Sydney Olympic , Quarterfinals Match 2 , Match 27
Japan (2-2 <4-5 On Penalties>) U.S.A
Scorer : Yanagisawa (30) , Wolff (68) , Takahara (72) , Vagenas <P.K.> (90)
アメリカは歓喜の輪
Details Of Penalties : Nakamura O , Vagenas O , Inamoto O , Agoos O , Morioka O , Donovan O , H Nakata X , Wolff O , Myojin O , Victorine O
23 September 2000 , Adelaide , Hindmarsh Stadium
Japan
GK Narazaki
DF Nakazawa , Morioka , Matsuda
MF Sakai , Myojin , Inamoto , Nakamura
1.5 H Nakata
FW Takahara , Yanagisawa (Miura 67)
日本の方が上手
キック・オフ後すぐに分かったのは、ブラジルや南アフリカよりも明らかにアメリカのレベルが劣るということだ。チームとしてのダイナミズム、選手一人一人のポジショニング、スピード、ボールコントロールのスキルなどを踏まえ、この試合を見ていた誰もが、全日本の準決勝進出を思い描いていたのではないかと思う。ブラジルほどのプレッシングもなく、今大会で最も自由にボールを廻すことのできた序盤だった。
それでもアメリカが右サイド(オブライエン?)の突破に成功すると、そこを中心に日本を攻め立てるようになる。アメリカにはブラジルのような、早いタイミングでの精度の高いサイドチェンジで日本の3バックスを揺さぶるという芸当(さすがブラジルの感があった)は不可能だ。しかし、張り出してくる両サイドに早めにボールを出し、サイドの勝負からFWの競り合いや2列目の選手が飛び込んだり、というパターンが多かった。試合前に聞いていたようなロングボールを最終ラインから放り込んでくるというような、いわゆるオールド・イングランドスタイルのチームではなかったのだ。
序盤の円滑な全日本のパス回しを見ていると、たしかにトルシエの言うようなオランダ風のアタックを連想してしまった。相手選手がカットできないポジションを取り(三角形を多く作る)、ダイレクトやワンタッチでのパスが巧く繋がる。そして俊輔を筆頭にある局面ではドリブルを仕掛ける。ワン・ツーから中田が決定的場面を生んだシーンなどはその典型で、少々大げさかもしれないが95年のアヤックス・アムステルダム(未だにボクは90年代のベストチームだと思っている)の面影を感じた。ただ柳沢の消極的に映るプレーには相変わらず不満が残ったが、それでもこれまでの試合よりかはマシに見えた。先制点となったヘディングは柳沢を誉めるべきだが、右足での正確なクロスを上げた俊輔も誉められるべきだろう。
奪えない追加点。そうなると流れは・・・
取れるときに取っておかないと・・・、という典型的なゲームとなってしまった。稲本、高原、中田が惜しいチャンスを逃す。これまで粘り強いゲームを見せてきたというアメリカがこの程度で終わるわけはない、と思っていたらやはり同点にされた。あの失点は不運な面が強くあまり選手達を責められないが、それまでの決定的なシーンを立て続けに逃していたのが伏線となったといってよいだろう。決めるときに決められないと、流れは敵に傾いていく。98年のフランス・ワールドカップの決勝トーナメント一回戦において、あと一歩までドイツを追いつめながらも逆転負けを喫したメキシコはまさにそれだった。エルナンデスがイージーシュートを決めていれば・・・。昨日の全日本であれば、稲本が決めていれば・・・。
それでもアメリカの同点劇からわずか4分後に生まれた高原の、一度はアメリカを突き放したゴールには彼らの逞しさを感じることができた。いけなかったのはその後だ。このまま逃げ切ってやろうという消極的なプレーが目立つ。アメリカのサイドを警戒した面もあったのだろうが、酒井、俊輔の両サイドがDFラインにほぼ吸収され、攻撃に迫力を欠くようになる。また審判のやや不公平とも思えるレフェリングにも不満が残った。また楢崎がボンバーとの衝突で顔面を強打した際、かなりの不安が頭をよぎった。なにせ控えGKの都築は全日本で一試合も出場した経験を持っていないのだから。準備不足がここでも顔をのぞかせてしまった。その後、楢崎はプレーを続行したが、本来流血をしながらのプレーは認められていないはずである。ワールドカップであれば審判に交代を命じられていたかもしれない。PKによる失点を喫した後、あわてて攻撃に出ていく日本選手の姿が目に付いたが、それなら最初から攻めていろ、という感じだ。フラット3を敷く以上ある程度の失点は仕方がない。だからもっと攻める姿勢がほしかった。そして延長戦突入。
これもまたスポーツ。これ以上の結果は2002年に
延長戦でも高原のポストプレーから中田の惜しいミドルシュートがあったが惜しくも決まらず、勝負はPK戦に持ち込まれた。結果は中田が左のポストに当てて敗戦となったが、別にボクとしてはさほどの怒りは湧いてこなかった。勝てる試合だったし準決勝でスペインとの「再戦」を見たかったのは確かだが、ここまでやってきた選手達は素直に誉められるだろうし、舞台はワールドカップではなくオリンピックだからだ。パニックに陥るほどの強烈なアタッキングを凌いでなんとか勝利した南アフリカ戦、なかなか得点できずに苦戦したもののついに勝ち点3を奪ったスロヴァキア戦、本気の相手に力の差を見せつけられながらも必死に食い下がったブラジル戦、そして勝てる試合をモノにできなかったアメリカ戦、どれも国内では味わうことのできない素晴らしい試合の数々だった。全日本の試合内容が素晴らしいのではなくて、この経験が必ずや選手達にとって貴重なものとなることがなにより素晴らしい。結果を求めるのは2002年、そこでの失敗は許されない。
ただ、トルシエの采配には欲を言えばもう少し積極性がほしかった。延長戦に入ると両選手とも疲弊し、ボールを奪った後もなかなか素早いカウンターを仕掛けるということは難しくなってきていた。たしかにトルシエが試合後言ったように、選手達が巧く試合を運んでいたという見方もあるが、本山や平瀬を投入することによって全日本のダイナミズムが復活したのではないかという見方も一方ではできる。それによってリズムが狂いアメリカにチャンスを作られていたかもしれないが、あれではPK戦になるのを待っていたかのような印象を受けるのも不思議ではない。さらに言えば、先発になぜブラジル戦で効果的なラインコントロールを見せた宮本を起用しなかったのか。一対一の弱さのため、ボクとしても今大会当初、宮本の起用には否定的だったが、ブラジル相手にあれだけやれたのだからアメリカ戦でもやれていたのではないか。
敗戦を喫した以上不満が残るのはいつものこと。来月のアジアカップではより厳しい視線で全日本を追ってみたいと思う。
2000/9/24