International "A" Match
Netherlands (2-1) Germany

2000/2/23 . Amsterdam Arena . Attendance 50,000
<Scorer> Kluivert(14min.) Ziege(20min.) Zenden(26min.)
<Stats>
Netherlands
GK Van der Sar
DF Reiziger , Stam , Cocu (Numan 76min.) , Bogarde
MF R de Boer (MaKaay 65min.) , Seedorf , Davids , Zenden
FW Kluivert , van Nistelrooy (Hasselbaink 76min.)
Germany
GK Kahn
DF Babbel , Matthaus , Linke
MF Sebescen (Deisler 46min.) , Jeremies , Hamann (Bosz 61min.), Ziege
1.5 Neaville (Baumann 76min.) , Scholl
FW Bierhoff
<Match Report>
マテウス表彰
私は、この日まではっきり言ってドイツ代表の試合など全く興味がなかった。なぜなら、彼らのサッカーを毛嫌いしていたからだ。ファンタスティックなプレーが皆無だったフランス大会のドイツは、私が抱いていたその思いをさらに強いものとした。あの、ゲルマン魂と呼ばれる驚異的な粘りのサッカーも、さすがにそれだけで勝ち進まれると、見ているこっちもいい加減飽きてくる。ドイツよりつまらないサッカーをする国など、私の知っている限りでは、極東のブルーを基調としたユニフォームのチームしか知らない。さらに「N」という選手が抜けたときのその国のサッカーは、想像を絶するほどにデスパレイトだ。英語でごまかしたけど、絶望的って事ですね、ハイ。
この日、現役選手にして伝説の選手となりつつあるドイツのローター・マテウスは、自身の代表出場試合数を144とし、スウェーデンのトーマス・ラヴェリ(銀行員をやってたあのハゲです)が持っていた、代表最多出場数の記録を塗り替えることとなった。試合前に、その表彰が行われ、選手がピッチに散らばる。
アムステルダム・アレナにドイツを迎え撃つオランダはというと、ワールド・カップ以降は全くいいところ無し。ライカールト監督が就任してからというもの、勝利は初陣のペルー戦のみ。戦術をいじっては機能せず、リードすれば追いつかれる、という有様。ついに昨年は一勝もできずに終わった(トルシエ・ジャパンと同じですね)。この日ばかりはどうしても勝たなくてはならない。相手は宿敵のドイツなのだ。
3-5-2ではないドイツ
試合開始後、まず驚いたのがドイツのフォーメーションだった。おきまりの3-5-2ではない。前線に張って(といっても中盤まで下がって守備もこなすが)、ターゲットとなるのがビエルホフ。それに左右のウィング的な存在である、ショルとノイビルが絡んでいくというスタイル。この二人は、自由にお互いのポジションをチェンジし合って、サイドからアタッキングしていく。特に、ショルのスピードを活かしたドリブルや走り込みは、ドイツの攻撃面の大きなアクセントとなっていた。中盤の低めに構えるのがイェレミースとハマン。左右には、ツィーゲと、この日が代表でのデビュー戦となるセベッシェン。結論から言うと、この日のセベッシェンはたいした見せ場はなし。ポジション柄トイメンにあったゼンデンのマークが甘く、また攻撃においても積極的なプレーができなかった。この左右のMFのポジションが、3-5-2でも、この日のドイツのような変速の3-4-3でも重要なキーとなる。消化不良のセベッシェンに対し、左サイドのツィーゲは、このポジションが慣れていることもあり上々の出来だったと言える。ディフェンスでも大きく貢献し、攻撃では長い距離を走ってチャンスに絡む、という、イタリア、イングランドでプレーした実績通りのプレーを見せた。
