Olympic National Team Friendly Match

Japan (3-1) Morocco

Scorer :  El Brazi (8) , Owngoal (17,49) , Motoyama (59)

5th September 2000  , Tokyo National Studium , [Attendance] 54,861


Japan

GK  Narazaki

DF  Morioka , Matsuda (Nakazawa 46) , K Nakata (Miyamoto 71)

MF  Myojin , Inamoto (Nishi 82) , A Miura (Motoyama 46)  , H Nakata , Nakamura 

FW  Yanagisawa (Takahara 72) , Hirase (Sakai 46)

Morocco 

GK  El Jarmouni

DF  Kharbouch , Chbouki , Roumani

MF  Aboub , El Assas (Ouchla 53) ,El Brazi , Nater (Kacemi 60)

FW  El Khattari , Zairi , Benkouar


 雨の中国立へ

 考えてみると、雨の中国立へ行くのは今日が初めてだった。雨の試合は本当にイヤなモノだ。別に雨が降っているからイヤなのではなくて、国立のスタンドには全くと言っていいほど屋根がないからイヤなのだ。

 18時前くらいにスタジアム入りしたが、自由席はすでにかなりの人がいた。それでもスタンド上段、SAシートとの境目に近い辺りのなかなかいい場所をキープすることができた。やっぱり長居の方がきれいで見やすくていいなあ、と思いながら試合開始を待った。

 モロッコはなかなかの好チーム、日本はバランスが・・・。

 西城秀樹の君が代独唱に続いてキックオフされた今日の試合だったが、開始直後からモロッコはクウェートとは明らかなレベルの違いを示した。日本代表も中村俊輔の30mほどの長〜い直接FKが惜しくもゴール上のネットに落ちるシーンがあったが、ボールをテンポよく繋いできたモロッコの先制点は妥当といえば妥当なものだろう。モロッコのシステムは流動的で3-4-3や3-5-2(全てフラット)、モロッコのGK時には前線に4人がいる場合さえあった。日本代表のボールキープ時に彼らは陣形をコンパクトに保ち、前線から積極的にプレッシングを掛けてきた。そしてボールを奪うや否や、左右のウィング的プレーヤーが大きく両サイドラインぎりぎりまで開いて相手に守備のスペースを絞らせない。これによってゴール前のスペースも広くなり、たいてい前線に張っているFWの選手(9番のザイリ)がターゲットとなったり、またそうかと思うと中盤までボールを受けに来たりして、さらに後方からも6番のエル・ブラジや10番のエル・アサスが絡んでくる。モロッコの選手の特徴はボールを奪ってからの素早さだ。どの選手もスピードがあり狭いエリアでの繋ぎもクウェートより巧く、あっという間に前線までボールを運んでくる。またシュート力も強くディフェンス時の当たりもなかなかハードだ。フランスWCのチームのように、やはりモロッコのスタイルというのはこういったもののようだ。ファウルを犯した後もボールをすかさず蹴るところなど、なかなかしたたかな面もあっていいチームだ。

 先制点の場面は詳しくいうと、右サイド比較的浅い位置からのFKをゴール前で日本選手がヘディングでクリア。モロッコ選手がそれを拾い後ろに戻したところ、6番エル・ブラジの30m付近からの強烈な右足ややアウトにかかったシュートがゴール右に突き刺さったものだった。

 日本代表はバックラインこそ2日の長居と同じメンバーだったが、MFは稲本の1ボランチで右サイドには明神、左サイドには三浦淳宏、センターは中田英寿と中村俊輔の2人だった。2トップは鹿島コンビの柳沢と「バーモント」平瀬。この1ボランチも序盤のモロッコペースの要因の一つか。特に序盤はモロッコの巧いディフェンスに苦しんだが、中盤のプレッシングを抜けると3バックスであるモロッコの両サイドに生まれるスペースを活かしてチャンスを創れるようになる。しかし稲本の1ボランチを試したこの試合では、両サイドのバランスや中盤の関係など不満も残る前半だった。つまりこれでは稲本にかかる負担が大きくなり、また右サイドの明神はチームのバランスを考えたプレーを重視する傾向にあるので、中盤の守備がもろくなりがちで尚かつ右サイドからの攻撃があまり期待できないのだ。左サイドにただでさえ偏りがちなのだから本大会での1ボランチが使われるシーンはおそらく少ないだろう。その左サイドに入った三浦淳宏は怪我の影響もあったのかもしれないが、はっきり言って今ひとつ。彼のCKから同点となるオウンゴールを呼び込み、またあわや逆転というシーンも創り出した(柳沢のシュートがバーに弾かれる)が、サイドを切り崩す動きは少なかった。この前の西といいサイドをえぐれる選手というのが日本にはいないのか。他にも中村のループや、その中村の右からのクロスをフリーで柳沢がシュートする場面があったが、いずれもGKに弾かれ得点ならず。

