1999-2000 UEFA Cup  4th Round , 2ndLeg

Leeds United (1-0) A.S. Roma

 <Scorer> Harry Kewell (67min.)

Elland road , Leeds

Thursday  9th  March  2000  attendance 39,149

  Kewellの一撃でRomaを粉砕。


<Leeds United>

GK  Martyn

DF  Kelly , Radebe , Haaland , Harte

MF  Bowyer , Bakke (Jones 84min.) , McPhail (Huckerby 89min.) , Wilcox

FW  Bridges (Alan Smith 81min.) , Kewell

<A.S. Roma>

GK  Antonioli

DF  Zago , Aldair , Mangone

MF  Rinaldi , Tommasi , Nakata (Di Francesco 77min.) , Candella

1.5   Totti

FW  Delvecchio , Montella


 <Match Report>

 慌ただしいスタート

 今回、イングランドに約一ヶ月強滞在した私は、初日から非常に慌ただしかった。このゲーム当日の朝、Manchester空港に降り立った私は、まずステイ先に電話を入れ、その後電車とバスを乗り継いでステイ先に到着。ホスト・ファミリー(といってもこのときはお母さんしかおらず)と再会。荷物を置いて、シャワーを浴びると、休む暇もなくコーチ・ステーションへ。そこで、Leeds行きのチケットを買い、時差ボケによる眠気をおしてLeedsに向かった。

 約一時間後、これまた半年ぶりとなるLeedsへ到着。まずは宿探しをした私だったが、なんとCity Centreの安宿は、この日の試合のため全て満室。親切な安ホテルのフロントのおばさんが、郊外のホテルに電話をかけてくれて予約を入れることに成功。しかし、住所は分かるものの、行き方が分からない。Bus乗り場で運転手に、何番のBusに乗ればいいのかを聞いて、さらに乗客に何処で降りればいいのかを質問しまくった。もう、こうなるとこっちは必死で恥も外聞もありゃしない。

 親切なおばあさんのご教授のおかげで、なんとかホテル(といってもB&B)に到着。すると、そこには一人の日本人が。過去の宿泊者リストを見ても、日本人はその日の我々だけ。彼は大学の卒業旅行でヨーロッパを廻っているのだそう。しかも都内西部T市在住。それだけで親近感が湧くというものだ。彼もチケットを持っていたので、彼と一緒に決戦の場、Elland Roadへと向かった。

 "Hide!"

 Romaで行われた第一戦は0-0のドロー。そのためLeedsは、90分以内で勝利すればベスト8に名乗りを上げることができた。

 Elland Roadへの大体の行き方を記憶していた私は、Elland Road方面行きのバスにすぐに乗り込むことができた。車内は、まだKick Offまで2時間以上あるのに、早くもLeeds Supporterで熱気ムンムン。我々は、冷たい視線を感じながら息を潜めていた。

 しかし・・・・、そこへRoma Supporterの集団が乗り込んできた。我々を見つけた彼らは、いきなり叫んだ。「Hide!」。そしてLeeds Supporterのど真ん中で、なぜか握手。熱い奴らだ。

 Elland Roadに着くと、かなり日本人がいたので驚いた。「中田」とか書いた旗を持って、叫んでいる奴らまでいた。恐ろしい。この一週間(二週間?)前には、Romaで第一戦が行われ、一部のLeedsサポが暴走したというのに。また、他のRomaサポにも、一緒に写真を撮ってくれとか言われた。中田パワーはすごいものだ。

 Crazyとも思えるLeeds Supporter

 選手達のスタジアム入りを見て、スタジアムに入る。最高に近い席。メインスタンドでフィールドまではおよそ10mほど。Leedsファンのど真ん中ではあるが。

 Kick Off。Leedsは若きセンターバック、ウッドゲイトをケガで欠き、そこにはノルウェー人(かな?)のハーランドが入る。Romaは主力のカフーを、同じくケガで欠いた。フォーメーションは、Leedsが4-4-2。Romaは3-4-1-2。もちろん中田はボランチだ。両者とも序盤から中盤で激しく争うも、決定機を創るまでには至らない。また、あまりにも熱狂的なLeedsファンの中で、レフリーもLeeds寄りの笛を吹かざるを得ない、といった雰囲気だ。一度でも「クサい」レフェリングがあると、もうそれだけで大ブーイングなのだ。私も、Romaを応援しようものなら殺されかねない。日本人の常識を越えるほどの熱狂ぶり。数m右では、私と同年代と思われる若者が、一人でタバコを左手に、「O'Leary!O'Leary!(監督の名前)」と叫んでいる。日本でアレをやったら、「こいつ頭がおかしいんじゃないの?」と、思われるに違いない。

 激しいながらも決定機の生まれない前半

 Romaは左サイドのカンデラが、いつものようにパワフルな攻撃参加ができない。右サイドもカフー不在が痛いのか、ボールがなかなかつながらない。中盤でキープできないため、アウダイールらも上がれない。だからサイドに振ることも思うようにいかない。中田やトッティらが、前線のモンテーラ、デルベッキオにスルーパスやロングパスを送っても、ラデベ、ハーランドのセンターバックにあっさり跳ね返される。Romaは中盤が間延びしてしまい、効果的に攻撃することができない。また、Leeds有利ともとれるレフェリングに、短気のトッティ、カンデラはイライラをつのらせる。

