2002 World Cup , European Qualifying 

Portugal (2-2) Netherlands

Scorer : Hasselbaink (17,P) , Kluivert (47) , Pauleta (82) , Figo (89,P) 

 

2001/03/28 , Estadio das Antas , Porto , Attendance [42,164]


Portugal

GK : 1.Quim

DF : 2.Secretario , 5.Couto , 4.Litos , 3.Rui Jorge

MF : 6.Paulo Bento (17.Capucho 33), 8.Costinha

1.5 : 7.Figo , 10.Rui Costa , 11.Sergio Conceicao (18.Nuno Gomes 57)

FW : 9.Pauleta

Netherlands

GK : 1.Van der Sar

DF : 2.Reiziger , 3.Stam , 4.Frank de Boer , 5.Cocu

MF : 6.Van Bommel (12.Bosvelt 68) , 7.Davids

1.5 : 7.Zenden (14.Makkay 72) , 9.Kluivert , 11.Overmars

FW : 10.Hasselbaink (17.Van Hooijdonk 79)


 大西洋の風を受けて

 
 チューリヒに2泊し、あまりの物価の高さと景観の美しさにため息をついた後は、いよいよ今回の旅のメインディッシュ「3・28 ポルトガル−オランダ」観戦のため、試合前日の27日に飛行機でポルトへと飛んだ。空港でまず驚いたのはその日本人の多さ。3・24のフランス戦を観戦した後、飛んできたのだろうが、そんな光景を見ていると僕の天の邪鬼根性は密かに満たされる。「ブカレストに行ったのは僕だけだ」などと自己満足してしまうのである(笑)。
 
 I戸くんと待ち合わせの予定があったため、空港からバスで町の中心部、リベルダーデ広場へ。I戸くんが来るまでの間、イヤホンを付けて物思いに耽る。心地よい大西洋からの風、適度な日光、行き交う人々の明るい表情、そして趣のある建築物、そんな中に身を置いていると、「ついに僕はポルトガルまでやって来た」という実感が自然にこみ上げてきたのだった。
 
 のどか且つ成熟したポルトガル・サッカー
 
 I戸くんと合流し、予約していたペンションにチェック・インした後は、チケット確保と前日練習目当てで、決戦の場となるエスタディオ・ダス・アンタスへ。バス停からチケット売場までの間にダフ屋、露天商などが数名声をかけてくる。チケット売り場へ行ってみると、一般向けのチケットはすでに売り切れで、現在販売しているのはFCポルトのソシオ対象のものだけとのこと。ここであっさり食い下がっては我々の面目が立たない。そこで僕が「ソシオから転売してもらう」というアイディアを提案し、I戸くんが得意のスペイン語(ポルトガル語とは近い言語)でソシオと交渉。そのため一般売りよりも安い価格でチケットを手に入れることができた。
 
 その後はスタジアム裏にあるグラウンドでポルトガル代表の練習を見学。その雰囲気が実にのどかなのである。低いスタンドにポルト市民、オランダ・サポなどが陣取って、フィーゴやルイ・コスタらのプレーに見入っている。練習後は勝手にスタジアムの中に進入してみたが、誰もとがめる者がいない。これが「ポルトガルらしさ」、なのかな。
 
 また僕がとっても気に入ったのがオランダ・サポ。彼等の誰もがフレンドリーで、僕が話しかけても必ず笑顔で言葉を返してくれる。彼等のほとんどが英語を話すことができるところもありがたい。スタメン予想、新しく台頭してきた選手の特徴など、僕らに親切に教えてくれた上、FC東京まで知っているヤツがいたのには驚いた。
 
 これが決戦直前?
 