 前半終了間際になったところで、あまりに寒いのでトイレに向かう。戻ってきたところで前半終了。

 バランスを大きく変える積極的なトルシエ采配

 決定的なボレーを外すなどあまり冴えの見られなかった「バーモント」平瀬、今ひとつの出来だった三浦淳宏、松田に変わって、トルシエは後半開始から酒井、本山、中沢をピッチに送り込んだ。これによってバックラインは右の森岡がセンターに入り中沢が右へ。そして中盤から前は、右サイドハーフが酒井、左が本山、稲本と明神は本来の2ボランチへと戻り、トップ下には中村、中田英寿は柳沢と2トップを形成した。これによって大きく流れが変わる。酒井、本山と運動量の豊富な選手を投入したことによって日本代表にダイナミズムが生まれてくる。何度も言うがダイナミズムの不足がちな代表チームにあって、本山の存在は実に貴重である。逆転となるオウンゴールも、左サイドを稲本と中村のコンビで破り、中村のセンタリングをモロッコDFが思わずオウンゴールしてしまったというものだった。トルシエに「4バックスの右サイドのようなイメージで」、と指示を受けていたという酒井は、その通りの忠実なプレーぶりでチームの勝利に貢献。また彼の長所は相手選手とのボールの奪い合いでも発揮される。相手がカウンターにつなげそうな場面でも、彼は狡猾にユニフォームを引っ張ったり手で押したりして、相手の攻撃を遅らせることができる。時には傍若無人に映ることもあるがそのような選手がいてもいいと思う。

 駄目押しの本山のゴールもその酒井のサイドチェンジから生まれた。それを中村がインサイドで落とし、本山のすばらしいロングシュートが決まった。モロッコの一点目のシーンがリプレイされたようだった。その後、終了間際に柳沢に代わって途中出場した高原が左サイド深くからのグラウンダーのボールをニアで合わせ、あわや追加点かと思われたがそのまま3-1で終了した。

 ベストな布陣とは

 壮行試合2試合を通して観戦して、本大会でのベストの布陣を考えてみることにしよう。まずGKとDFは不動のメンバーで行くのがベスト。楢崎、森岡、松田、中田浩二である。宮本は今日は2日よりも出来がいいように見えたが、後半はモロッコのオフェンスのシーンが少なかったのであまり判断材料にはならない。しかも松田は危ないシーンも時々あり信頼しすぎるのも危険だ。それよりも大きな問題は、敵がサイドでボールを持ったときにDFラインにいる相手FWのケアが不足しがちである、ということだ。今日も2日も2人のDFの間にボールを入れられピンチを招くシーンが見られた。ある程度は3バックスの短所として目をつぶるべきかもしれないが、明神や稲本が機を見てバックラインのサポートに入る機会を増やさないと、ブラジルやスペインなどを相手にすると苦しいだろう。ボランチは上記の2人に固定するとして、右サイドハーフや自分の意見としては酒井を推したい。理由は上記のように運動量が豊富で狡猾なプレーもでき、自分に対して自信を持っているからだ。西(今日は2日より積極的だったが)をここで使うのならば、酒井の方がよっぽどいいと思う。左サイドハーフは爆発力のある本山は後半に温存しておいて、先発としては中村俊輔を使うのがベストの選択だろう。というのは中田英寿をセンターで使った場合、中村に左サイドを任せるのが最も機能する組み合わせとなるからだ。三浦淳宏が入ってもさほどのダイナミズムを発揮できないのだから、ここにはドリブルもパスもシュートもできる中村を入れて、中田浩二がオーヴァーラップしやすい環境を作ることもいいのではないか。トップ下は中田英寿で決まりとして、2トップにはその時の相手や状態によって流動的に組み合わせを変えていくのがいいと思われる。問題は2日や今日の試合でも後半見られた、中田英寿を2トップの一角もしくは中村俊輔とのダブル1.5列目として使う場合だ。はっきり言ってこの布陣では他の選手が目立つのは確かだが、中田英寿はあまり機能していないように見える。本人のコンディションの問題だけかもしれないが、明らかに消えている時間が多いのだ。またこの布陣は短い時間で爆発的な威力を発揮するが、長い時間になると相手が対応するせいか効果が薄れてくるように見える。本大会ではトルシエの柔軟且つ大胆な采配が求められる。

 それにしてもモロッコはなかなかのチームだったなぁ。

 

 2000/9/5

 

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