Intercontinental (Toyota) Cup 2000

Real Madrid (1-2) Boca Juniors

Scorer : Parelmo (3,6) , Roberto Carlos (12)

 

2000 , November , 28th . Tokyo National Stadium [Attendances : 52,511]


Real Madrid

GK  25.Casillas

DF  15.Geremi , 4.Hierro , 18.Caranka , 3.Roberto Carlos

MF  10.Figo , 24.Makelele (9.Morientes 77) , 6.Helguera , 8.McManaman (11.Savio 67)

1.5  14.Guti

FW  7.Raul

Boca Juniors

GK  1.Cordoba

DF  4.Ibarra , 2.Bermudez , 13.Traverso , 6.Matellan 

MF  22.Battaglia , (14.Burdisso 90) , 5.Serna , 10.Riquelme , 18.Basualdo

FW  9.Palermo , 16.Delgado (7.G Barros Schelotto 88)


 ボクにとってのスーパースター、マッカ

 土曜日、25日は友人に場所を聞いて毎年ヨーロッパ代表が宿泊するという都内の某ホテルへ。ボクが着いたときにはチームは練習で西が丘へ行っていたが、練習が終わると西が丘から戻ってきたファンも含めて総勢で20人ほどになり、チームのバスがホテルへ戻ってくるのを今や遅しと待っていた。その間、ボクより先に行っていた友人がスペイン語でレアルのお偉いさんのご婦人方とトーク。見事にエンブレムの入ったバッジをゲットしたのだった。また、アスカルゴルタ元マリノス監督とも話したらしく、いくつかの面白い話を聞くことができたようだ。

 ボクのお目当てはマッカことスティーブ・マクマナマン選手ただ一人。チームのバスがバックでホテルの敷地に入ってくると、まずフィーゴが目に入った。「おお!フィーゴだあ」と思っていると、真ん中辺りの座席の窓際にマッカを発見!すかさず「マッカ!」と声をかけるとボクに気付いた彼は、うれしいことにボクにガッツポーズを送ってくれた。そしてバスから下りてきた選手達の中でもマッカただ一人に集中して、見事狙い通りにサインをゲット(ナンバー付き)。5月24日のチャンピオンズリーグ・ファイナルのプログラムには彼のサインが刻まれた。

 決戦前夜

 決戦前日の月曜日、ボクは再びレアルのホテルへ。そしてまたもやマッカのサインをゲット。大胆にも「明日先発で出るの?」と聞いたところ、「Yeah」といくらか弱々しい先発宣言をいただいた(笑)。他にはイエロのサインもゲットしたのだが、スペイン語などグラシアスとアミーゴしか知らないので全く会話が成り立たず。またボクらファンの中にはイカレポンチババアもいた。ホテルのボーイの制止にもめげず、何度も「フィーゴ!」とか叫びながら必死の形相でバスへの突入を試みたのだ。それを見ていたボクらはあまりのイカレぶりに、もはや苦笑するしかなかった。

 また取材でサッカーファンの間で有名なトニー&ジローも来ていた。チームのバスが出た後、数名のファンに囲まれている彼らを発見。まず聞こえてきた第一声がすごかった。「フィーゴはチ*カスだよ!もっといいヤツかと思った!」。これには笑う以外に対処する術がない。その場に居合わせた友人がナポリ出身のジローに、「なんでゼーマンはクビになったの?」と聞くと、「あ。それはチ*ポコが立たないからだよ!トニーと一緒!」。全く答えとしては意味不明だが、またもや我々の爆笑を誘った。すかさずボクが「何?トニーはチ*ポコ立たないの?」と詰め寄ると、「立つよ!じゃあ見せてあげようか?」と切り返す。ホントに下品で愉快な奴らだ。

 その後は地下鉄で国立へ移動。両チームの前日練習を覗きに行ったのだが・・・、そこで予定外のことが起こった。友人がその数時間前に電車内で出会ったボカ・サポーター(アルゼンチンから来た)を発見したので、彼らに聞いたところボカは来ていないとのこと。在日の日系アルゼンチン人(とても上手な日本語を話した)の説明では、ビアンチ監督がこれまでの練習で一切国立を使用できなかったことに関して怒っているとのこと。しかも前日練習で与えられた時間はたったの一時間ほどで、それも国立へボカが現れなかった理由でもあるようだ。またプレスの出口の前でボカサポと喋っていると、ロサリオ・セントラルのラジオ・パーソナリティをやっているという人物に遭遇。彼はアビスパ福岡のモントージャとも友人らしい。チームバスの横で待っていると、ここでもレアルのGKカシージャスのサインをもらうことに成功。国立まで行った甲斐があった。

 盛り上がるボカ・サポーター

 いよいよ28日の火曜日になった。18時頃に千駄ヶ谷駅に着くと、改札前はものすごい人口密度。ダフ屋でごった返すこの雰囲気はまさにトヨタカップでしか味わえないもの。マンU−パルメイラスの組み合わせだった一年前の記憶が甦る。その記憶をたどりながら歩いた国立までの道は、人、人、人でごった返していて、なかなかスタジアムまでたどり着くことができなかった。

