International "A" Match
Japan (1-1) Italy
Scorer : Yanagisawa (10') , Doni (51')
逆さ吊りにされた人@誰でしょう?
2001/11/07 , Saitama Stadium 2002 , Attendance [61,833]
Japan
GK : Sogahata
DF : Morioka , Miyamoto , K Nakata
MF : Hato (Myojin 74') , Toda
, Inamoto
(Ito 75') , Ono (Hattori 70')
1.5 : Morishima (H Nakata 46')
FW : Yanagisawa (Nishizawa 66') , Takahara
(T Suzuki 46' - Nakayama 87')
Italy
GK : Buffon
DF : Nesta , Cannavaro ,Iuliano
MF : Zambrotta , Di Biagio (Zanetti 46') , Gattuso
, Coco
(Pancaro 66')
1.5 : Totti (Doni
46' - Di Livio 88')
FW : Inzaghi (Fiore 87') , Del Piero (Del Vecchio 59')
そばめしを食っていざ埼玉へ
ゼミのガイダンスを和泉でやり終わった後(もっとも僕が着いたときにはもう終わっていたが)、I戸に電話をすると「うちで飯を食っていけば?」と言うので、ありがたくそうさせてもらった。初めてそばめしを食べたがなかなかグー。今度自分でもトライしてみよう。
さて、I戸は自転車で、僕は幡ヶ谷から京王新線で新宿へ向かい、南口で再度合流。駒込まで山手線で行き、そこから南北線で浦和美園へ。南北線が直接乗り入れている埼玉高速鉄道というのが異様に高い。駒込から片道650円もするなんて全くとんでもない話だ。
浦和美園に到着すると改札前には僕らと同様のチケット難民が思ったよりいた。I戸が試しにダフ屋に相場を聞いてみると、自由席で30000とか。恐るべしアズーリ人気。周囲にはイタリア国旗を身に纏った大馬鹿野郎もチラホラ。自分の国籍を取り違えるなどと言うのは本末転倒もいいところである。
ディズニー・シーで旗を振るナポリ人達
チケットに関しては厳しい状況ながら、いとも簡単に手に入れることができた。しかも指定席6000円を値切っての4000円。もはやサッカーに関しては手に入らないチケットはない気さえしてくる。さらにI戸がいれば怖いものなしだ(笑)。
さてさてイタリア協会のバッジを付けたイタリア人の若者5人がいたので、声をかけてみる。I戸は持ち前の語学力を活かし簡単なイタリア語で見事コミュニケーションを図っている。ベリッシモ!キミオ!ただいくらか難しい会話になると、僕が英語で話をした。彼らはなんとみんなナポリ出身で、ディズニー・シーで働いているという。今年の五月から来年の五月まで一年契約らしいが、その後のことは誰も知らないという。見かけから年齢は25くらいかと思っていたが、年を聞いてさらにびっくり。みんな僕と同じ20だという。恐るべしイタリア人気質。正に今自分と同学年の人たちが、必死に自己啓発をして、将来への道(ほとんどはサラリーマン)を模索しているというのに、方やイタリア人はこの有様。「明日は明日の風が吹く」。そんな気まま(?)な人生もアリなのでは?イタリアン・スタンダードからすればむしろ僕らが勤勉すぎるのだろう。
ちなみに彼ら、それぞれみんなSSのチケットを持っておきながら一枚わざと多く購入し、転売しようと企んでいた(笑)。「日本語できないから交渉やってくれよ。4万でふっかけて3万まで下げていいからさ。おれらとしちゃあ2万で売れればいいんだけど、3万で売れれば1万やるよ」。僕としては手伝ってもよかったのだが、I戸がしばらくして「もう行くか」というので彼らとはバイバイした。彼ら全員、この日の出場選手ではカンナヴァーロがお目当てだという。ナポリ出身だけに当然か。それにしてもやっぱりイタリア人はどことなく格好いい。頭の中身はバカなのだろうし、意図しているのかは分からないが、日本人にはなかなか出せない「気品」が漂っている。あれには負けた。
関係者スペースへゴー
この日の警備は多く報道でもあったように、来年に迫った本大会を想定して、非常に厳しい警備体制が敷かれていた。だがそれでも警備の目が届いていない場所で柵越えを決行。入場ゲートでパスのチェックがあるため、スタジアムの中までは入れないが、「レッズのサッカーは幼稚園サッカー」という名言を残した長谷川健太やイタリア協会の大御所(?)達の入場を見守った。選手達のバスもそこへ来たのだろうが、僕ら自体が面倒くさくなったので関係者スペースからは立ち去って自分の席へと向かった。