 いよいよ決戦当日の朝。起きて外を見ると、日本でいう梅雨のような感じの雨。フィールド上では有り余るテクニックを表現しうる両チームの決戦のため、この雨は似つかわしくなく、また残念でもあった。
 
 キックオフは21:00。スタジアムには17時過ぎに向かう。懸案の雨は午前中に上がり、また時間も十分にあったので、スタジアムへは街の中心から現地でできた友人(I戸くんは体調不良で静養中)と徒歩で向かうことにした。スタジアムの周りには早くも露店が立ち並び、気の早いファン達が現れ始めていた。とは言っても、「2002年大会への決戦」という雰囲気は微塵も感じない。両国の国民性を表しているのだろうが、「勝利への絶対的な意欲」がないとよく言われるオランダ以上に、ポルトガルという国は勝利への渇望がないのだろう。刺すか刺されるかの決戦の場も、快楽的なフットボールを最大の持ち味とする両チームの前では、至上のエンターテイメントへと様変わりしてしまう。「あくまでも娯楽だよ」。そんなサッパリとした軽い空気がエスタディオ・ダス・アンタスの周囲を取り囲んでいた。
 
 キックオフまでに僕の目に入ったもの
 
 キックオフが近づくに連れて、どんどんスタジアムを取り囲む人だかりは増えていく。オランダ名物のインディアン・オヤジも現れ、両チームのバスが大歓声に包まれながらスタジアムに到着した後はいよいよ開門。ところが少ないゲートに並ぶ列がまた長い長い。ゲートで行われているボディチェックの厳しさも、また列を長くしているという感じだ。
 
 ところで、ここで僕に話しかけてきた男がまた変わり者だった。国籍上はアイリッシュ(アイルランド人)らしいが親の代からベルリンに住み続け、仕事は2年前に退職。その後はサッカーとハンドボールの好カードを求めて、ヨーロッパ中をちょくちょく旅する日々だという。僕が「なぜ今日行われるアンドラ−アイルランドには行かないのか?あなたの国でしょ??」と訪ねたところ、彼曰く「たしかに自分の国だがアイルランドはフィジカルのチーム。それに引き替えこの試合はヨーロッパの頂点を極める試合だ」とのこと。さらに2002年には日本にもやって来たいと言うではないか。悠々自適のスポーツ観戦ライフ。老後の楽しみとしては悪くない。
 
 結局30分ほど待たされてやっとの入場。その間杉山茂樹、加部究ら日本の誇る「フリー」ライター陣が、しっかりと「群れて」僕らの横を通過していった(笑)。また友人はゲートで警察に傘を没収されてしまった。安全上の問題らしいが、僕の傘は発見されなかったところがまたいい加減で、ポルトガルらしさなのかなあ、と感じた。時間を掛ける割にはチェックは適当なのだから呆れてしまう(苦笑)。
 
 キックオフ直前になってもスタンドは9割ほどの入り。日本人やオランダ人がこれだけ多く来ているのに、なぜポルトの人達は見に来ないのだろうか?中にはベンフィカやスポルティングのマフラーやユニフォームを身にまとった者がいたというのに・・・(つまり彼等はリスボンから来たと思われる)。 
 
 両者の見せる極度の洗練、そしてポルトガルの変貌
 
 この試合については様々なメディアで既に報じられているので、ここで詳しくは書かない。しかし、この試合のために飛行機でポルトガルまでやって来たかいは間違いなくあった。どちらかというと組織と規律がベースにあり、そこにデ・ブールの展開力、スタムの強さとカバーリング、ライジハーの攻撃参加、ダービッツの存在感、オーフェルマルスのスピード、クライフェルトのテクニック、ファン・ボメルのバランス感覚、ゼンデンの積極性、ハッセルバインクの異様さ(笑)などが調和した、良い意味での機械的なサッカーがオランダの持ち味。一方のポルトガルはオランダの組織的なディフェンスに苦しみつつも、それぞれの選手の持つテクニックで状況ををなんとか打開していく。とりわけフィーゴのドリブル、ルイ・コスタのボールコントロールは際立っていた。
 
 しかしどちらかというと僕がチームとしての強さを感じたのは2点を先制したオランダ。(リアリズムの欠如を除けば)彼等の強さは間違いなく世界でもトップクラスであろう。ポルトガルは守備力、規律の面において世界のトップにはまだまだ水を空けられている感じだった。しかし後半はロングボールを多用し、ロスタイムには同点に追いついたことからも分かるように、以前は見られなかった「勝負強さ」が出てきたことも事実。これが来年日本で花開くことを願うばかりである。
 
 試合後、徒歩でスタジアムから中心部へと帰路に就く。暗い夜道に迷い1時間ほどかかったものの、ポルトの穏やかな気候とこの試合の場にいたという充実感で、僕らの心は十分に満たされていた。

 

 2001/05/09

 

 
 
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