 プログラムを買うため長蛇の列に並んだ後は、いよいよスタンドへと向かった。ゲートをくぐるとボカサポの大騒ぎがイヤでも目に付いた。警備の人間も本当に大変そうだ。A席とSA席を隔てる柵も奴らは平気で乗り越えていく。英語も通じないので警備の清水スポーツさんも苦笑いするしかない様子。はるばる南米から、常識のかけらもないような人間達が数千人も集まったのだからしょうがない。

 キックオフ前にはスタンドの上の方から、ものすごい巨大な横断幕が降りてきた(上の画像を参照)。ますます盛り上がるボカサポ達。後で聞いた話では、ゲートを強行突破したボカサポのチケット難民も数多くいたとかいないとか。この興奮状態のスタンドではそれも納得。

 目まぐるしいゴールの応酬

 前日の宣言通り(?)マッカは先発出場を果たした。めでたしめでたし。後はキックオフを待つばかりとなった。

 東京の寒空の下でキックオフされた第21回トヨタカップ。レアルの布陣は特に目新しい点はなく、WOWOWや衛星第一で見ている通りの様子だった。GKはカシージャス、右サイドバックにはジェレミ、センターバックにはイエロとカランカ、その左には不動のSBロベルト・カルロス。MFは右からフィーゴ、マケレレ、エルゲラ、そしてマッカ。トップ下にはグティ、トップにはラウルが入った。6日前のリーズ・ユナイテッド戦と比べて、イヴァン・カンポに代わってカランカが入った以外は一切変更はなしだ。

 一方のボカ・ジュニオールズは、知っている選手がほとんどいないため他の試合との比較をすることができない。スタンドから見て判別できるのは長身のパレルモくらいのもの。その彼がいきなりレアルに強烈な一撃を見舞った。

 3分、最終ラインでボールを奪取したボカは、左サイドバックのマテジャンがハーフライン付近から一気にレアルDFラインの裏へと放り込む。右SBのジェレミがポジションを上げていたため、イエロ、カランカ、ロベルト・カルロスの三人しかDFラインにいなかったレアルは、このボールに対する反応が著しく鈍かった。ジェレミのいない(ボカから見て)左サイドのスペースを、オフサイドギリギリでするすると抜けていったのはFWのデルガド。二年前は凄みさえ感じさせたイエロには、もはやデルガドを捕らえる往年の冴えは残されていなかった。ゴールラインギリギリまでドリブルした後、余裕を持って低いボールを中へと折り返したデルガド。そのボールには、カランカとロベルト・カルロスの間を縫って鋭い走り込みを見せたパレルモが合わせた!ゴ〜ル!ファーサイドで合わせた後、ゴールの裏を回って雄叫びを上げるパレルモ。あまりにも早い先制点に驚きながらも視線を右にやると、ボカのサポーターは最前列の柵に身を乗り出して、今すぐにでもフィールドに乱入しそうなくらいの騒ぎになっている。これに慌てた清水スポーツは、フィールド内のゴールとスタンドの間に仮設の柵を設けたほどだ。

 その興奮も未だ冷めやらない6分、またもやパレルモが驚愕の追加点を突き刺した。自陣でDFが奪ったボールを受けたリケルメが、40〜50mほどのロングパスを左サイドのオープンスペースへ放り込む。そこへ走り込むのは再びパレルモ。右後方からのジェレミのプレスをブロックしながら、ダイレクトで放ったシュートはカシージャスの脇を抜けていった。またもや左サイドから生まれた、あっという間の追加点、ボカにとっては試合後ビアンチ監督が語ったように、「まさにパーフェクトな立ち上がり」となった。

 直後、ロベルト・カルロスが意地のドリブル突破から右足でシュートを放つ。意外に強烈なシュートはバーに弾かれるも、その後にはこのシーン以上のスーパープレーで反撃の狼煙を上げることになる。右のフィーゴからのクロスをファーサイドでボカDFがヘディングでクリア。これを彼は左サイドのペナルティエリア・ライン上で胸トラップすると、その勢いでDFをかわしそのまま左足を振り抜いた。なんとこれがゴール左隅の上段に突き刺さるスーパーゴール!キーパーの頭上を破った見事なシュート回転のゴールだったが、入った瞬間はサイドネットに当たったものと勘違いし、まさか実際に決まったとは思えなかった。おそらくボール一つ分ずれていたらゴールは決まらなかったであろう、紛うことないスーパーな一撃だった。

