbell , 3.Phillip Neville
MF 7.Beckham , 8.Scholes (12.Southgate 82mins.) ,14.Ince , 17.Wise (18.Barmby 75mins.)
FW 9.Shearer
, 10.Owen (19.Heskey 67mins.)
Romania
GK 12.Stelea
DF 22.Contra
, 6.Popescu (17.Belodedici 32mins.) , 4.Filipescu
MF 2.Petrescu
, 5.Galca (16.Rosu 68mins.) , 8.Munteanu , 13.Chivu
1.5 7.Mutu
FW 9.Moldovan , 11.Ilie
(18.Ganea 74mins.)
代表最後のビッグ・ゲームに出場停止のハジ
ルーマニアはエースをサスペンションで欠いていた。"ルーマニア史上最高の選手"と言われるゲオルゲ・ハジである。ポルトガル戦でイエローカードを受けたために累積警告が溜まってしまったのだ。彼は2年前のフランス・ワールドカップを最後に、一時は代表引退を発表したものの再び復帰。そして迎えた今大会は間違いなくハジの代表での勇姿を見る最後のチャンスだ。
しかし第二戦を終えてルーマニアはドイツと1-1、ポルトガルには0-1の敗戦。この試合でイングランドを叩いても、ドイツが勝ってしまえば、グループリーグ敗退という瀬戸際の状況。そのためハジは自身最後となるであろう大舞台を、出場停止という形で迎えてしまうことになるのだろうか、というやや寂しい思いで、意味は知らないが切ないのメロディのルーマニアの国歌斉唱を眺めていた。
それでもそのような確信めいた思いを抱いていたというのは、宿敵ドイツを破ったイングランドが負けることはないだろう、と予想していたからだ。いくらフランス・ワールドカップのグループリーグで敗れている(終了間際ペトレスクの得点で1-2)とは言え、今回はそのようなことは起こり得ないはずだ、と・・・。イングランドは勝たなくてもいいのだ。引き分けさえすればグループリーグ突破が決まる。そして次にはイタリアとの決戦が待っているはずだった。
エネルギッシュなルーマニア
イングランドはGKにリーズのナイジェル・マーティンを使ってきた。シーマンの限界説がささやかれる中、ナスみたいな顔をした男にビッグ・チャンスが回ってきたのだ。他のメンバーはドイツ戦と同様だったが、左サイドのワイズ起用には不満。マッカはこの試合ベンチに入っていた。万全ではないのだろうが、センターに食い込む動きしかできないワイズを使うよりよっぽどいいのではないかと思った。
ルーマニアの方はポペスク、フィリペスク、コントラの3バックス。MFは右からペトレスク、ガルカ、ムンテアーヌ、チヴ(誰それ?)の四人が入り、そのやや高め、ハジのポジションにはインテル退団が濃厚らしいムトゥが入った。2トップはおきまりのイリエ、モルドヴァン。
ムトゥはFWじゃないの?ここで使ってどうかな、と思っていると、いきなり2分にドリブル突破を試み、エリアのわずか外でキーオンに引き倒された。そのF.K.はイリエが担当し、挨拶代わりか低く鋭い弾道のシュートを放った。マーティンはこれをかろうじて弾き出してC.K.に逃れたが、ルーマニアはなかなかの立ち上がりを見せた。ムトゥをここのポジションで使うのも悪くない。というより、ハジがキープしすぎて流れが悪くなるときがあるが、スピードに乗って素早くパスを流していくムトゥの起用が、結果として勝因の一つになったのはまず間違いないだろう。
その後もムンテアーヌのミドル・シュート、フィリペスクのスルーパスからモルドヴァンのシュートなどで勢いを見せる。ルーマニアは自陣でボールを奪うと、ラインを上げているイングランドDFラインへまずロング・ボールのチャンスを窺う。そこで出さなかった場合は、ドリブルやショート・パスで徐々にボールを運んでいって、「これは」という瞬間にスピードアップするという形。チームの全員が見事に統率された動きでイリエ、モルドヴァンが戻りながらボールを受けたり、DFの背後を狙ったりする。そこにムトゥ、ムンテアーヌ、チヴらが積極的に関わっていく。その二次攻撃としてフィリペスクやコントラが上がっていく。密かに私の好みの選手であるガルカは、持ち前の鋭いサイドチェンジは調子が今ひとつなのかあまり出ず、バランサーとして地味な役目を果たしていた。
ボールキープ率もチャンスの数も物足りないイングランド・・・そして失点
イングランドはベッカムのF.K.からキャンベルのヘッドや、スローインからオーウェンの飛び出しなどがあり、全くの劣勢というわけではないが試合の主導権はルーマニア。ワイズは予想通りセンターに寄っていき、キレもさほどなく、また彼だけのせいではないがルーマニアの右サイドからの攻撃も許す。マクマナマンを出してくれよ〜。
先制点は22分、ルーマニア。右サイドからのクロスが流れ、ルーマニアの選手が再びそれを拾い中へ入れようとする。それがイングランドDFの足に当たり、エリア内やや左、後ろ向きでそのボールがチヴへ。彼はすぐさま反転、エリアをえぐってファーサイドにいたモルドヴァンの頭を狙いセンタリング。それがそのままファーサイドのポストに当たりゴールネットを揺すった。もしポストに当たらずに抜けていても、おそらくフリーのモルドヴァンが決めたことだろう。ルーマニア先制。この試合に敗れると敗退が決まるイングランドにとってこの失点は痛かった。
な〜んと超大ベテラン、ベロデディチが登場!