ゲームを決めていった序盤における大きなファクター
「こいつらアズーリを応援しに来たのか?」という連中が半分近くを占める中、案の定、イタリア人たちがピッチに姿を見せただけで、スタジアムは拍手と黄色い声援に包まれた。ナショナリズムのかけらもない、頭の中身もからっぽの脳足りんに異常に腹を立てるI戸と僕。正にあきれるばかりの光景だった。
スタメンで一番のサプライズだったのがGKアゴ端の起用。ブッフォンという俳優にでもなれそうなGKに対するのが、アゴというのはビジュアル的に非常にまずい。このころ、イタリアでは昼飯時だったようだが、あのアゴを見て、一度口に入れたピザを吐き出してしまったイタリア人はかなりいたのではないだろうか。
ゲームが始まるとすぐに気づいたのがピッチの緩さ。試合後、デルベッキオが酷評したように芝が全然根付いていないため、すぐに剥がれてしまう。それでもコンディションが悪いなりにイタリアのスピードと強靱さが目立つ。特に素晴らしかったのがインザーギだ。ポジション柄、この日は右ストッパーに入った森岡と対峙することが多かった彼。後方からのロングボールを、ゴールに背を向け、森岡にぴったり付かれながらも容易にコントロールする様は驚くほかはなかった。日本トップクラスのDF森岡でもほとんど対処できないのだ。日本の失点も時間の問題かと思われた。さらにトッティ、デルピエロの見せるダイレクト、ワンタッチでの意外性溢れる展開力、ココとザンブロッタのサイド突破とカットイン、ディビアッジョのミドルシュートなどが次々に日本ゴールへ襲いかかった。
だが我らが全日本は序盤をうまく乗り切ることに成功する。ヌルい雰囲気を徐々にホットなものに変えていけたのは、「武闘派」戸田、「ガナーズの幹部候補生」稲本、「ブエノスアイレスの荒法師」高原が、トッティ、ガットゥーゾ、デルピエロらに、強烈なスライディングをかましていったからだ。彼らの親善試合をぶち壊してもおかしくない、ある意味での「勘違い」タックルが、序盤のピンチをなんとか耐えきり、その後のゲームを流れを形成していくこととなった。象徴的だったのは、全日本が得点した後、既にイライラし出していたトッティが、カウンターからボールを受けたシーンだ。このとき、彼の前線ではイタリアと日本の人数は2−2の状態。つまりイタリアにとってはビッグチャンスなのだ。フリーの状態で高速ドリブルを開始しながらルックアップするトッティに、真後ろからスライディングしたのは稲本だった。エビ剃って地面にひれ伏すトッティ。レッドカードでもおかしくはないタックルだった(実際僕もここ数年エビ剃りは見た記憶がない)が、あそこで止めていなければピンチにつながったのは間違いない。こういったプレーが善戦の要因の一つになったことは疑うべくもない事実だ。
黄色い声援を吹き飛ばした先制点
時間帯は前後するが、伸二の粘っこいドリブルと、その伸二をサポートしてボールを受けた稲本のプレーから先制点は生まれた。ボールをトラップするや、すぐさまイタリアゴール前にボールを上げる稲本。フリーで走り込んできたのは柳沢だった。うまく右足に勢いを乗せ、ブッフォンの頭上を越えたボールは見事にイタリアゴールを揺する。「一点も取れないだろうな」と僕らも予想していただけに、我を忘れて一時トリップすることができた素晴らしい瞬間だった。
そしてこのゴールがスタジアムの雰囲気を一瞬にして変えた。それまではスタンド全体が黄色い声援やヌルいムードに包まれていたのだが、この柳沢のゴールによってそれがガラッと変貌してしまった。勝てるのではないか、という「欲が出てきた」のである。ゲームを決めるさまざまなファクターの中において、大きな一個の存在である「スタンド」が180°の転換を見せたことの意味は大きい。これにより稲本、戸田、高原らが見せていた「気骨」が、ピッチ上の他の選手達に浸透しやすくなったのだ。また対峙するイタリアも、あまり予想していなかったであろう失点により、意識のアクセルをかけざるを得なくなりゲームはそのピッチを加速度的に上げていった。
洗練されたライン・ディフェンスの極致を表現した宮本
