J-League Division 1 , 1st Stage , 7th Match Day
Urawa Red Diamonds (0-2) Jubilo Iwata
Scorer : Oku (14) , Nakayama (65)

2001/05/04 , National Stadium Tokyo , Atendance [53,125]
Reds
GK : 16.Nishibe
DF : 2.Yamada
, 3.Ihara , 12.Nishino
, 19.Uchidate
MF : 5.Donizete 6.Ishii , 4.Tsuchihashi
1.5 : 8.Ono , 10.Adoriano (31.Tanaka 45)
FW : 18.Nagai
Jubilo
GK : 1.Van Zwam
DF : 2.Suzuki , 5.Tanaka , 3.Oiwa
MF : 23.Fukunishi , 6.Hattori
, 7.Nanami , 10,Fujita
(15.Zivkovic 61) , 8.Oku
FW : 19.Takahara (13 Kawaguchi 86) , 9.Nakayama
ギッシリ埋まった国立
浦和レッズ−ジュビロ磐田。Jリーグで最も人気のあるチームと、現在Jリーグ最強の呼び声の高い両チームの対戦。それでも国立にこれほどのサポーターが訪れるとは全くの予想外であった。前日(5/2水曜日)にチケットを購入したのだが、指定席はその時点でほとんど完売していて、それがもう驚きだったのだが、実際、代表戦以外で国立に53000人の観衆が集まっている光景というのは感動的ですらあった。
僕が千駄ヶ谷駅に到着したのがキックオフ三時間弱前の16時過ぎ。電車が着くと同時に、ホームには赤い旗や赤いユニフォーム、そして赤いスカーフが散らばっていく。家族連れ、カップル、20歳くらいのグループなど様々な人達が意気揚々と国立へと駆けつけている。その中でもレッズのレプリカを身にまとった中年の男性が、お母さん(彼女もレプリカを着用)と思われる女性の手を引きながら、ゆっくりゆっくりと階段を下りていく光景を目にしたとき、僕はなんだか嬉しくて身震いしてしまった。本当にいろいろな人々がスタジアムに足を運んでいる!これほど嬉しいことはないではないか!
さてここまでの両チームだが、ジュビロはご存じの通り、全て90分勝ちによる破竹の6連勝で勝ち点は18(もちろんダントツの首位)。さらにサッカーファンを驚かせているのが、FIFA主催によるワールドクラブ・チャンピオンシップに向けて編み出されたという、「N-BOX」システム。これは福西、服部のボランチと藤田、奥のオフェンシブMFで描く正方形の中央に名波が陣取るという布陣で、究めて革新的且つ実効性が伴ったものだ。鹿島や名古屋を内容的にも押さえきったここまでの試合ぶりは、ジュビロの強さを如実に表していると言えよう。
一方のレッズは2勝1分け3敗で勝ち点は7の10位に付けている。J1復帰初年度としては悪くないのかもしれないが、「内容的にはしっくりと来ない」という意見を持っているファンが多いのではないのだろうか。トゥットに攻撃の比重がかかりすぎ、と言われていたが、この前節の鹿島戦に引き続き、そのトゥットはこの試合も怪我で欠場。大丈夫かレッズ?