イングランドはその後、後方からのロングボールをステレア(ルーマニアGK)とスコールズが潰れて、こぼれ球がエリアのわずか外でフリーになっていたワイズに落ちる。「決めろーっ!」。しかし、焦ったのかシュートは思いっきりアウトにかかり大きく右に外れた。
今大会いまいちのオーウェンは、この日もルーマニアの3バックに深く守られなかなかうまく背後を突くことが出来ない。それでもワンチャンスはしっかりモノにできる選手だから、いまいちに見えてもやはり期待してしまう。
23分、ここまで盤石に近い安定ぶりを見せていたセンターバックのゲオルゲ・ポペスクが足を痛める。「これはルーマニア、相当厳しくなったなあ」と思っていたら、な〜んとアメリカ・ワールドカップでベスト8進出に大きく貢献した大ベテランのリベロ、ベロデディチが出てきた。まだ、やってたのかコイツ。もう37歳くらいじゃないのか?恐れ入りました。その後、ベロデディチはこれといった危ないプレーもなく、老かいにそつなくこなしていた。
イングランド、意外だった前半での逆転
ルーマニアは以後も主導権を握り続ける。中盤での細かいボール回しから右サイドのペトレスクが、やや上がり目のラインの裏を狙う鋭いアーリー・クロスを放り込む。イングランドCBの間にいたイリエにピン・ポイント!ジャストミートのヘディング!一瞬の鮮烈なパス一本でルーマニアがダメ押しかと思われたが、惜しくもナイジェル・マーティンの正面だった。もし、これが決まっていたらその時点でゲームは終わっていただろう。それにしてもイングランドはDFのゾーンでの受け渡しが本当に下手くそだ。下手まで言っていいのかと思うが、いくらルーマニアがドリブル、一瞬の隙を衝いた攻撃に長けているとは言っても、これはいくらなんでもやられ過ぎだろう。
しかし、ろくにチャンスを創れなかったイングランドが41分に同点とする。ルーマニア陣内、左サイドでのスローインを受けたシアラーがエリアに向けて後方からダッシュするインスに鋭いグラウンダーの横パス!そして前方にトラップしたインスをルーマニアDFがスライディングで倒す!判定はP.K.。かなり際どいシーンだったが、とりあえずシアラーが力強く蹴り込んで同点。
さらにロスタイム。インスがルーマニア陣内にやや入ったところで、数m前にいたスコールズに浮き球のパスを送る。彼はダイレクトでDFの裏へさらに浮き球のパス。そしてここには終始裏のスペースを狙い続けていたオーウェンがダッシュしている!GKのステレアが決死のダイブで飛んでくるが、これをボールを"チョン"と浮かしてかわしてしまう。流れたボールはエリア内の右サイド、角度のないところに飛んでしまったがさすがはオーウェン。落ち着いてゴールへ流し込んだ。シュートさえほとんど打てなかったイングランドが逆転してしまった。これだから分からない。とりあえず、この時点ではイングランドのグループ・リーグ突破を確信した。
直後に前半終了。
ムンテアーヌの同点ゴール
後半開始早々48分、ルーマニアの右サイドからのクロスをマーティンが弾く。そしてペナルティ・アーク付近にフリーになっていたムンテアーヌに落ちる。胸でトラップして左足で強烈なシュ〜ト!あっさりとゴール右に突き刺さってルーマニアが同点とした。2-2。ゴール前の致命的なスペースに、ボール・コントロールの上手いムンテアーヌをフリーにさせてしまってはどうしようもない。なんだかムトゥといい、ムンテアーヌといい非常に精力的かつ効果的なプレーを続けている。ボール・コントロールの技術でイングランドに対抗できる選手はいるのだろうか、と思ってしまう。
その後もルーマニアはゴール前のルーズボールをイリエがボレーを叩き付けるなど、チャンスを創り出す。イングランドはオーウェンに代えてヘスキー、ワイズに代えてバーンビーを投入する。結局、ヘスキーはその才能をEUROで示すことなく帰国することになるのだが、どうせだったらヘスキーばかりではなくファウラーやフィリップス(外れたかとさえ思ってた)を選んだんだから使って欲しかった。何のためにアンディ・コールを外したのか。その結果が三戦ともヘスキーを少し使う程度では外された選手達が浮かばれない。他にもワイズに代わって出場したバーンビーの方がよっぽどキレのある動きを見せていた。それなら思い切って最初から使ってもよかったのでは?勝利したドイツ戦において、ワイズは目立ったプレーはしていないのだから。
ショッキングな敗退もある意味では納得
82分、イングランドはスコールズに代えてサウスゲイトを投入。引き分けでもいいイングランドは押され気味ということもあってか、逃げ切り(引き分けでもいいわけだからね)体勢に入った。ルーマニアは相変わらず、イングランドのDFの前のスペース(インス一人じゃカヴァーできない)を活かして、ムトゥ、ムンテアーヌ、ペトレスクらがミドル・シュートやドリブルで勝負を仕掛ける。結局、イングランドの敗退にもある程度の納得がいくというのは、こういった点にある。初戦から終始このスペースを敵チームに利用され続けてきた。また不安定なバックスも目に付いた。それでも、イングランドはグループ・リーグを突破しかかったので、そういった問題点は隠されてきた。.
だからこの試合の残り一分で、そして際どい判定で決勝点となるP.K.を奪われたとは言え、イングランドも前半に似たようなケースでP.Kをもらっている以上文句の言えない部分がある。さらに言えば、勝者にふさわしかったのはルーマニアの方なのだ。
ガネアが89分にマーティンの逆を付いたとき、イングランドの敗退が事実上決まったとき、スタンドからは溜め息のような異様な歓声が上がった。彼らにはおそらくこの敗戦をヒステリックにならずに受け入れるだけの"根拠"があったのだろう。「今大会のイングランドはここまでのチームだったのだ」と思える根拠が。
2000/6/22