しかし、ドイツにおける最も大きな驚きはマテウスだった。昨年の「カンプ・ノウの奇跡(98-99UEFAチャンピオンズ・リーグ決勝・マンチェスター・ユナイテッド-バイエルン・ミュンヘン)」以降、久方ぶりに見た彼のプレーぶりは、賞賛したくなくてもしてしまう、というくらい鮮烈だった。これが38歳のプレーだろうか?瞬発力では確かに衰えているとは言え、バックスを統率し、自由にポジションを変更し、さらにリベロとして攻撃の起点ともなっていた。また、周囲の選手も、マテウスのポジション・チェンジを見るや、すぐにそのポジションにカヴァーに入り、抜け目の無さを見せる。マテウスは、残りの二人のバックスの5mほど前にポジショニングすることが多い。そこでインターセプトを狙ったり、攻撃の起点となるのだ。この日のドイツは、戦術面で引きつけられることが多かった。いままでは全くと言っていいほどなかったのに。
しばらくぶりの「らしい」戦い方
上記の印象では、ドイツが優勢のように思われるかもしれないが、実際には序盤は圧倒的にオランダがペースを握った。フォーメーションを結局はフランス大会時のフラットの4-4-2に戻し、中盤での激しいプレッシングからボールを奪取すると、ゴールまで素早く最短距離でつなぐ。長短のパスを組み合わせ、少ない人数で創造的なプレー産み出していく。ボール支配率が高く、非常に機能的なサッカー。ドイツはほとんど自陣内に攻撃の刃を押し込められる。これがしばらく見ることのできなかった、本来のオランダの実力だろう。
選手を見て、大きな変更は数点ある。まず、アーセナルのオーフェルマルスが召集を見送られたことだ。彼の破壊的な突破がなくても大丈夫だろうか、と思っていたが、ポジション的に相対したのが初代表のセベッシェンだったこともあり、左サイドはゼンデンでも充分だった。二点目は、何年間にもわたってオランダのエースであり続けたベルカンプがスタメンから外れたことだ。体調不良のせいかもしれないが、それでもオランダのFWは誰が出ても強力であるのは間違いない。この日は、PSVの若きスター、ルート・ファン・ニステルローイが、クライフェルトとコンビを組んだ。そして、もう一点はコクーをセンター・バックで使ったことである。F・デ・ブールが負傷のため欠場した穴を埋めたのは、ユーティリティ・プレーヤーとして評価の高いコクーだった。慣れないはずのポジションを彼はそつなくこなし、また攻撃面でも起点となり、その能力の高さをアピールした。左サイド・バックにはボハルデが入った。試合前は彼がセンター・バックだと思っていたのだが。
未熟なオランダ、大人のドイツ
ほとんど攻撃の糸口を見いだせないドイツとは対照的に、オランダは序盤からクライフェルトとニステルローイが、それぞれ決定機を迎えるなど、ゲームを完全にコントロールする。そんな中、前半14分、ハーフウェイ・ライン付近から、ダーヴィッツが左サイドのスペースにボールを入れる。ペナルティ・エリア内で追いついたゼンデンは、あっさりダイレクトで折り返す。ニアに走り込んできたのは、パトリック・クライフェルトだった。ゴール!速いグラウンダーのボールを、冷静にインサイドでプッシュした。見事な攻撃。ダーヴィッツのパスから、ゼンデンが走り込んで折り返し、それをクライフェルトがフィニッシュ。パスから数えてわずかスリー・タッチ、時間にして5秒間ほどで産み出されたゴール。オランダらしい得点だった。
直後、ほとんど自陣内でプレーしていたドイツの選手達が、一斉にオランダのバックスでのボール回しにまでプレッシングしだした。前に押し上げてきたドイツ。これで流れは、オランダの圧倒的優勢から五分五分となった。さらにオランダは、左サイド・バックのボハルデが、ノイビルにハイボールの処理の際に顔を蹴られて外へ運ばれた。このオランダが10人の間に、あっさりとドイツが同点にしてしまう。一進一退の攻防が続いた20分のことだった。自陣ペナルティ・エリア内で、ニステルローイからボールを奪ったドイツは、左にサイド・チェンジして、スペースに縦パスを送る。追いついたのは、ドイツではファンタジスタと呼ばれるショル。ドリブルでペナルティエリア内まで持ち込み、マイナスの方向にバック・パス。そこへものすごい勢いで走り込んできたツィーゲが、ダイレクトに左足インフロントでニアへ強烈なシュート。名手ファン・デル・サールの長い手をかすめて、それまでまともな形の作れなかったドイツが抜け目なくイコーライズした。それまで賑やかだったスタンドは全くの静寂に包まれる。このとき、オランダはボハルデのいない穴を埋めるべきだった、と解説者は言っていた。彼の抜けたスペースに、誰かがカヴァーリングに入るべきだった、というのだ。そしてライカールトとトレーナーのミスにいくらか責任のある失点だ、とも言っていた。ライカールトは、彼の指摘するとおりミスを犯した。しかし、それと同時にドイツはやはりドイツだ。隙を逃さず冷徹にゴールを奪ったのだ。一連のショルとツィーゲのプレーは非常に美しかった。特に、「ここしかない」というところにカーブをかけて決めた、ツィーゲのシュートは印象的だった。失点後、のこのことゲームに復帰したボハルデは、とても決まりが悪そうな表情をしていた。
