King Hassan ii Cup 2000
France 2-2 (4-2 on penalties) Japan
Scorer : Morishima 34mins. , Zidane 61mins. , Nishizawa 70mins. , Djorkaeff 75mins.
Penalties : Nakata o , Djorkaeff o , A.Miura o , Anelka o , Inamoto x , Henry o , Nanami x , Leboeuf o
We could and had to beat World
Champion.
04/06/2000 , Mohammed V Stadium , Casablanca , Morocco
France
GK 16.Barthez
DF 15.Thuram , 5.Blanc , 8.Desailly (18.Leboeuf 67mins.) , 3.Lizarazu
MF 7.Deschamps (4.Vieira 46mins.) , 17.Petit ,10.Zidane (12.Henry 89mins.)
Winger 11.Pires (6.Djorkaeff 46mins.) , !3.Wiltord (21.Dugarry 46mins.)
FW 20.Trezeguet (9.Anelka 73mins.)
Japan
GK 18.Narazaki
DF 4.Morioka , 3.Matsuda , 2.Ohiwa
MF 8.Ito , 21.Inamoto , 10.Nanami
, 23.Nakamura (17.A,Miura 67mins.) , 7.Nakata
FW 19.Nishizawa (13.Yanagisawa 89mins.) , 12.Morishima
ハッサン二世国王杯について
今回で第三回目を迎えたという隔年開催のこの大会。私がこの大会について記憶していることと言ったら、前回大会でイングランドが出場したということ。そして「ガッザ」ことポール・ガスコインがこの大会の後、つまりワールドカップ直前に最終メンバーから外された、ということかな。
また、この大会とは全然関係のない話だが、私のおじが青年海外協力隊で二年間住んでいたことのある土地でもある。ま、ど〜でもいいことでしたね。
とにかくワールドチャンピオンとの試合を組んでくれたモロッコのサッカー協会に感謝!
ピリッとしないフランス
気温がなんと30℃の中、試合が始まった。キックオフ早々、フランスはシュートを放つ。さすがに中盤でのボール回しは見事だったが、どうも運動量やスペースへの飛び出しが少ない。またフランスにしては考えにくい凡ミスも出た。それでも日本相手のため、どちらかというと主導権は握り続ける。
我が日本はというと、フランスがそのような状態だったこともあり、押されっぱなしという状態にはならない。西沢が中盤まで戻って守備をし、オフェンス時にはくさびとなる好プレーぶり。加茂時代の代表でのプレーとは明らかに異なる。森島はちょこまかと動き回り、フランスにとってはうっとおしい存在。守備でも積極的なプレッシングを見せる。しかし、先発メンバーを知った時点で、私は「トルシエは相当な危機感を持ってこの試合に望んでいるのだろうな」と感じた。セレッソですでにコンビが組まれている二人を使う。当然、急造コンビを試すよりかは期待できるだろう。
トレゼゲ、ジダン、ヴィルトール、ピレスの四人は、日本のスリー・バックスがボール回しをすると盛んにプレッシャーを掛けていく。J-リーグではこのようなプレスは味わうことがないのか、少々慌て気味でボールを奪われることもあった。
オフェンスはその四人にデシャン、プティが絡んでいく。さらにリザラズ、テュラムの両サイドバックも機を見てオーヴァー・ラップを仕掛ける。しかし敵ながら天晴れなコンビネーションやドリブル突破などでチャンスは創るものの、日本DF陣のふんばりもあってなかなか得点には至らない。