 Leedsはというと、ときおりいいプレーがあるも、こちらも得点の予感はしない。Leedsの選手の中でもこの日、中盤に入ったノルウェー人のバッケが効いていた。大きい体で、Romaの激しいプレスをいなしてドリブル、そしてサイドへの散らし。とみるや、自ら、中田を吹っ飛ばし右サイドをドリブル突破。このときはセンタリングをRoma DFがカットしたが、この試合のキーマンだった。そして現在イングランドで、最も価値の高いとさえ言われる、オーストラリア代表のハリー・キューウェルはこの日はFWに入り、幾度か効果的な突破を見せる。点取り屋のブリッジズは、はっきり言ってこの日の見せ場はなかった。Crazyに思えるボウヤーは、中田やトッティに食ってかかる。もめ事の多い気性の激しい選手だ。プレー自体はエネルギッシュで悪くないのだが、あの気性では・・・。

 前半の終わり頃になって、ようやくRomaはカンデラが効果的にオーヴァーラップできるようになってきた。左サイド深くから、トッティ(?)のセンタリングから、モンテーラがオーヴァーヘッドを狙う場面もあった。しかし、それでも決定機を築くまでには至らず、前半は0-0で終了した。

 Romaにとって痛恨のキューウェルの一撃

 後半に入っても、両チームがイライラをつのらせ、やり合うシーンが数回あった。その都度、観客もエキサイトする。

 しかし、67分、ついに均衡が破られる。右サイドでボールを持ったボウヤーが、5mほど左にいたキューウェルにグラウンダーでパス。ボールを受けた後、数m左にスライドするとマークに付いていたトンマージのスライディングをかわしながら、思い切って左足でひっぱり方向にロングシュート。GKのアントニオーリが弾くものの、ボールはゴールネット右隅に突き刺さった。それまでシュートもろくに打てなかったLeedsが先制。オールド・トラフォードよりも熱狂的じゃないの?と思うほどの、割れんばかりの歓声に包まれる。喜びを爆発させるキューウェル。監督のオレアリーもタッチ・ラインぎりぎりまで出て喜んでいた。それまで両チームとも膠着状態が続いていただけに、Leedsがこの瞬間に大きくベスト8に近づいた。

 Romaは77分に中田に代えてディ・フランチェスコをピッチに送り込むも形勢はほとんど変わらず。Leedsの方は、もう余裕なのか時間稼ぎなのか、80分を過ぎてから、別々に選手を交代させる。そうしてついにゲームはロスタイムに。

 しかし、このゲームはタダでは終わらない。左サイドでボールを持った途中出場のアラン・スミスにザーゴがハード・タックル。両選手が入り乱れての乱闘状態になりかけ、慌ててレフリーが止めに入る。このトラブルでザーゴとカンデラにレッド・カードが出された。リーズ側には全くおとがめなし。9人になったRomaは、その後惜しいチャンスを創るもゲームは間もなく終了した。

 まるで優勝したかのように喜びを爆発させるLeedsの選手達。昨シーズン、UEFA Cupの2回戦で敗れたRomaに、今季は5回戦で雪辱を果たしたのだからムリもないか。

 キューウェルと2人のノーウィガンが勝負の分かれ目

 二人のノーウィガンの働きが、この試合とても光った。一人はウッドゲイトに代わって出場した、センター・バックのハーランド。彼はデルベッキオやトッティ、モンテーラに対してはタイトなマークでほとんど仕事をさせず、ロングボールはことごとく跳ね返した。もう一人のノーウィガンは中盤のバッケ。中盤でボールをキープできる彼は、Leedsのゲームメイキングに大きく貢献したと言えよう。

 そして、決してLeedsペースとは言えなかった試合に、左足一本で決着をつけたキューウェル。敵将カペッロは、試合後のインタビューで彼をベタ褒めしていた。「キューウェルは何処の国に行っても通用する」、「この両チームの違いは、キューウェルがいるかいないかだ」など。

 Romaはカフー不在が痛かったのか、持ち前のサイド攻撃をほとんど披露することなく敗退した。DFラインと前線の距離が開きすぎて、中田やカンデラに大きく負担がかかってしまった。前線の二人は孤立する場面が多く、後ろの選手達もなかなか上がってこれなかった。広大なミドルのスペースでは、バッケらにことごとくボールをカットされた。しかし、それでも選手一人一人のクオリティは高く、個人プレーでいくつかのチャンスを創りだしたのはさすがだったが。

 中田は翌日の地元紙では、Leedsのブリッジズと並んで、出場選手中最低の6点を付けられていたが、そこまでひどい出来じゃなかったと思う。むしろ、もう一枚のボランチ、トンマージの方が出来が悪かったようにさえ思えた。中田が淡々とプレーしたからだろうか?イングランドではファイトしない選手は評価されない。もちろん決してよい出来ではなかったのは確かだが。

 試合後、我々二人は、駅までひたすら歩いた。寒く、そして時差ボケのため眠かった。また、悪すぎるとは言わないまでも、決してよいとは思えなかった中田のパフォーマンスも、余計に我々の背筋を寒くしたのだった。しかし、ヨーロッパでプレーする日本人を見ることが出来たという喜びも、一方ではあった。

 

  2000/4/15 (3/11あたりに書いたものを加筆修正)

 

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