<%@ Language=Web ???????p?? %> Man Utd - Sheff Wed

1999-2000  FA Carling Premier Ship

2

Manchester United - Sheffield Wednesday

 

Old Trafford

1999/8/11 Attendance・54941 

MUFC(4-0)Sheff Wed

Scorer ・ スコールズ(9) , ヨーク(35) , コール(54) , ソルシャイア(84)


United Stats & 採点(Manchester Evening News 8/12)

GK・ボスニッチ <7>

DFP ネヴィル <7> , アーウィン <7> , ベルグ <8> , スタム <8>

MF・ベッカム <8> (バット 56分 <7>) , キーン <8> , スコールズ <9> , ギッグス <8> (ソルシャイア 56分 <7>)

FW・コール<9> , ヨーク(シェリンガム 41分 <7>)


<Match Report>

 シアター・オブ・ドリームス

 この試合が、海外でのサッカー初観戦となった。といっても、この国は「サッカー」という呼び名がポピュラーではなく、「フットボール」というのが主流だ。「フットボール」を産んだプライドでもあるのかどうかは知らないが、私にとっても「フットボール」という方が遙かに聞こえがいい。なぜ日本では「サッカー」というのだろう?

 滞在時の新聞には、ダービー・カウンティやサウサンプトンなどのクラブの観客数が、今シーズンは減少しているという記事が出ていた。まあ、そうはいっても、日本にくらべてクラブがより地域と関係を密にしているイングランドでは、プレミアリーグのチームが潰れるなどということはありえまい。

 能書きはこの辺にして、いい加減オールド・トラフォードの様子を伝えよう。この試合は水曜日、つまり平日に行われた。日本では、平日の試合となると思い浮かぶのは、ガラガラのスタンドと空しくテレビ(最近はNHKぐらいしか放送しない)のスピーカーから聞こえてくる太鼓の音だが、ユナイテッドのゲームは平日でも満員の55000人近い観客がスタンドを埋め尽くす。キャンセルのチケットか当日券かは知らないが、チケットオフィスの前で待つと、何枚かはチケットが出ることがある。そのことをその時はまだ知らなかったが、とりあえず一刻も早くチケットオフィスに行こうと思った私は、試合開始(20:00)の約6時間前に友人達とオールド・トラフォードのチケットオフィスに向かった。

 オールド・トラフォードまではメトロリンクという、繁華街は路面電車で、街の外は電車のようにスピードが上がる乗り物があり、それに乗ってオールド・トラフォードの駅で下車する(バスでも行ける)。駅を出ると正面の道路を直進するだけ。左手に見えるクリケットのスタジアムを過ぎてしばらく行くと、試合の2時間ほど前から露天が数軒並ぶ。またサポーター御用達のパブやフィッシュ&チップス屋などがある。サポーターがごった返す中、ダフ屋ももちろんいる。相場は日本よりも全然安い。チケット額面の2倍〜3倍ぐらいか。彼らは携帯電話を持っていて、こっちが連番がほしいときなどには、仲間(?)と連絡をとりあって探すようだ(確信は持てないが)。また、試合開始直前や試合開始後になると、その価格は定価かそれ近くにまで下落する(らしい)。イングランドのサポーターは、もしチケットが手に入らなければ仲間とパブで観戦すればいい、と思っている人が多いのか、ダフ屋に高い金を払うという人はあまりいないのだろう。一試合に何万円も出す、という概念は明らかに希薄だ。ただ安いからといって油断してはいけない。ダフ屋のチケットにはフェイクもあるらしいので、もし買う場合にはチケットをよく確認することが必要だ。

 さて、チケットオフィスで並んでいると、通りがかったスタジアムの職員が、「どうせチケットなんて出ないんだから待ってても無駄だよ」というようなことを言ってきた。その言葉で15人ほど並んでいた中の数人が立ち去った。しかし、かなり長い間待つと、チケット・オフィスのカーテンが開き、無事にチケットを購入できた。場所はメインスタンド上段、24£。最も高い席だ。クラブの会員ならば2£安く購入できる。

 チケット購入後も、まだキックオフまで3〜4時間あったので、我々はユナイテッドサポーター(といってもほとんどが腹の出たようなオヤジ)の集まるパブに行って時間を潰すことにした。トイレに行くと、壁にはものすごい数の落書きがあり、明らかに著作権侵害と思われる安っぽいTREBLE(三冠)とかプリントされた赤いシャツを着ているオヤジが私に話しかけてきた。彼の「お前今日のチケット持ってるのか?」との問いに答えると、私は「ベッカムとスコールズのゴールでユナイテッドが勝つぜ!」と彼に言い残してトイレを出た。その後、先制点をあげる選手を予想するサッカーくじで、実際にベッカムとスコールズに5£づつベットしたのだった。

 圧倒的なチーム力の差

 試合前になると、スタジアム周辺では黄色いジャケットを羽織った騎馬警官隊の姿が目に付く。また、スタンドでもアウェイサポーターとホームのサポーター席との間におびただしい数の警官が配置されており、観客の暴走をくい止める役割をしている。ただ、そんな彼らもホームのチームがゴールを挙げると観客と一緒に喜ぶ(事もある)。

 試合開始時間の1時間から30分前の間には、まずアウェイチームの練習が始まる。この日の対戦相手であるシェフィールド・ウェンズデイの選手が白いトンネルから姿を現すと、ユナイテッドサポーターの容赦ないブーイングが浴びせられた。それとほぼ同時にユナイテッドのキーパーが練習を始め、しばらくするとユナイテッドのフィールドプレーヤーが小走りで颯爽と現れた。ものすごい歓声と拍手がオールド・トラフォードを包み込んだ。まだ、試合前だというのに。

