Sydney Olympic , Preliminary Group D , Match 8

Japan (2-1) South Africa 

Scorer : Nomvethe (30) , Takahara (45,79)

高原〜〜〜っ!!!!

14th September 2000,Canberra , Bruce Stadium


Japan

GK  Narazaki

DF  Nakazawa , Morioka , K Nakata

MF  Sakai , Myojin , Inamoto , Nakamura , H Nakata

FW  Yanagisawa (Motoyama 79) , Takahara

South Africa

GK  Baron

DF  F McCarthy , Booth , Kannemeyer

MF  Matombo (Fredericks 56), Nteo , Mokoena , Buckley (Pule 87) , Fortune

FW  Nomvethe (Nhleko 87), B McCarthy


 前置き

 ボクとしてはTVで見た試合のレポは今後減らしていくつもりなんですが、あまりに心臓に悪かったのでこの試合はアップすることにしました。物申したいこともあるしね。またこの試合に関しては沢山の人が観戦していたに決まっているので、レポはほとんど行わず自分の意見を中心にして構成していくつもりです。

 開始5分で露呈した南アとの差

 まずキックオフ後、全日本は自分のやりたいようなボール回しもろくにできず、非常に堅い立ち上がりとなった。一方、南アフリカの方は注目のマッカーシーを筆頭に次々と日本ゴールを脅かしていく。いくら立ち上がりが堅いとはいえ、一対一の場面ではことごとく敗れているようでは、ただ堅いというだけではなく技術の差があると認めざるを得ない。中沢などはドリブルを仕掛けられれば抜かれるという感じで、あの時間帯で早々と失点していてもおかしくはなかった。

 国内でわずか2試合だけの練習試合でメダルなどとは何とも虫のいい話だ、とクウェート戦のレポでは書いたが、それ以上に危機的な状況に置かれていることに遅まきながら気づかされた序盤だった。というより腹さえ立ってきた。エースの柳沢はプールで溺れている子供のように、ただもがいているだけに見えた。また稲本、明神の全日本自慢のボランチの網に相手が引っかからない。彼らさえも吹っ飛ばし南アフリカの選手達は次々に襲いかかってくる。序盤は彼らのシュートスキルがあまりなかったために救われていたようなものだ。加えてサイドのスペースに飛び込んでくる選手をケアするために、両ウィングバックの酒井、中村は日本ゴール前に引かざるを得なく、必然的に攻撃は中田、高原、柳沢という少人数でのアタックとなる。上がればその後が怖いから後方の選手もなかなか上がれないのだ。

 それでも稲本、明神が勝負を仕掛けた場面があった。それが何に繋がったか?南アフリカの先制点だ。30分、自陣でボールを奪うと素早く前へと繋いだ南アは、ボランチが戻りきれない日本陣内で余裕を持ってボールを右サイドのスペースへと流してきた。このパスの精度も実は大して良くはなかったのだが、これにマッカーシーが何とか追いつくと中へと放り込まれあっさり失点。ヘディングで先制点を奪ったのはノムベテで、彼はそれまでも惜しいシーンを何度か作っていた。

 サイドへボールを持った選手(この場面はマッカーシー)に対しては、飛び込んで抜かれるのを恐れてなかなかボールを奪えない。中は中でボンバーも森岡もニアのポジションを奪われており、完全に一杯食わされた形となった。総じてサイドに流れるFWや2列目から飛び込んでくる選手に対して、全日本の選手達はなかなか対応できていなかったのだ。大声を出してればいい、と勘違いしている実況は「まさかの先制点は南ア!」などと叫んでいたが、それまでの流れを見る限りまさかでもなんでもない、いわば必然の失点なのだ。

