2002 Korea-Japan World Cup , European Qualifying , Group 9

Finland (0-0) England

 リトマネンとパーラーの争い

2000 October 11th , Olympia Stadion/Att: 26,310 , Helsinki


Finland

GK  Niemi

DF  Helin (Reini 35) , Hyypia , Tihinen , Saarinen (Salli 66)

MF  Litmanen , Nurmela , Wiss , Valakari , Johansson

FW  Forssell (Kuqi 75) 

England

GK  Seaman

DF  P Neville , Keown , Southgate , Barry (Brown 68)

MF  Parlour , Wise , Scholes  

FW  Sheringham  (McManaman 68) , Heskey , Cole


 「マイティ・マウス」の辞任で早くも正念場

 世界にその名を轟かせるウェンブレー・スタジアム。その改修前、最終戦の相手となるのは宿敵ドイツ。それと同時にワールドカップ予選の緒戦となる重要な試合は4日前の7日に行われた。しかし、前半13分リヴァプールに所属するハマンのFK一発に沈み0−1の敗戦。試合後、辞任を発表したケヴィン・キーガンには、かつての愛称「マイティ・マウス」の面影はもはや残されていなかったことだろう。

 その後任であるが、テリー・ヴェナブルズ、エメ・ジャッケ、アーセン・ヴェンゲル、ボビー・ロブソン、デイヴィッド・オレアリー、マルチェロ・リッピなどの錚々たる名前が次々に挙がるものの、「監督はイングランド人であるべきだ」という紀元前の考え方が未だに強い中でどの候補も今ひとつ決め手を欠く。またイングランド人であるヴェナブルズやロブソンからは監督就任に否定的な声が出ており、新監督決定は難航を極めそうな雰囲気もある。

 とはいえスケジュールは待ってくれない。ヘルシンキでのフィンランド戦がドイツ戦でのショックを癒す間もなくやって来たのだ。とりあえずの代行はコーチのハワード・ウィルキンソンが行い、また怪我のため出場が困難なデイヴィッド・ベッカムに代わり大ベテランのテディ・シェリンガムが召集され、不動のベッカムを欠く布陣で早くも正念場となる一戦を迎えた。加えてシェリンガム、コール、ヘスキーの3トップを敷いて来るという噂もあり、ますます注目が高まる。フィンランドはリヴァプールのヒッピアが、「リヴァプール・コネクション」でハマンに続いてゴールをあげるのか?またボクがアヤックス時代は大ファンだったヤリ・リトマネンの出場はあるのか?とこちらも楽しみ。ちなみにこのグループは、ドイツが2試合を終えて2勝。ギリシャとフィンランドが1勝1敗。アルバニアとイングランドが1敗(それぞれまだ1試合しか消化していない)となっている。

 こんな試合をESPNさんが生中継してくれるとはまさにファン冥利に尽きるが、これを生中継するくらいならドイツ戦を放送しろ!という気持ちも一方では残る。う〜ん・・・。

 仕掛けるフィンランド

 イングランドのスタメンは予想通り。ただベッカムがいないのはちと寂しいが・・・。フィンランドはリトマネンもヒッピアもいる上に、去年チェルシーにいた若手のフォーセルやチャールトンのヨハンソンなどもいて案外知っている選手が出場。

 キック・オフ直後からフィンランドは前線からの激しいプレッシングで盛んにイングランド陣内に攻め込み、3バックス(バリーが上がり目のため実質3バックスに近い)のイングランドに生まれやすいサイドのスペースを執拗に突いてくる。CKも何本か奪うものの、クロスの精度が低く決定機は生まれず。イングランドは久々の召集となったシェリンガムがカウンターで攻め上がり、エリア外に飛び出してきたGKをかわしたところで手で足をかっさらわれ試合開始早々GKの退場かと思われた。結局イエローカード止まりだったがあわや先制点という場面であった。