実はtoto対象外の当カードでありながら、そんなことは当然レッズファンにはお構いなし。キックオフが近づくに連れ、国立の大部分を次々に「赤」が埋め尽くしていった。
ジュビロの強さは本物
電光掲示板と場内アナウンスでジュビロの選手達がコールされていく。全ての選手達にスタンドから大ブーイングが上がっていくのではあるが、よくよく見てみると呼ばれいていく選手達のほとんどが代表経験者。ジュビロ恐るべし。レッズの方はGKが西部、DFは右から山田、井原、西野、内舘、MFはボランチにドニゼッチ、石井、土橋、高めに小野とアドリアーノが並び、永井が基本的には前線に張るという布陣。そしてすっかり埋まったスタンドが興奮に包まれる中、いよいよのキックオフとなった。
TVを通して見てもジュビロの強さは際立っていたが、スタンドから見るといかに強いかが体感できる。高原、中山がレッズのバックスにプレスを掛けるや否や、奥、藤田をはじめとして「N−BOX」が素早く絶妙のポジショニングで前へ前へと押し上げていく。レッズの選手達はスペースを完全に消され、窒息寸前になり前にとりあえずクリアするか、MFに繋ごうとする。しかしながらレッズのMFがバックスに近づいて、なんとかボールを受け取ったとしても、なかなか前を向くことはかなわない。既に背後にはしっかりと奥なり名波なり服部なりが、虎視眈々とボールを狙っているからである。そして一度ボールを奪うと、一気にプレスを掛けた勢いに乗り、オープンスペースを求めてレッズゴールへと襲いかかっていくのである。またレッズDFが苦し紛れにロングボールを前線に入れたとしても、結果はたいてい同じである。DF→MFへと繋がれジュビロの鋭いオフェンスが始まるのだ。
レッズはなんとか山田や小野が仕掛けようとはするものの、ジュビロのように周りが一気に反応するという連動性を見ることができない。パスを出したところであっさりカットされるか、サイドラインを割ってしまうことがたびたび見られた。石井、ドニゼッチ、土橋などがボールを持っても、なかなか前にボールを繋ぐことができず、ジュビロの猛然としたプレスの前にボールを奪われピンチを招いてしまう。
序盤からジュビロが世界を目指す「格」を見せつけていたが、14分にあっさり奥がゴール前20mほどのFKをねじ込むと、尚更落ち着き払ったクールなサッカーに終始するようになる。スペイン遠征をはじめとする過密日程の疲れもあるのだろうが、それにしても強い。いくつかミスはしても要所はきっちり押さえて、レッズに決定的なチャンスを与えることはない。そして高原、中山の2トップだけで、3〜4人のレッズDFを切り裂いてチャンスを築いていく。Jリーグ最強の呼び声通りの前半であった。
田中、小野が輝きを見せたが・・・
後半の頭からレッズは、運動量も少なく不必要とも思えるボールキープで見せ場を潰し続けたアドリアーノに代えて、期待の新星田中達也を投入。その彼が前半に比べて運動量の落ちたジュビロを相手に積極的な勝負を挑んでいく。18歳の若武者が日本代表の中心選手達を相手に廻して、勇敢にも切り込んでいくのだからスタンドが盛り上がらないわけがない。そして彼に触発されたわけでもないだろうが、小野伸二も前半以上にエネルギッシュな動きを見せ、さらに本来の持ち味である意外性溢れるパスを繰り出すようになる。1トップの永井も本来は前線に張るタイプの選手ではないが、必死にジュビロゴール前にポジションしようと挑んでいく。依然としてジュビロが押し気味ながら、少なくとも前半よりかは攻撃への糸口の見えてきたレッズ。たしかに後半が始まってから徐々にではあるが、「さあこれから!」というムードが高まってきてはいた。しかし、ここで決定的な失点を喫してしまう。
65分、ジュビロ陣内から高くなっていたレッズバックラインの裏をめがけて、ロングボールが放り込まれた。落下点には井原が入っておりヘディングでクリアするものと思われたが、井原が目測を誤りボールは後へ抜けてしまう。慌てて後ろを振り向いた井原をよそに疾風のごとく斜めに走り込んできたのが、歴戦の強者、中山隊長。左45°から勢いよく右足アウトサイドで振り抜かれたボールは、GK西部をかすめて右サイドネットへ突き刺さったのだった。左コーナーからバックスタンドへとガッツポーズを作りながら全力疾走する中山雅史。レッズの息の根を止めたこのダメ押し弾は、同時に歴代J1通算ゴール数でカズと並ぶ113点目となるメモリアルゴールでもあった。53000の観衆を敵に回してのこの一撃。やはりさすがは千両役者といったところか。
その後はレッズがやや優勢になるものの、ジュビロは余裕で「流して」2−0。ジュビロにとってはますます独走態勢を固める勝利となり、レッズは特にオフェンスにかなりの課題を残す試合となった。僕が気になったのが前線の選手達。永井はそもそも前に張るタイプの選手ではないし、アドリアーノも小野も同様である。そのため、彼等が前で潰れる動きをしていても次に続いて上がってくる選手はいないし、ましてや3人とも下がってしまっては敵ゴール前には誰もいなくなってしまう。このような感じで、見ているこちらが得点の気配を全く感じることができないのだ。さらにジュビロの選手と明らかに違うのは全体の運動量。そんなこんなでこの試合は、ホームのレッズが最強軍団ジュビロに厳しいレッスンを受ける形になってしまった。
試合後はダッシュで信濃町駅へ。「この僕のフリーランニングをレッズの選手達に真似てもらったら違う結果になったかも」などと考えながら・・・(笑)。
2001/05/04