その後のゲームの流れを蕩々と書いていくのはやめにして、僕がこの日、ピッチの他の誰よりもインプレッシヴなプレーを見せたと確信している宮本について言及することにしよう。僕は先週、駒場で行われたJリーグ、浦和−清水のレポートの中で、森岡を評して「この日のプレーは、宮本派の僕でも『彼こそフラットスリーのシンボルだ』と認めざるを得ない出来だった」と述べた。だが、その森岡を右に、中田浩二を左に従えてラインを取り仕切ったこの日の宮本の90分間は、間違いなくその上を行っていた。それどころか、これまで生で見てきた試合の中でも、3バックスに限れば、最も鮮烈な印象を持ったディフェンスであったとさえ言える。97年のバイエルンにおけるマテウスを彷彿とさせるかのような、フォア・リベロ気味にポジションを構えた宮本は、持ち前のライン・コントロールであのインザーギやデルピエロを幾度かオフサイドの網に引っかけた(むしろラインの上げ下げで遅れていたのが森岡でさえあった)。際どいシーンにもほとんど必ず見事なカバーリングを見せて失点を防いだ。ゲームが途切れたり、日本の前線にボールがあるときには、しばしば周囲とコミュニーケションを図り、ポジションの修正や細かい指示を出す場面が見られた。
それだけではない。前半も終わりに近づいた頃だったと思う。ハーフウェイライン上の右サイド付近にまでポジションを上げていた宮本は、そのポジション、展開の度合いにすれば、やや激しいタックルでイタリア選手(ココ?)を倒した。本来の彼のポジションには森岡がスライドしつつあったにもかかわらずだ。そこには極度に洗練された彼の判断力が働いたに違いない。「ここまで自分が上がっただけに、(数が揃っていてもやられ気味なのに)これ以上イタリアの前線にボールを運ばれれば、後ろのバランスが崩れるのではないか。だが自分が戻っている時間的余裕はない。それならばファウルを犯してイタリアの展開を一度断ち切った方がベターなのではないか」。おそらくそのような意識が瞬時に働いたのだろう。直後、ボールから目を離さず本来のポジションに駆け戻る宮本の姿が印象的だった。
51分のドニの同点ゴールの場面もCKのコボレ球を見事彼がねじ込んだのであって、宮本本人も「流れのなかで失点を食らったわけじゃない」と試合後コメントしているように、日本DF陣の落ち度があったわけではない。トルシエ自身もこの日のバックスを評して試合後こう語っている。「〜宮本の意思も強かった。このポジションを理解してているし、スピリットもすごく高かった。そして森岡も、右で構わないと言っていた。森岡は宮本の意思を理解していたし、今日の成功は森岡の柔軟性の成功でもある」。宮本に比べて不慣れなせいか、ミスパス、ラインの上げ下げでの遅れが幾度か見られた森岡だったが、インザーギにやられながらも、ねばり強くゴールを守り続けた姿勢は評価していいだろう。
洗練の度合いを以前より格段に増してのリヴァイヴァルを見事に果たした宮本。彼の煌めきこそが、このゲームの最大の収穫であったことは間違いない。
さいたまでのアズーリのトライアングルは、ブカレストでのそれに比べて遙かに劣った
前日来日というコンディション、ピッチの状態の悪さなどを差し引いても、実際僕が見た3月のブカレストでのアズーリと比べて、最も違っていた点がある。それはアズーリの中盤において形成されるトライアングル(2枚のボランチと1.5列目の選手)の運動量、判断力、試合への意欲から生まれるプレッシングの欠如だ。この日、このトライアングルを形成したのはトッティ、ディ・ビアッジョ、ガットゥーゾだったが、日本のボランチが効いていたこともあり明らかにダイナミズムが減少していた。三月のブカレストでのルーマニア戦のレポートで僕は、「〜とりわけフィオーレ、トンマージ、アルベルティーニというフィールド中央に構える選手達のポジショニング、プレスのタイミング、判断力たるや正に見事というしかないものであった」と書いた。だがトッティを除く、トラパットーニがテストした2枚のボランチ、ディ・ビアッジョ&ガットゥーゾは、トンマージ&アルベルティーニのパフォーマンスに比べて明らかに劣っていた。それだけに来年、彼らが少なくともスタメンで日本のピッチに立つ可能性は極めて少ないものとなったのは確かだ。仮に「プレッシングの申し子」であるトンマージ一人がいれば、日本はもっと難しいゲーム展開を迫られたことだろう。
だが、テストした選手の今ひとつの出来、コンディションの不備、意欲の欠如など、いくらマイナス要素を考慮しても、2月のアルゼンチン戦の大敗に続く、日本戦でのドローは意味深いものかもしれない。結果だけでなく内容からも、アズーリはおそらくワールドカップで優勝できない。僕にとっては改めてそう思えた試合でもあった。
2001/11/07
本日の「軽丸楠大先生の経済学講義メモ」
「商品は使用価値または商品体の形態で、すなわち、鉄、亜麻布、小麦等々として、生まれてくる。これが彼らの生まれたままの自然形態である。だが、これらのものが商品であるのは、ひとえに、それらが、二重なるもの、すなわち、使用対象であると同時に価値保有者であるからである。したがって、これらのものは、二重形態、すなわち自然形態と価値形態をもつかぎりにおいてのみ、商品として現れ、あるいは商品の形態をもつのである」