日本は日本で、やはり中盤で中田のキープからシンプルなゲーム・メイクが光る。俊輔もよく動いているように思えた。稲本は相変わらず誰にも物怖じしない逞しいプレー。要所はファウルになってもしっかり止める。この試合では世界を代表するボランチの一人であるデシャンよりも出来は勝っていた。名波はやはりこのポジションがあっているように思う。なかなか地味だが効果的な繋ぎを見せる。ただ、欲を言えばやはりサイドの専門家でスピード溢れる飛び出しができる選手が欲しい。チャンスになりつつある展開でも、フランスに比べるとやはり数的にも質的にもプレーヤーが劣るのだ。だからチャンスの数も当然変わってくる。フランスはラインが非常に高いのだから裏をとれればなあ・・・。
西沢の右からの山なりクロスがちょうどフランスのバックの間に落ちる。そこへ、後からものすごい勢いで走り込んできた青いユニフォームの選手がピンポイントでヘッド!!「これは決まったに違いない」。思わず椅子から立ち上がる。しか〜し、ネットに収まるはずのボールは信じられないことに宇宙開発。「バカヤロー!決めろよ!誰だこの下手クソは!?」。なんとそれは中田だった。たのむよ中田クン。
モリシのセンセーショナルなゴール
なんと先制点を奪ったのは我らが全日本だった。一旦フランス陣内右サイドやや深くまで攻め込んだものの、ヴィルトールにタックルを喰らう伊東。そのこぼれ球をプティが拾ってデサイーにバックパス。ここで伊東と俊輔が強烈なプレッシャーを掛ける。慌てて左のリザラズへ流すも、彼らはすぐにまたリザラズへ向かう。慌ててクリアされたボールは、フランス陣内に10m少し入ったあたりでフリーになっていた稲本に渡る。ここでモリシが前線の裏のスペース(ペナルティ・エリアの右サイド側<フランスにとっての左側>へ向けてランニングを開始した。するするとオフサイドぎりぎりのタイミングで抜け出たモリシに、稲本は右足アウトサイドですぐさま見事なパス。それはワンバウンドしてストップ回転のかかる絶妙なもので、モリシはそのままシュート体制に入る。しかし、ランニングしだした時にモリシのマークに失敗しているデサイーは、責任を感じて(?)慌てて後方からプレッシャーを掛けに来る。モリシはそれに慌てたのか、急ぐようにシュートを放ち前に詰めてきたバルテズの正面に当ててしまう。幸運だった。リバウンドのボールはモリシの目の前に飛んできたのだ。体勢を崩しているデサイーの横で悠々とヘディング、そしてふわっとした軌道のボールはゴールに吸い込まれた!うおおおおおおおお!!!信じられない〜い。ばんざ〜い。34分に日本先制。
その後、ややフランスはシフトアップし攻勢に出る。日本もしっかり献身的なディフェンスで最後の壁は破らせない。ロスタイムには、右からモリシ-中田と渡り、中田が左サイドの俊輔に好パスを送るも、ダイレクトで放ったシュートは全くあさっての方向へ飛んで行ってしまった。
そして前半終了。
ジダンの鮮やかな同点ゴール
後半開始早々、左の俊輔からのセンタリングをどフリーになっていた西沢がヘディング。ジャストミートしたものの惜しくもバルテズの正面。なんだかこの日はあの鉄壁のフランスDF陣が集中を欠いていた。そのフランスは後半の頭から、デシャンに代えてヴィエイラ、ピレスに代えてジョルカエフ、ヴィルトールに代えてデュガリーを投入してきた。 その彼らが積極的に攻撃に絡んでいく。ヴィエイラからジョルカエフに渡りエリア内45°から放ったシュートは、楢崎がよく前に出たこともあり惜しくもバーに弾かれた。また左サイドのデュガリーも彼独特の左右に細かく揺さぶるフェイントで、森岡をあっさりかわしてしまった。やはりデュガリーはいい。スコットランド戦でも効いていた。
61分、ジダンが同点ゴールを挙げる。フランスの自陣でのスローインを受けたプティは前線をルックアップしてロングパスを送る。そして、そこにはなんと右サイド(日本にとっての左)で全くフリーの状態でジダンが抜け出していた。そして日本はラインを上げまくっているため全く人がおらず、楢崎がエリア外まで飛び出して行くしかない。ジダンは冷静に楢崎の頭上にポーンと浮かしてかわし、さらに落ち際を左足アウトサイドでジャンプしながらのシュート、ゴール。日本DFのオフサイド・トラップの失敗を、ジダンが個人技で見事にゴールへと結びつけたのだった。
西沢のクラッキング・ゴール!