 キックオフを迎えたとき、ひとつだけ残念なことがあった。最も見たかった選手がベンチスタートだったからだ。実は、この試合を観戦する隠れた目的は、シェフィールド・ウェンズデイに所属するイタリア人、ベニト・カルボーネを見ることだった(シーズン途中でアストン・ヴィラに移籍)。しかし、カルボーネは開幕戦でゴールを上げたにもかかわらず、この日はベンチスタートになってしまった。ウェンズデイの監督ダニー・ウィルソンは、対戦相手がユナイテッドということで、組織的な守備を怠りがちなカルボーネを外してきたのだろう。

 耳に入るスタンドの歓声の密度はものすごいものだ。大勢の人が声を発するということもあるだろうし、スタンドががっちりと組まれた四角形ということもあるだろうが、初めて訪れた人はまず圧倒されるだろう。スタンドの雰囲気に圧倒されていると、いきなり先制点が入った。左のギッグスからの早いクロスに、ボレーでスコールズが合わせたのだった。それまでの何倍もの歓声が、一気にオールド・トラフォードに響き渡る。しかし、スコアラーは注意していないと誰だか分からない。というのは、オールド・トラフォードにはオーロラヴィジョンがないからだ。スコアを表示する小さい電光掲示板があるだけだ。だから、そのときは誰のゴールかはっきりとは分からなかった。あとでスコアラーを知ったときは、70£の儲けに喜んだものだ。

 試合内容はというと、両者の力の差がありすぎてスリルに欠けるものだった。圧倒的にユナイテッドがボールを支配し、ウェンズデイがロングボールを放り込んでも、あっさりと宇宙人ヤープ・スタムにはじき返された。中盤もサイドにまわさなくとも、中央でキープできる場面が多く、ギッグスとベッカムが際だって目立つということもなかった。2点目が入ると、ウェンズデイバックスは完全に崩壊し、ポジショニングはバラバラでザル状態に陥った。イングランド代表左サイドバックのヒンチクリフも、ベッカムやフィル・ネヴィルのオーバーラップにタジタジでもはやどうしようもない。

 後半開始後しばらくすると、交代出場していたシェリンガムがこぼれ球をプッシュして3-0。ファーガソンはこの時点で、ギッグス、ベッカムを下げ、交代三人枠を使い切った。もう余裕綽々である。ちなみに、このときのユナイテッドのフォーメーションはというと、コールを頂点として、左右にソルシャイア、シェリンガムが並ぶという変速の3トップになった。ニッキー・バットはそのままベッカムのポジションに入った。こうなると、ユナイテッドの左サイドが、ソルシャイアが高めにポジションをとったために若干のスペースが生まれる。しかし、そのとき、対するウェンズデイは既に屍と化していた。サンドバック状態になったチームに余力など残っているはずもない。

 遅れてきた一流半のファンタジスタ

 3点目が入った後、ついに目当てのベニト・カルボーネが登場してきた。イタリアの22歳以下の代表としてヨーロッパチャンピオンに輝き、名門インテルで10番をつけたこともあるカルボーネだが、一流と呼ばれるプレーヤーには達していない。好不調の波が大きく、ファンタジスタにありがちな、ある種緩慢なプレーが、彼を一流半のプレーヤーにしているのだ。とは言え、カルボーネの華麗なボールタッチは世界でも屈指のものだ。そんな彼は、この試合でも2回あったゴールキーパーと一対一の場面を、2回ともループ気味に観客席に蹴り込んだ。また、自分が外したあとにキーパーがゴールキックが蹴るシーンでも、不敵にチンタラチンタラ歩いて自陣に帰っていくのだった。チームメイトに、「お前らが下手くそだから負けるんだよ」と無言のメッセージを送るかのように・・・。2回あったイージーなシュートチャンスをあっさりミスしたカルボーネだったが、ボールタッチやドリブル、一瞬のスピードなどでは、やはり他のウェンズデイの選手とは際だって異なっていた。中でも、ハーフウェイライン付近で、スタムかベルグからボールを奪い、一人、二人とかわしていく様子は、イタリア時代よりもむしろスピードが上がったのでは?と思うほどだった。フォア・ザ・チームの精神がプレーからはあまりうかがえなかった彼だが、昨シーズンはチームトップの8ゴールを挙げ、サポーターの選ぶシーズンを通してのMVPに選ばれている。新天地での彼の活躍に期待したい。

 ゲームは結局4-0でユナイテッドの完勝に終わった。スコールズやキーンらの中盤での目まぐるしいパス交換、ヤープ・スタムの屈強なディフェンスが特に目立っていた。しかし、それ以上に、オールド・トラフォードの雰囲気に圧倒されたという記憶が強い。また、いいところなく玉砕したシェフィールド・ウェンズデイのサポーターも暖かかった。ふがいないプレーを演じた選手達に贈られる盛大な拍手に、ユナイテッドファンの私がやや感激したのも確かだ。日本では、ヨーロッパのサポーターは、選手がふがいないプレーをしたらブーイングするのが当たり前だ、というように語られることが多い。だが、この日のウェンズデイファンのようなサポーターがいるということは知っておくべきだ。どちらがいい、悪い、ということは別にして・・・。

 1999/12/11

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