 逃げ切ったボカ

 以降はしばらくレアルペースで試合は進む。グティのダイレクトパスからラウルがループシュートを狙ったり、マッカ、グティ、マケレレと繋がり決定的な場面を創るなど、レアルが同点にするチャンスはいくつかあったものの、なかなかゴールには至らない。最後のところでカバーリングに入り、粘り強い守備の柱となっていたのがコロンビア代表のベルムデス。ラウルやフィーゴらの世界的な攻撃陣を封じた彼のカバーリング能力はまさにワールドクラスだった。パレルモと並び最もボカで注目を集めていた選手のリケルメは、地味ながら見事にその役割を遂行したように思う。レアルに厳しくチェックされたが、繊細なタッチからのボールキープや味方へ確実に繋ぐ優雅なパスなど、年齢からは考えられないような老獪なプレーぶりだった。また今大会の目玉、フィーゴにはマテジャン、バスアルドらが常に厳しいプレスをかけ、なかなかスペースを与えなかった。フィーゴは左サイドのマッカとポジションチェンジしたりして工夫はしていたが、中盤をプレッシングで制圧したボカにゴールを割られるほどの隙は生まれなかったのだ。

 後半、ラウルがゴールを割ったかに見えたがオフサイド。負けの近づいてきたレアルは、67分にサヴィオを投入。これによりマッカは東京のピッチに別れを告げることとなった。その後サヴィオが得意のドリブルからチャンスを作りかける場面もあったが、マッカの出来がよくなかったとはボクは思わない。フィーゴやグティらも例外なくボカのプレスには苦しんでいたし、その中でマッカやマケレレはフィールドを駆け回り、なるべくボールをキープし味方へ細かく繋ぐことを心がけた献身的なプレーを見せていた。これらのプレーは地味ながらチームには必要不可欠なものだ。彼の持ち味は完全にとは言わないまでもいくらかは出ていたと思う。77分にはマケレレに代わってモリエンテスを投入するも、終始集中を保ったボカが一点差を守りきって勝利をモノにしたのだった。

 その後はもうすごい騒ぎ。選手達もスタンドの目の前まで来て抱き合うわ、何人かの選手がゴールの上によじ登ってカップやコロンビア国旗(同国代表のセルナ)を振り回すわで、この日以外に日本では味わえないような雰囲気にスタンドは包まれた。ボクらもあのクソ寒い中、訳も分からずボカサポの太鼓を叩いたり抱き合ったり・・・。国立の照明が落ちかけても嵐のようなボカサポは騒ぎ続け(裸になってるヤツまでいた!)、太鼓を叩きながら何十台(?)も来ていたバスに乗って意気揚々とホテルへと帰って行ったのだった。

 国際的ダフ屋との遭遇

 これだけでは終わらない。千駄ヶ谷駅までの道にいつもいる邦人のユニフォーム売りに混ざって、外人のグループもいくらか来ていた。その中の一つからはイギリス人の英語が耳に入ったので、少しコンタクトを図ってみることにした。ボクがコンタクトを図ったのはマンチェスター郊外在住のデヴィッド。今回のサポティスタに出ていたのと同人物か。行った都市は今シーズンだけでバルセロナ、ローマ、モスクワ、キエフなどで、マンUやイングランドの他チームのアウェイゲームを中心に観戦&ビジネスを行っているそうだ。来週の月曜日にはもうウィーンへ飛ぶという忙しい男で、目的はもちろんチャンピオンズリーグ、2ndラウンドのシュトルム・グラーツ戦だとか。昨日、ボクが見ていたときに売っていたのはマフラーやユニフォームだが、普段はチケットも捌いているようだ。マンU絡みの試合は知人が職員のため全て手に入るらしい。ただ商売があるため、いつも前半だけでスタジアムを後にしなければいけないのが辛いところか。もちろん一月の世界クラブチャンピオンシップのためブラジルにも行き、いい商売になった上に女がきれいで楽しかったらしい。ユニフォームの仕入れは、知人の働いているマンチェスター近郊にある工場で安く買っていると言っていたが、オフィシャルでは売れないB級品を買い叩いているのだろう。「東京ではいくら儲かったのか?」との質問には、やはり「シークレット!」との返事が返ってきたが、東京滞在中はヒルトン(!)に宿泊しているとのことなので相当に羽振りがよさそうだ。ボクが行く予定のパナシナイコス−マンU(3月)ももちろん行くらしいので、アテネでの再会を期してボクは家路へと向かったのだった。

 今回のトヨタカップは今までスタジアムで観戦したどの試合よりも楽しめた大会だった気がする。これまで、というか普通の観戦スタイルは、ぴあやローソンで前もってチケットを購入しておいて、当日はキックオフの1時間や30分前にスタジアムに入り、90分が終わったら家路を急ぐというものだろう。それは誰しも同じもので、それとは異なり海外サッカー観戦の魅力の一つには、「現地でチケを調達するために努力する」という点があるような気がする。適度な苦労は結果として喜びになる、という仮説に基づいているものだがどうだろう?

 話が反れかけたが、今回のトヨタカップが楽しめた理由は試合以外にあると言ってもいい。ボカサポ、アルゼンチンから来たプレス、フィールド外での選手、ホテルのボーイ、警備員、国際的サッカービジネス集団達との絡みやふれ合いが最大の理由。そしてもちろんそれに加えて試合の90分と、大会を取り巻く要素を全て丸ごと楽しでしまった第21回トヨタカップ。やっぱりトヨタカップって素晴らしい!

 

 2000/11/29

 

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