67分にフランスはデサイーに代えてルブフを投入。日本も同分に俊輔に代えて三浦淳宏を投入。直後、フランス・バックラインの裏に見事回り込んだモリシに中田からスルーパスが出る。これは惜しくもバルテズが出てキャッチしたが惜しいチャンスだった。
71分、西沢があまりにも鮮烈なゴールを決めてしまう。先ほど途中出場した淳宏が、左サイド(フランスの右)で散々ボールをこねくり回す。最初にエリアのギリギリ中だったのに、これをやることによってエリアの5mほど外に出てしまった。しかし、ゴールからは遠くなったが、フランスのDFのプレスはかわしていた。ゆっくりルックアップしてファーサイドへピンポイントのセンタリングを送る。そして、外側から走り込んできた西沢が右足で豪快なジャンピングボレー!バルテズの懸命のダイブも空しく「ズドン」とゴール右に突き刺さった。素晴らしいとしか表現しようのない、まさにビューティフル・ゴール。しかも相手はワールド・チャンピオンだ!ばんざ〜い。直後にも稲本の強烈なロングシュートがフランス・ゴールを脅かす。もう私は勝ったような気になっていた。ところが・・・。
75分に松田のズッコケから再び同点ゴールを喰らってしまう。自陣で一度はボールをキープしたもののバランスを崩してズッコケた松田のボールを、ジダンがあっさりと奪いDFの裏へ上手く抜け出た途中出場のアネルカに見事な浮かしのパスを送る。そのまま左足で放ったシュートはそのままだとゴールを外れそうな軌道だったが、ジョルカエフがスライディングで詰めて意地を見せる同点ゴール。西沢君の素晴らしいゴールも松田のズッコケで帳消し。しかし、後半から出てきたジョルカエフが右サイドで何度もドリブル突破を仕掛けるなど、いい働きを見せていたことも事実だ。
その後は決定的な西沢のヘディングがあったものの結局2-2で終了。規定により延長はなく、そのままPK戦に入り2-4で我が日本は敗れたのだった。
勝てた試合、二年後は勝たなくてはいけない試合
はっきりいってこの試合は勝てた試合だった。そして勝たなくてはいけない試合だった。合宿疲れだったらしく、また30℃という気温のせいかピリッとしないフランスだったが、あれには勝ってほしかった。我々日本は二年後のワールドカップでは、是が非でも予選リーグを突破しなければいけない。そういったときに取りこぼしは許されない。火曜日のスポーツ新聞の一面はほとんどが「西沢」。勝てた試合をモノにできなかったという雰囲気は・・・、ない。「善戦」は何試合あっても結局「善戦」止まりに過ぎないのだ、ということを我々は二年前に学んだのではなかったのか?また、ワールドカップの最終戦のジャマイカ戦で勝てなかったということも、今更ながらマイナス要素だと思う。ワールドカップで一勝もできなかったチームが、予選リーグをいきなり突破するのは至難の業。勝ち方が分かっていないのだから。あそこで「勝利」という経験ができていれば、このフランス戦だって勝てたかもしれないのではないのか?という気がしてしまう。
そして自分自身も少々反省している。二年前、我々は代表チームがイランを破った後、「どうせアルゼンチンやクロアチアには勝てないよ」というムードを作り出してしまった。しかし、実際にワールドカップで戦ってみたら思っていたほどの差はなかったではないか。そのとき、一サッカーファンである私は反省した。「最初から勝てると思っていたら、もしかしたら勝てたのではないか?」と。
今回のフランス戦も私にとっては同様だった。試合前、私は0-2でフランスなどという予想をしていたし、友人達も0-3などの予想だった。しかし、蓋を開けてみると実際には勝てたゲームだった。そして私は二年前の反省を思い出したのだ。
そのような思いを強くして、試合後の協会関係者のコメントを聞いたとき、私は呆れ果ててしまった。川渕チェアマンは「0-2で負けると思っていたが〜」などという発言をしたのだ。日本サッカー界の頂点に立つ立場にいる人間のひとりが、そのような発言をしていては勝てるわけがない。選手や監督は結果が出なかったり、パフォーマンスがひどかったりしたら解雇される。しかし協会にはそのような原則はない。永遠に協会の体質は変わらないのだろうか?そうであれば同様に、永遠に協会に対するファンの怒りもまた消えることはないだろう。
2000/6/7