それでもオランダが同点に
その後は再びオランダ・ペースに戻る。そして28分には、取られたら取り返すとばかりにオランダがドイツを突き放す。右サイド低めでボールを受けたR・デ・ブールが、ゆったりとしたドリブルでじわじわと中へ侵入していく。そのデ・ブールを後からシードルフが追い越していくと、デ・ブールに付いていた二人のマーカーは一瞬つられてポジションがずれる。そのわずかなスペースを(本当に人間にして一人分ほどの)ついて、デ・ブールが鋭いセンタリングをファー・サイドに放り込む。バルセロナではあまり出ていなくても、やはり素晴らしい判断力。そこへ走り込んだのは、これまたバルサのゼンデン。ものすごい勢いのボレーをダイレクトでドイツ・ゴールに突き刺した!この一連の動きは、スピード、判断力、シュート力など、「ゴールの喜び」とでもいうものがあるとすれば、ほとんどその全ての要素が凝縮されたゴールではないだろうか。それだけ圧巻のゴールだった。
その後も、31分、43分に、それぞれクライフェルト、ゼンデンのシュートがバーをかすめ、オランダが二度の決定的チャンスを逃す。これは決めないといけないシーンだった。一方のドイツはイェレミースのロング・シュートや、ショルのドリブル突破などで対抗するも、なかなか決定的チャンスを創り出すことができない。それでも私にとっては、リニューアルしたドイツと、久々に好調のオランダを見ることができ、後半に期待を持たせるエキサイティングな前半に思えた。
尻窄みの後半
後半からドイツは、いまひとつ絡めていなかったセベッシェンに変えて、私が期待する若手、ヘルタ・ベルリンのダイスラーをピッチに送り込んだ。結論から言ってしまうと、オランダのプレスが弱まった後半になっても、ドイツはさほどの巻き返しを見せず、前半に比べて後半は尻窄みの印象が強いものとなってしまった。それでも上記の、代表初キャップとなったダイスラーは、右サイドを持ち前のドリブルで何度か突破し、オランダ守備陣を脅かした。試合後は、彼の出来に対してリベック監督も及第点の評価を与えていた。
オランダの選手では、リーガ・エスパニョーラで活躍する二人のFWが、後半途中から出場した。マッカーイとハッセルバインクだ。しかし、出場時間が短かったこともあり、両者とも試合に溶け込めないまま試合終了を迎えることとなった。
EURO2000の展望
ようやく勝利をモノにした、開催国であり優勝候補筆頭のオランダだが、この日を見る限りではまだ心許ない。次の日のあるスポーツ新聞は、オランダの派手な復活、のような書き方をしていたが、そんなものは記者の目が節穴だからだろう。まず、解説の方が指摘していたが、ライカールトを含めたベンチの経験のなさがある。ドイツに失点を喰らった場面などは、もっと早くボハルデの負傷に対応していれば防げていたかもしれないのだ。また、後半になってからの出来では、イタリアやフランスなど抜け目のない大人のチームを相手にしたときには苦しいだろう。私は、オランダはたしかに優勝候補の一角だと見ているが、上記のようにいまひとつ推しきれないでいる。それでも、世界で唯一(?)ブラジルとがっぷり四つに戦えるチームだけに、持ち合わせている潜在能力は高いのは認めるが。
ドイツに関しては、監督のリベック自身が、「目標は予選リーグ突破」と言っているくらいのチームだ。先延ばしにし続けてきたチームの世代交代の時期であり、新しいフォーメーションにも取り組んでいる現状では、はっきり言ってあまり結果は望めない。今のドイツに勝っても、オランダもあまり喜べたものではないと思う。断言しよう。ドイツの連覇はあり得ないと。
@なんだか時間がかかってしまいました。その割にはたいした内容ではなかったかな?
2000/2/28