 フィンランドの構成はというと、4−3−2−1といった感じ。前線に張るのはフォーセルでその下にヨハンソンとリトマネンが入るという陣容だ。また主な攻撃パターンはバックラインから前線へのロングボールが主体で、高めにラインを設定するイングランドDFの間や裏を狙っていく。それから左SBのティヒネンという選手はなかなかスピードとパスセンスがありいい選手だ。期待のリトマネンはというとヘディングやボール・コントロールはシンプルながら相変わらず巧い。地味なプレーが多いが運動量もありやはり高い技術を持った選手であるのは間違いない。早くクラブシーンでも輝きを取り戻してほしいものである。イングランドは3バックスの前にワイズが献身的なサポートをしボールの流れを安定させる。またヘスキーが左サイドを幾度か突破しチャンスを作りかける。個々の力では上回るイングランドはシュート数こそ勝るものの、決定的場面を多く迎えるわけでもなく中盤の攻防でははっきり言って互角。フィンランドの奮闘が目立つ。前半35分にはヘスキーをケアするために右SBのヘリンに代えてレイニーを早くも投入。その後はフォーセルの惜しいミドルや、左SBサーリネンのオーヴァーラップからのセンタリングなど好プレーを見せて前半終了。

 糸口の見えないイングランド

 後半開始早々、フィンランドは両サイド、中央突破でいくつもチャンスを創り出していく。ヘスキーまでもがバックラインに戻って守備をするシーンもある中、とりわけ右サイドからの攻勢が目立つ。55分くらいに見せたリトマネンの右サイドでの個人技からのセンタリングは芸術的であった。いくつかあった惜しいセンタリングを少しでも触れればフィンランドの先制点が生まれただろうが、最後のところで何とかイングランドが凌ぎきっていた。イングランドは中盤の主導権争いでも決して攻勢に立っているとは言えず、中盤から前線へのパスの成功度ではフィンランドの方が勝っているようにさえ思える。イングランドはパスの出しどころが見当たらないのだ。ダイナミズムもあまり感じられずシェリンガムやヘスキーがマークをかわしても、後の選手達の連動した動き出しが少ない。これでははっきり言って厳しい。対して個々の技術では劣るフィンランドだが、ボールはキープされつつもカウンターを狙う姿勢には好感が持てる。

 フィンランドは66分、これまで好プレーを見せてきたサーリネンを下げる。イングランドは68分にバリーに代えてウェズ・ブラウン(!)を、シェリンガムに代えてマクマナマンを投入。これによって右にいたフィル・ネヴィルがバリーのいた左SBに入り、ネヴィルのいた右SBにブラウンが入った。中盤ではパーラーがよりセンターにスライドし、マクマナマンはより高めにに入って自由に動き回る形。その後、フォーセル(?)がシーマンと一対一になる場面があったがこれはシーマンが好セーブでチームを救った。直後、フィンランドはフォーセルも交代させ、イングランドはいよいよネヴィルやブラウンが上がって得点を取りに行くが、相変わらず動きに連動性が感じられずフィンランドの守備の網にボールを掛けるだけだ。なんとかマクマナマンがキレのある動きからフリーでアーリークロスを放り込むも、コールはヘディングはミートせずゴール左に外れた。85分にはパーラーが機を見た中央突破からDFをかわしてシュートを放つもシュートはなんとクロスバー!あまりにも不運なシーンだった(というかバーに当たって落ちたボールがゴールラインを超えていたような・・・)。終了間際になってようやくイングランドが実力を発揮してきたと言ったところか。

 しか〜し、試合はそのまま無情にも終了。結局、このスコアが妥当なところか。むしろ試合をコントロールした時間が多かったのはフィンランドの方。ベストプレーヤーは高い技術と運動量で常に画面に現れたリトマネン。ヒッピアもイングランドFW陣にほとんど仕事をさせず合格。ワールドカップには出場しないだろうが、フィンランドはまとまっていて悪くないチームだった。イングランドは個人技以外見せ場なし。これでは今後も苦戦を強いられるだろう。EUROのときより酷くなっているという気がした。

 

 2000/10/12

 

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