 いくつかの危ないシーンや失点の場面を見ているうちにコパ・アメリカのパラグアイ戦の記憶が甦ってきた。あれは、3バックスの間に速いテンポで正確なボールを入れられると対処ができない、という欠点が露呈した試合だった。クウェート戦、モロッコ戦とも3バックスの間にボールを入れられたらどうするのか、という課題があったはずだが対処できていない。そこがフラット3の弱点であるわけだが、ボランチやサイドで抜かれているとますます厳しい。ボールの出所で押さえられていないのだから当然である。やはりヨーロッパ遠征などをしておけば、と思ってもすでに後の祭り。それに一対一の分が悪いのがなおさら拍車を掛けている。

 計算できる中村の左サイドからのFKを、高原がヘディングで合わせてなんとか同点に持ち込んだところで前半終了。チャンスは日本にもあるのだが、どう考えてもこれでメダルというのは無茶な話だ。総合的には全くの互角かそれ以下ではないか、と思える前半だった。あまりの内容にボクは頭に血が上ってしまった。

 キレていた修行僧

 後半は南アの運動量がいささか落ちたこともあり、幾分全日本にとっては望ましい展開となる。それでも最終ラインが破られることはしばしばで、追加点を奪われなかったのがおかしいくらいだった。中村がゴール前まで戻っていたからこそ失点を免れたという場面も2度あり、相変わらず壮行試合で見せていたような、自信を持ったボール回しから生まれる豊富なパターンのアタックを見ることはできない。高原はボールを持ったプレーヤーのサポートによく入ったり、酒井は自陣から相手ゴール前まで期待通りの運動量は見せていたが、柳沢はとりわけ何がしたいのかが分からなかった。なぜそこで切り返すの?なぜパスするの?シュート空ぶってんじゃねえ!という場面が何度かあった。交代は当然。交代のタイミングもピッタリだと思った。たしかに解説の人間が言っていたように、中村が守備に回ることによって攻撃が活きない、というのは事実だが、ボクとしても75分までは我慢すべきだと思っていた。後半の失点は勝ち点3を考えた場合に限りなく不利だからだ。そしてまさに絶妙のタイミングで本山を投入。それが影響したのか直後に修行僧の決勝点が生まれたのだった。

 79分、ボールを奪った全日本は素早く中田へと繋ぐ。彼はドリブルで前進するが、ボクとしては左サイドを疾走する本山(?)に早く出せ!と思っていた。しかし中田と高原はそのさらに上のプレーをイメージし成功して見せたのだ。わずかなスペースを利用してゴール前のスペースへと中田がボールを出すと、そこにはそれまで左にポジションしてDFを引きつけていた高原が一気に走り込んでいたのだ!カットしようと必死に出てくるGKをあざ笑うかのようにネットへとボールを転がしてみせる高原。まさに無の境地を極めた修行僧のエレガントなゴールだ。こんなゴールは本当にかつての選手ならできなかっただろう。98年ワールドカップのアルゼンチン戦で食らったバティストゥータのような冷静な判断によるゴールだ。すばらしいぞ高原!

 なんとか勝ち点3を奪ったがメダルとなると・・・

 フィジカルもスピードも劣る日本はやっとの思いで勝ち点3を勝ち取ることができたが、はっきりいってメダルへの楽観論をいともたやすく吹き飛ばされた90分だったと言えるだろう。一対一でこれほどまでに日本が弱いとは思いもよらなかった。また中村をはじめとしてフィジカルがあまりにも貧弱だ。あの稲本でさえもいつものような激しい当たりを見せることは難しかった。緒戦を何とかモノにできたのは相手に助けられ、高原に救われたからだ。南ア相手で守備に精一杯になっていては、これからのスロヴァキア戦、ブラジル戦はどうなってしまうのか。壮行試合に見せたような優雅なアタックを披露する機会がないまま帰国する可能性は十分にある。とにかく「日本メダルに向けて好発進!」などと言えるようなレベルのチームでないことは白日の下に晒された。本当にメダルを狙うのであれば相当厳しい緒戦であったと言わざるを得ない。 

 

 2000/9/14 


あんたはオリンピックに出てる場合じゃないでしょ(爆)?正直敗戦を覚悟しただけに高原の決勝ゴールにはバカみたいに狂喜してしまいました。


 

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